社会人受験生は、勉強の「量」ではなくて「質」で勝負!

  • 投稿者:らむさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 126回の受験に失敗し、再受験するか迷いましたが、テキスト等買った事と、今まで費やした時間を無駄にしたくないと思い再受験を決意しました。2級はそう簡単には合格できないと痛感し、基礎からもう一度やり直そうと勉強し始めました。

 また、独学でしたので自分の勉強方法を見直す為に、こちらの合格体験記を読み参考にさせていただきました。フルタイムで働いており、家事もしながらでしたので勉強時間は平日1時間、土日祝4~6時間ぐらいでした。忙しくて時間が取れない日もありましたが、短時間でも毎日簿記に触れるようにしていました。

勉強の基本スタンス

  • 自分に合ったテキスト、問題集は解説が丁寧なものを買う
  • 基本は仕訳
  • 暗記して覚えるのでははく、理解しながら解く
  • 間違えた問題は、解説解答を読んで終わらせずにもう一度解く
  • 解き方をパターン化して時間短縮する
  • 本試験レベルの問題を多くこなす
  • 予想問題に頼り過ぎない

使用テキスト・問題集

 テキストと問題集は同じシリーズにした方がいいと思っていましたが、2度目の受験を決めた時に見直し、解説がより詳しいTACの問題演習・過去問題集を購入しました。

勉強スケジュール

 テキスト・基礎問題はある程度理解していた為、一通り読んだ後すぐに問題演習に取り掛かりました。

  • 12月上旬~12月中旬 商業簿記(テキスト・基礎問題)
  • 12月中旬~12月下旬 工業簿記(テキスト・基礎問題)
  • 1月上旬~1月中旬 商業・工業簿記(問題演習 中級~試験レベル)
  • 1月中旬~2月中旬 過去問題集(3周)
  • 2月中旬~試験日 直前予想、過去問間違い箇所

具体的な勉強方法

 2度目の受験だった為、前回の勉強方法を見直すところから始めました。前回は工業簿記から勉強し始め、理解したつもりでいても商業簿記を始めると工業簿記を忘れている…という状態になり、両方の進め方が分からなくなってしまい、後半は予想問題からある程度自分で範囲を絞って勉強していました。

 その為、予想外の問題が出てしまうと焦ってしまい他でもミスがでるという状態でした。勉強期間を長くするのではなく、限られた時間の中で効率的に進めていくことが一番だと思いました。今回は基礎問題後の問題演習は工業・商業簿記併用で勉強しました。 併用と言っても一週間のサイクルで両方に触れるようにしました。

 また、勉強する時間帯にも気をつけました。平日は夜しか時間がありませんでしたが、休日は頭のさえる午前中に多く時間を取り、午後は集中できなくなると仮眠をとってから勉強するようにしました。自分の集中できる時間帯・リズムを把握することも大切です。

 基礎問題と過去問題とではレベルの差がありすぎる為、中級レベルの「プラス8点のための問題演習TAC」を使用しました。解説がとても詳しく、説く手順やポイントが丁寧に書かれてありますので、独学の方にはおススメします。時間のかかっていた問題は解説を見て、目からウロコでした。おかげでパターン化でき、時間短縮につながりました。

 商業簿記はとくかく仕訳、こちらは回数をこなしました。工業簿記は問題を暗記してしまうと問われ方が違うと対応できなくなってしまうので、理解する事を大切にしました。

過去問・予想問題集について

 過去問題は重要だと思い、1ヶ月は時間をとろうと決めていました。また、問題を解くときは、時間配分を身に付ける為に1回分ずつ、時間を計って解くようにしていました。解く順番もおおまかに第4・5・1・2・3と決めていました。

 解答用紙はコピーを2部ずつとり、間違えた箇所には解答を記入せずに、下書き用紙にどの部分でどうして間違えたのかなど、コメントのみを記入しました。

 そうする事によって、意識して問題を解くようになり、同じ間違えをしないようになりました。私の場合、間違えノートを作ろうとした時もありましたが、うまくまとめられずに書き直しをして時間がかかり過ぎてしまったので、自分の下書き用紙に直接記入するようにしました。

 3周する頃には、自分の苦手は問題が分かり、その部分に関してはもう一度演習問題に戻るようにしました。予想問題集は1社にすると偏ってはいけないと思い、2社分購入し最後の仕上げとして2周しました。

 ただ、前回の反省から予想問題に頼りすぎないように、あくまでも問題演習と捉えて、予想にない問題でも自分の苦手は部分は「出るかも」と自分に言い聞かせて復習するようにしました。

試験日当日の1日の流れ

 AM8:00に起床し、朝食を済ませ過去問の間違えていた部分を再度確認。昼食をとると眠くなるので、飲み物とチョコレートにし、準備物を確認し出発。試験会場には30分前ぐらいに着きました。

 参考書をパラパラとめくりましたが、あまり頭に入らず電卓の位置や軽くたたいて手の感触をならしました。開始10分前にトイレに行き、後は気持ちを落ち着かせる為に何もせずに居ました。

 試験開始の合図があり、まず全5問の問題をチェック、第5問の標準原価計算のは驚きました。唯一絶対に出ないとほとんど勉強していなかった問題でした。とりあえず最後に解こうと決め、4⇒1⇒2⇒3⇒5の順で解きました。

 第1問の仕訳は、のれんの勘定に気がつくのに時間がかかりました。第3問の本支店の本店のみの数字の問われ方には動揺しましたが、前回の特殊商品売買の二の舞にならないように、まずは落ち着き、問題文を丁寧に読み何を問われているのか考えて一つずつ解いていこうと思いました。

