簿記2級合格のカギは工簿にあり!あとは…答案用紙も問題の一部です!

  • 投稿者:フェッチさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 2000年4月に経理部に配属、2001年2月に日商簿記検定3級に合格しました。英文科を卒業し、簿記の知識は皆無の状態で、上司から言われる仕事を何とかこなす毎日でしたが、業務命令により日商3級を受験することになりました。お正月休みを返上で勉強し、なんとか合格することができました。

 喜びも束の間、「履歴書に書いていいのは2級から。」という上司の言葉に2級取得にむけて勉強を始めるも、3級から2級のハードルの高さに断念しました。メーカーの経理部にいながら、工簿の知識がないのことに情けない思いがありながらも、3年間勤めて退職しました。

 その後は、転職し経理とは違う仕事を経験してきました。2011年に結婚し、まとまった時間がとれるようになったので、もう一度2級に挑戦しようと決めました。

独学で

 時間はたっぷりとあるので、まずは独学でやってみようと思いました。2級の独学は難しいと言われていたので、今回が(第129回)だめなら違う方法を考えようと思っていました。

 書店でいくつかの本を手にとってみて、決めたテキストが「サクッとうかる日商2級商業簿記・工業簿記」(ネットスクール出版)でした。イラストが豊富だったので、読み進めていくのに抵抗を感じないかなという気持ちで選びました。合わせて問題集の「サクッとうかるトレーニング」も購入しました。

思い出すのに一苦労

 3級の取得が10年も前のことなので、3級の内容を思い出すのにも大変労力がいりました。3級のテキストはもっていないので、わからないことがでてきたらネットで解説を検索して復習しました。3級を取得後、もう少しがんばって2級の勉強をしていたらよかった…と後悔しました。

時間はあっても

 少しでもやったことのあるところから、手をつけようと商簿のテキストから読み始めました。しかし、3級の内容を思い出すのにも四苦八苦している上に、2級の内容もさっぱりわからないという日々が続きました。

 そこから何とか脱したいと始めたのが「仕訳を手に覚えさせる」ことでした。テキストには別冊付録「仕訳コレクション」というのがついています。これは頭の中で仕訳をチェックするためのものという位置づけですが、私は頭の中ではなく、ひたすら紙に書いて覚えました。

 すると、テキストに書いてある仕訳もスムースに理解できるようになってきました。テキストの内容を大まかでも理解できたら、その内容に該当する問題集の問題を解きました。

 始めはわからなかったり間違えたりする問題があっても、解説を読んでテキストに戻り「あ、そういうことか。」と自分で納得できるまで、問題集・テキスト・解説を読み込みました。「自分が納得できるまで」というのがポイントかと思います。

 8月の後半くらいから始めた商簿のテキスト・問題集を一通り終わらせたのが9月の後半でした。練習問題で納得いくまで練習したつもりでしたが、本試験レベルの問題となると解けない問題や、設けられている制限時間内に解けないことが多々あり、不安も感じていました。

 時間がたくさんあるとはいえ、勉強時間は多くても一日3時間ほどでした。

商簿60点工簿10点で?!

 2級は商簿60点・工簿40点の配点で、70点以上で合格です。私は「商簿で60点取って、工簿で10点で受かろう」と考えてました。そんなことを考えていたので、工簿に手をつけ始めたのは10月に入ってからでした。

 しかし「2級合格のカギは工簿」ということを知り、テキストを読み問題集を解くようになりました。工簿も商簿と同じように手に覚えさせるつもりで、何度も書いて覚えるようにしました。

 工簿は、わかるとパズルを解くような感じで解けるようになります。その分、最初につまづいてしまうと芋づる式に間違えてしまうことがあるので慎重さも大切です。

 10月は商簿の問題を解きつつ工簿のテキストを読み、問題を解いていました。このころになると苦手な論点が明らかになってきたので、苦手なところは「出ないでほしい」と思いつつも、出ても何とか解けるレベルにもっていこうと問題を解きました。

 私はできなかった問題に丸をつけるようにしていました。2度目でもできなかった場合はまた丸をつけるので、何重にも丸がついている問題が「苦手」となります。

 何重にも丸がついている問題を見ると「苦手」と、見た瞬間にわかるので嫌な問題とげんなりすることもありますが、「今回は間違わずに解こう」とか「前回はこうしたから間違えた」と思えるので、効果はあるかなと思います。

 このころになると問題を解くのが楽しくなってきたので、自然と勉強時間も増えて一日4時間ほどになっていました。

時間をはかって模擬試験

 11月に入ると、時間をはかって模擬試験をするようになりました。初見では合格点を超えたり超えなかったりを繰り返していました。やはり練習問題とは違い、難しい言い回しや時間配分を考えて解かなければという焦りなどで、思うように問題が解けずにへこむこともありました。

 「サクッとシリーズ」は確かに取り組みやすいテキスト・問題集ですが、本試験レベルを思うと少し易しめかなと思います。問題のレベルのハードルが一気に上がりすぎなのでは?と、感じてしまうことがありましたが、そこは繰り返し問題を解くことで解消できると今は感じています。

 今は解けなくても本番で解けたらいいという気持ちで、間違った箇所は解説を読み、テキストを読み、問題を解けば大丈夫だと思います。そして、次に同じ様な問題が出たら必ずできるようになればいいのですから。

 11月は、午前・午後と2時間はかって模擬試験を解き、その後は問題集を前から順番に、何度も繰り返し解いていました。模擬試験8回分・過去問3回分を2回繰り返しました。

