海外在住ながら満点合格!簿記はやっぱり「習うより慣れろ!」
- 投稿者:ヤムチャさん
- 勉強形態:独学
- 受験回数:1回
- 勉強期間:約5か月
- 備考:イギリス在住
管理人さん、受験生のみなさんこんにちは。実を申しますとこのサイトを知ったのは受験後でした。他の受験生がどのような手ごたえを感じたのか知りたくネットで調べたのがきっかけです。私は独学、しかも海外在住なのでもっと前に知ってたら励みになってたのにと残念に思った次第。来年1級を受験する予定なので今後はどんどん使わせてもらいますね。
私の体験がどれだけお役に立てるか分かりませんが、海外在住でも満点が取れるということを知ってもらいたいと思い投稿を決意しました。どなたかの参考になれたら光栄です。
受験のきっかけ
私自身経理の実務経験は10年以上あるのですが、幸か不幸か検定試験を受けることなくダラダラと年月を重ねていました。2年前までイギリスで経理職についていましたが結婚を機に退職。1年ほどのん気な主婦業を楽しんでいました。
去年の夏(そろそろ再就職しようかな。でもなあ、、、)ご存知のように、イギリスはリーマンショックでポンドが下落。町は失業者で溢れ始めていました(それは現在でも続いています)アシスタント職に100人近い人が応募する状況下、 私のような外人が太刀打ちできそうにありません。
ならばイギリスで通用する資格、イギリス簿記の資格を取って少しでも価値のある履歴書を作ろう。一見周り道に見えるが、やみくもに仕事に申し込んで落ちてへこむよりはいいだろう。思い切って9月から地元のカレッジでイギリス英文簿記の中級コースを取る事にしました。
勉強を始めるにあたり、簿記のルールはイギリスも日本もほとんど同じだし、だったらまず日本語できちんと理解したほうが授業にもついていけるのではないか。コースが中級なので2級あたりが妥当だろう。そう思い日本にいる母親に簿記2級の本を送ってくれるよう頼みました。
でも実際参考書を目にすると欲が出るってものです。母が送ってくれたのは TACの「よくわかる簿記シリーズ」の商業簿記と工業簿記。合格テキストと合格トレーニング、それと「プラス8点のための問題演習 日商簿記2級」の計5冊。パラパラと目を通しているうちに日商簿記も受験したくなってきました。
目標があったほうが知識も身につくし、仕事してない今だからこそ日本とイギリスの簿記を同時に勉強することも出来る。双方から得る知識がお互いを補え合うのなら一石二鳥どころではないのでは。早速検定試験のスケジュールを確認しました。11月は早すぎるし、6月はイギリス簿記の検定試験と重なる。2010年2月をターゲットに据え、航空券も手配完了。これでもう後には引けません。
次は進行表作成です。月がカレッジの予習、火がカレッジの授業、水がカレッジの宿題と復習。日商簿記に充てるのは木曜と金曜になりました。章のトータル数を数えて試験日から逆算しつつ計画を立てました。週末は調整日にしてあえて除外です。勉強方法は次にまとめて書きます。
勉強方法
TACの参考書にも書いてありましたが、簿記は習うより慣れろ、問題をどんどん解くのが一番。本番までに出来るだけ問題を解くようにしました。私の場合、もち札は例の5冊だけですので、とにかくこれを使いこなす(海外、それも僻地在住の利点は、日本に住んでたら陥りやすい参考書ジプシーにならないってことです。なんたって本屋がないですから)
参考書が既に分かりやすくまとめられていたので、マーカーで印をつけるだけでノートは作りませんでした。その分問題を解くほうが身につくとの考えからです。9月から12月後半まではよく分かる簿記シリーズに集中しました。具体的には以下の通りです。
- 1日目…商業テキストの1章目を読む→同章トレーニング問題を解く
- 2日目…工業テキストの1章目を読む→同章トレーニング問題を解く
- 3日目…商業テキストの2章目を読む→同章トレーニング問題を解く
- 4日目…工業テキストの2章目を読む→同章トレーニング問題を解く
- 5日目…商業と工業の1&2章目のトレーニングを再度解く
これを最後の章まで繰り返しました。一通りやったらトレーニング問題をもう1度最初から。自信のない問題に印をつけて、1月の追い込み期にそこだけまた解きました。