 解く過程は同じで最後の解答する部分だけ本店の数字のみを記入すると解釈しました。そして第5問は解いてみると細かい部分まで問われていなかったので、なんとか解答できました。

試験を終えて

 自己採点では、80点でした。仕訳が3問しか合っていませんでしたが、第2問・第4問は満点、第3問・第5問は部分点という感じでした。第5問の標準原価は出ないと思い込み、勉強不足だった点は反省しました。

 126・127回共に今までにない問い方をし、受験生を惑わすような問題だと感じました。動揺してしまって、本来解ける問題でもミスをしてしまった方もいると思います。

 そうならない為には、やはり基礎をしっかりし、範囲を絞らずに問題演習を多くこなすことしかないと思います。過去問は覚えてしまうと問われ方が変わると迷ってしまうので、理解し苦手なところは問題演習に戻るといいと思います。

 また、実力があっても問われている事を正確に解答できなければいけないので、基本的な事ですが問題文はしっかりと読む事が大切だと思います。

 私自身、独学で勉強していて勉強スケジュールや方法、問題の解き方などこれでいいのかと自信がなくなる事が多々ありました。そんな時は、簿記検定ナビさんのサイトを見て、勉強方法だけでなく、精神的な部分でもとてもお世話になりました。この場をお借りして、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。

管理人かららむさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓・教材は他の方にもおすすめ出来ますか?
 以前からSHARPの電卓を使用しており、2級の受験に伴い、12桁のものを購入しなおしました。最初はよく考えないまま、手ごろな値段の他メーカーのものを購入しましたが、ボタンの配置の違いから使用しづらかった為、上記の電卓を再度購入しました。購入の際は、ボタンの押し心地・配置など考慮されることをおすすめします。

 教材は他の方にもおすすめ出来ます。基本的にTAC出版の物は参考書・問題集ともに解説が丁寧です。その分ページ数は多くなってしまいますが、2級の場合は解説が丁寧なことが大切だと思います。

 その中でも、特に問題演習用の「プラス8点のための問題の演習(TAC)」は特に解説が丁寧で、ポイントもまとめており、解き方の順番なども書かれてありますので、独学の方はとても参考になると思います。

 私自身独学で、解答に時間がかかっていた問題も時間短縮して解けるようになり、目からウロコだった内容も多々ありました。

 らむさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は商業簿記全般です。商業簿記は仕訳が基本ですので、まず仕訳で基礎を固め、問題はある程度パターン化されているものが多いので、ひたすら演習問題や過去問題を解き、間違えた箇所は出来るようになるまで何度も解きました。そうする事によって、自分の間違え箇所に気付き、解答する際に注意して解くことが出来るようになりました。

 苦手な論点は工業簿記の標準原価計算、直接原価計算です。工業簿記は、公式が覚えられない、覚えても忘れてしまう、問題形式が少し変わると解けない…という事が多々ありました。公式は語呂合わせで覚えてるようにし、本試験レベルの問題を多く解くようにしました。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 まず、2級は3級と比べて範囲が広い為、何気なく勉強していてはいけないと思います。こちらのサイトの合格体験記を参考に、最初に大まかな計画を立て、自分に合った参考書を手にすることがとても大切です。また、暗記するのではなく理解すること、問題文は確実に読むことだと思います。

 最近の試験問題は、今までにない出題傾向で受験生を惑わす問題文があります。その対策としては、やはり基礎力をしっかりつけた後に、試験レベルの問題集を多くこなすことが大切だと思います。個人的には、テキスト読み⇒基本問題はせずに中級レベルの問題演習⇒過去問題集⇒本試験レベル問題集⇒予想問題集の順番でもいいように思います。

 基礎問題を解く事はいいと思いますが、そこに時間をかけすぎる事はもったいないと思います。私自身、1回目の勉強の時は基礎問題に時間をかけ過ぎて、過去問題をする時間をもっととればよかったと後悔しました。限られた時間の中でどのように勉強していくか自分に合った方法を見つけることがとても大切だと思いました。

 今後は簿記2級をどのように活かす予定ですか?簿記1級や税理士などの上位資格に挑戦される予定はありますか?
 今のところ、特に他の資格に挑戦する予定はありませんが、就職活動中なので 2級の知識を活かした仕事につきたいと思っています。

管理人コメント

 らむさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!フルタイムで働きながら簿記の勉強をするのはかなり大変だと思いますが、らむさんの合格体験記には「合格するためのヒント」がたくさん散りばめられていますので、社会人受験生の方はぜひ参考にしてください。

 まず、「限られた時間の中で効率的に進めていくことが一番」と書いていただきましたが、これはその通りだと思います。よく、問題・解答・解説を丁寧にまとめて満足していらっしゃる方がいますが、勉強した気になるだけであまり効果はありませんので、勉強の「時間」よりも「質」に気をつけるようにしてください。

 また、最近の出題状況を勘案しますと、予想問題に頼りすぎるのも危険だと思います。らむさんのように、「予想はあくまでも予想」と割り切って利用すると良いと思います。

 あとは、「問題文はしっかりと読む事が大切」と書いていただきましたが、これも意外に出来ていない方が多いですし、第124回の「現金預金」勘定のように、問題によっては致命傷になる可能性も考えられますので、問題演習の段階から意識するようにしてください。

らむさんが使われた教材や電卓のまとめ