 また、ネットスクールの出題予想大会や、ラストスパート模試の予想動画が大変参考になりました。独学だと「大丈夫かな?」という不安はつきものだと思いますが、その不安が一気に解消できました。

試験日の1日の流れ

  • 7:30

 何かしなければと思いつつも、何も手につかない状態で仕訳の確認を少しする。

  • 11:30

 軽く昼食をとる。

  • 12:00

 試験会場に向けて、家を出る。

  • 13:00

 試験会場に到着。

  • 試験会場の様子、試験までの過ごし方

 商業高校が試験会場。一クラスに30人ほどの受験者で、実務をしてる社会人の受験者が多い印象を受けました。今まで使ってきたテキストを読み返したり、模擬試験問題を電卓を使って解きなおしたりしている人が大半でした。私も問題集を開けてはみたものの、やはり緊張であまり頭に入ってこない感じでした。

  • 試験中の出来事

 まずは問題用紙・答案用紙・計算用紙が配られました。答案用紙1枚ずつに名前と生年月日を記入するように指示がありました。そのときに解答用紙を見ることになるので、どんな問題が出されているのかがおおよそわかります。

 今回は第4問がネットスクールの予想の「部門別計算」だったので、「いけるかも?!」という気持ちになれました。試験開始の合図の後は、お決まり(?!)のように電卓をかちゃかちゃと叩く音が響きます。それは気になると思いますが、気にしないのが鉄則です。あくまでも、自分のペースで進めるのが一番です。

 それでは、問題を解いた順番に書いていきます。

 【第1問】今回の仕訳問題はいつもより時間をかけないと、ひっかけにひっかかって間違ってしまうように思えた問題でした。でも、仕訳問題は与えられた勘定科目以外の仕訳は答えにはならないので、日ごろの練習ができていたら絶対に解けると思います。

 【第2問】特殊仕訳帳から残高試算表を作成する問題は得意なので、最後まで合わせようと思ったのが裏目にでてしまいました。預り金の金額の貸借を間違ってTフォームに記入していました。「絶対にできるはず!」という変な固執からなかなか手を離すことができずに、かなりの時間をかけて貸借を合わせました。完答を狙う必要はないのですが…。

 【第4問】第3問目のP/L作成は時間がかかるのでとばして、先に第4問を解きました。計算条件の意味が理解できずに「割り切れない…。」と焦りましたが、落ち着けば簡単なことでした。原価差異の計算は難しそうだったので、これは捨てて第5問に移りました。

 【第5問】総合原価計算も得意論点なので、解けるだろうと思っていたら甘かった…。「答案用紙も問題の一部」という大切なところを見落としていて、「製造間接費が分けられへん…。」と泣きそうになってしまいました。

 頭が真っ白になり「もう、あかん…。」と、ふと問題用紙を見ると「あぁー!!」これで一気に答えが出せました。「工簿は10点でいい」…うそです。工簿は勉強すれば、確実に得点できます。しかも満点が狙えます。

 【第3問】初見の模擬試験でも90分くらいあれば全部の問題を解き終えていて、時間的な問題はないと思っていましたが、第3問まるまる残して残り時間が35分でした。

 ここまで解いてわからない問題はなかったし、きれいな数字がでていたので大きなミスはないと信じて、残り35分でできる限りの問題を解こうと思いました。(第3問は、いつも解くのに時間がかかっていたので)

 第3問はネットスクールからのメルマガに書いてあったように、1つ仕訳をしたらすぐに答案用紙に数字を埋めていきました。社債と保険料の計算を落ち着いて考えられなかったのが心残りでしたが、埋められるところを何とか埋めて終了の時間となりました。


 結果は、第1問・20点、第2問・20点、第3問・16点、第4問・14点、第5問・20点の合計90点でした。途中でテンパってしまって空白の時間がありましたが、何とか勉強してきたことがだせたかなと思える結果です。

管理人からフェッチさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
 100点です。他の方にもおすすめできます。特に、ネットスクールはアフターフォローがばっちりだと思います。ネットスクールの教材を使われる方は、HPでの情報を合わせて活用されるとよいと思います。
 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 「SHARP ELSI MATE EL-397R」です。経理部に配属されたときに支給された電卓です。3年間毎日使っていて慣れているので、この電卓で勉強しました。使いやすい電卓だとは思いますが、使い慣れているのが一番だと思います。
 フェッチさんの勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 応援していただいている方に嬉しい報告をしたいという気持ちでがんばりました。簿記と関係のない英語のSNSサイトで簿記の勉強をしていると公言すると、意外に日商2級を持っておられる方がいらっしゃって、負けられないという気持ちもありました。
 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 3級合格後、すぐに2級の勉強をすればよかったと思いました。2級の独学は難しいと言われていて簡単に諦めてしまったので。2級は工簿があるからと敬遠せずに、挑戦されることをおすすめします。

管理人コメント

 フェッチさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!参考にすべきポイントがたくさん詰まった合格体験記に仕上がったと思います。

 それでは早速、中身を見ていきましょう。フェッチさんは「答案用紙も問題の一部」とおっしゃっていますが、このことを意識していない方が意外と多いです。特に工業簿記は答案用紙に解答のヒントが書かれている場合が多いので、問題を解き始める前に必ずチェックするくせをつけてください。

 次に、工業簿記の取り扱いについてですが、工業簿記は商業簿記とは異なり2級で初めて勉強する科目になので、難しい処理が問われることは滅多にありません。

 食わず嫌いになるのは非常にもったいないので、逆に「工業簿記で点数を稼ぐ」ぐらいのスタンスで勉強するようにしてください。

フェッチさんが使われた教材や電卓のまとめ