ここまで来るとトレーニングのページも書いては消し、書いては消しを繰り返すので(特に精算表問題と財務諸表) 前に自分が書いた答えがうっすら見えてたりしました。やってみると分かりますが、工業は後の章ほどしんどくなります。私も原価計算にはかなり手こずらされました。これは先ほども述べましたが慣れるしかないです。問題を何度も解く事を強くお勧めします。
年末からは「プラス8点のための問題演習 日商簿記2級」に移行。ボロボロのトレーニングにいい加減辟易してたので 新品の綺麗な紙に書けるのがすごく新鮮で、変なところでやる気が出ました。解説部分は既によく分かるシリーズでやっていたのでざっと目を通すくらい。この本は問題に制限時間がついているので、時計を見つつ解きました。こちらも間違った問題に印をつけて、そこだけもう1度。
2月、試験本番3週間前に日本に帰国。原価計算にその時もまだ手こずってて、本当は電卓だけで身軽に帰るつもりが、飛行機の中で「プラス8点~」を解きました。今となってはいい思い出です。
思わぬ嬉しい誤算
日商簿記の勉強と平行してカレッジで英文簿記の勉強も進んでいました。嬉しい誤算だったのは、当初同レベルだと思っていた中級が実は2級より優しかったこと。精算表の授業も2級に比べたらあっさりしたものです。何より工業簿記の授業がクラスメートより早く飲みこめるようになりました。
最初から英語で理解しようとしてたらかなりの苦戦を虐げられていたはずです。私が日商簿記を受けることはカレッジの先生もクラスメートも知っていて、日本に帰国する前日の授業でエールを送ってくれました。
帰国してから本番まで
諸事情のためイギリスに戻る前日が試験本番という、精神衛生上あまり好ましくないスケジュール(次回受験の際は帰国して時差ボケが解消する3日後位に受けてしまいたい)母親が過去問題集を買っておいてくれたので、空き時間を見つけて解きました。
本来なら最後の追い込みと自宅に篭るべきなのですが、なんたって1年ぶりの帰国ですから。いつもよりゆるめの滞在スケジュールを組み、 試験当日2日前からは予定も入れず勉強に集中するつもりでしたが結局毎日出歩いてました。でも試験のことが常に頭にあって、なんとなく落ち着かなかったのも事実です。
過去問を解く際に気をつけたのは以下の通りです。
- 時間配分
- 作成者が仕掛けたワナに落ちない
- 貸借が合わなかった時のために細かくメモを残す
- 問題を捨てる勇気
- 問題の続きが次ページにないかチェック
参考書を持ってきていなかったので、間違えた部分は問題解説を丁寧に読みました。過去問はやっぱり解くべきですね。自分の弱点が如実に出て渇を入れられました。過去問は7回分やりました。徐々にペース配分に慣れてきて、自己採点は平均90点以上。
合格トレーニングを繰り返し解いた方法は間違えてなかったなと。トレーニングには問題の重要度に応じて星マークがついているんですが、私はあえて無視して全問万遍なくやったんです。それが自然と応用力を身に付けることになったんだと思います。仕訳問題は毎回必ず1つは間違えたので、本番も1問は捨てるつもりでした。とはいえ本番まで不安感は拭えませんでしたね。滞在スケジュールの最終日に試験が来ちゃったことを何度も呪いました。
試験日当日の1日の流れ
今だから言えるんですが…実は少々二日酔いでした。それでも朝7時ごろに起きてボーっとした頭で過去問の解説(これしか手元に無いので)に目を通しました。10時過ぎに弟夫婦が車を出してくれ一緒に自宅を出ました。会場を確認し3人で少々早い昼食とコーヒーで一服。近くのテーブルで参考書を広げている人がいて、少しずつ緊張が。 この頃には頭もクリアになってきていました。
心配気な弟夫婦に見送られ、会場入り。なによりもびっくりしたのは欠席者の数!!!半分が空席!!申し込んだものの勉強が追いつかず次回に見送りの人達なんでしょうが、一発勝負のつもりで飛行機代かけて、時差ボケと戦って当日を迎えた私には非常に贅沢な行為に感じました。でもお陰で電卓音で気が散るかもと持ってきた耳栓を使わずに済みましたが。
試験開始まではとにかくリラックスに努めました。「一人であれだけ頑張ったんだから絶対大丈夫」って言い聞かせました。そして試験開始。
(第1問)…与えられた科目を使うというのを念頭に仕訳していきました。現金預金が今回のひっかけでしたね。車両運搬具じゃなくて車両だったとか。2.の受託問題は「きたな」 特殊売買は必ず出るけど最後まで自信無しのエリアでした。これは埋めたものの自信無しだった。
(第2問)…2ページに問題が渡っているのを確認してから開始。貸借が合わなかった場合のチェックって意外と時間をロスするので一発で合うのを念頭に丁寧に作成しました。お陰で貸借一発OK。次の問題に移りました。
(第3問)…これも一発OKを目指して丁寧に進めたけど、売上原価のところで少々手こずりました。向こうが言いたいことは分かるのだけど、果たして精算表の埋め方がこれでいいのか。でも貸借合ったので、次の問題に移りました
(第4問)…(これって今までの過去問にあったっけ?)見てすぐに思ったのがこれです。合格トレーニングで似たようなのをやってたし、どこにワナが仕掛けられているのかもなんとなく分かるんですが、頭に血が登ってしまい思うように解けない。なのに時間は過ぎるばかり。半分埋めたところで思い切って捨て、最終問題に移りました。
(第5問)…実は最後まで差異計算に自信がなく、これが出たらきついかもとドキドキしていましたが、運良く別問題が出題。ラッキーでした。この問題は取りに行くつもりが、4問のショックが尾を引いてもたついてしまいました。でもどの答えもゼロ並びの「綺麗な」答えになったので4問に戻りました。
(第4問)…(まだ時間は20分あるから最初から解いていこう)落ち着けと何度も言い聞かせました。それが効を奏したのか突如取っ掛かりが見つかり一気に解答まで。差異がこれまたゼロ並びでいい感じの数字だったので一安心しました。これにて全問回答。残り時間は3分。
過去問を解いたときは大抵30分ほど余裕があったのですが、やはり本番は緊張でスロースタート、その上いつもより丁寧に解こうとするので自ずと時間もかかるようです。これは今後の受験の際にも覚えておこうと思います。燃え尽きた感があり、見直しはせず。
試験を終えて
結果はネットで見ました。早起きして(イギリスは時差が9時間あります)主人と息を呑んで結果チェック。自分の番号を見つけたとき二人で抱き合って喜びました。合格率が15.7%でびっくりしました。試験当日の2/28、ペルーで大地震があったの覚えてますか?北陸沖に津波警報が出て、日本の地理を良く知らないイギリスの家族が津波のせいで試験が延期になったんじゃと心配していたんだそうです。私は関東受験なので全く影響ありませんでしたが、気遣いがありがたかったです。
最後に
今回の受験、独学と申しましたが、3週間の留守を許し航空券を取ってくれた主人、航空便で参考書を送ってくれた母、試験当日、終了まで付き添ってくれた弟夫婦。家族のささえが無ければ合格、それも満点という大満足な結果は出せませんでした。
結果をまたず帰国の際に1級の参考書類12冊、計6キロを持ち帰った私。来年6月受験に向けて既にスタートを切りました。みなさん一緒にがんばりましょうね。
P.S. 合格をカレッジの先生に報告したところ、早速私の写真入でカレッジ新聞に記事を載せられてしまいました。イギリス人のみなも簿記の勉強がんばってますよ!
管理人コメント
ヤムチャさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!海外在住の方から合格体験記を投稿していただいたのは初めてでしたので、とても興味深く読ませていただきました!
ヤムチャさんの合格体験記で一番参考にしていただきたいのは、何度も何度も反復演習を繰り返されている点でしょうか。まさに「習うより慣れろ」の世界ですが、この作業はとにかく地味で、しかも苦痛を伴うことが多いので、重要性を認識していながらも出来ない人が多いです。
反復演習を繰り返すことによって、毎回間違えてしまう問題や作問者がひっかけようとするポイントが分かるようになりますので、テキストに戻って処理方法を確認してみたり、間違いノート(まとめノート)を作ってケアレスミス対策をするようにしてください。この方法で勉強すれば間違いなく実力がつくはずです。
とても参考になる合格体験記を投稿していただいたヤムチャさんには本当に気持ち程度ですが、amazonのギフト券を送らせていただきます。本当にありがとうございました。
ヤムチャさんが使われた教材や電卓のまとめ
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