簿記2級は過去問対策がとっても大事!あと、腕時計は忘れずに。

  • 投稿者:Milchmanさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:3回
  • 勉強期間:約1年

はじめに

 私は33歳の会社員です。事務や経理とはまったく関係ない職種ですが、ビジネス書に啓発されて簿記の学習をはじめました。

 第124回試験で3級に合格。その時点では2級を目指すつもりはなかったのですが、最近になって事務職へ転職したいという思いが強くなり、2011年12月から2級への挑戦を始めました。

 受験の履歴は以下のとおりです。

  • 第130回 不合格(点数不明)
  • 第131回 不合格(62点)
  • 第132回 合格 (88点)

使用した電卓と教材

 電卓は、家にあったテンキー入力用の端末を使用しました。教材は、以下のとおりです。

  • 第130・131回受験時
  • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格テキスト 商業簿記【新2版】
  • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格問題集 商業簿記【新2版】
  • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格テキスト 工業簿記【新2版】
  • 10日30時間でうかる! 日商簿記2級 最短合格問題集 工業簿記【新2版】

 上記4冊はいずれもダイエックス出版のものです。第131回試験後、2度目の不合格が確定した時点で、「手持ちの教材では本試験レベルに対応できない」ことに気付き、以下の教材を追加しました。

  • 第132回受験時

学習方法

(1)第130回・131回対策(不合格時代)

 平日は30分×2回の通勤時間と、会社の昼休み1時間が主な勉強時間でした。出勤前後や休日は育児や家事があるので、会社にいる時間の方が学習しやすい状況でした。

 毎日「通勤時間にテキストを読み、昼休みに問題集を解く」「通勤時間に問題集を少しずつでも進める」といった方法を取っていましたが、ラッシュアワーの通勤電車内で問題を解くのはなかなか大変で、【電卓が使えないから暗算】→【計算の答えがなかなか出ないor出ても間違っている】→【学習が進まない】という不毛なループを繰り返していました。

 それでも試験直前には、家族の協力を得て2時間まとまった時間を確保。問題集付属の模擬試験や、ダイエックス出版から提供された予想問題を、3種類×2回程度は解いていました。

 第130回はまったく歯が立たない状態で受験しましたが、第131回は受験前に「初回60点台、2回目80点前後」ぐらいには持って行くことができました。でも不合格でした。

(2)第132回対策

 不合格2回を経て、「仕訳に苦手意識はないのに、第1問で点が取れない」「第2~5問で見たことのない用語や形式に出遭い、慌ててしまう」という自分の弱点が分かりました。

 仕訳については、ダイエックスの問題集は基礎レベルの問題が多く、本試験レベルの問題はほとんど載っていませんでした。また、勘定科目が指定されていない問題が主だったので、「提示された勘定科目で答えていない」というミスも何度かしていました。

 第130回不合格時には「4冊の教材を使い切れていない」感じがあったのですが、第131回不合格で「4冊の教材だけでは合格に届かない」気がしましたが、受験料を結構使ってしまっているので、さらなる教材代の捻出は厳しい…という事情から、簿記検定ナビの仕訳問題PDFを頼ることにしました。

 仕訳問題PDFは問題だけを印刷し、別の紙に答えを書く形で取り組みました。会社の昼休みにはパソコンが自由に使えるので、答え合わせはパソコンの画面を見ながら行いました。

 間違えた問題は、正解を解答した紙に書き込みました。2回目に解くときは、その自作解答用紙を見れば答え合わせができるので、パソコンが使えないときにはこちらを学習しました。試験までの間に3周解きました。

 第2~5問対策については、新たに問題集を買わなければと考えました。既に過去問2回分を持っている自分には、過去問題集ではなく模擬試験問題集のようなものが良いと思い、「薄くて安い本」を探して『網羅型完全予想問題集』を購入しました。

 1,000円を切る値段が一番の決め手でしたが、難易度のバランスが非常に良く、私には最良の選択だったと思います。本番の試験に慣れるつもりで、深夜や早朝に時間を取り、キチンと2時間測って解きました。2時間取れないときは、「20分以内に第2問を解く」など範囲を区切って取り組みました。

工夫したこと

 私はちゃんと「まとめノート」とか作っていなかったのですが、後述する「公式を丸写ししたアンチョコ」を作って、覚えるまで持ち歩いていました(覚えたら捨てました)。紙はミスコピーの端っことか裏紙とかで、書いては捨てる、忘れては書く、ということを繰り返していました。

公式を丸写ししたアンチョコ
公式を丸写ししたアンチョコ

※アンチョコ…教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた、手軽な参考書。虎(とら)の巻。

試験日の1日の流れ

  • 6:30 起床

 いつも通り起きて、家族が起きてくるまで仕訳問題を解きました。家族が起きてからは普通の日曜日と同様、家事に追われました。

  • 12:00 昼食

 家族分の食事を作り、自分も食べました。

  • 12:30 出発

 片付けは家族に託して出発。遅刻だけはしないように…と毎回思うのですが、毎回ギリギリです。第131回の受験時に腕時計を持って行かなかったら、試験会場にも時計がなくて大変な思いをしたので、今回は腕時計を忘れないように留意しました。

  • 13:15 到着

 試験会場(大学)の構内に入ってから教室までが思いの外遠く、想定以上にギリギリになってしまいました。

  • 13:30 問題用紙・解答用紙配布
  • 13:50 試験開始

 普段は1→4→5→2→3の順で解くのですが、第2問に大の苦手・T字勘定が見えたので(商簿で見るのは3級以来だったので「何でここに!」と本気で思いました)回避。第3問を先に解き、残り40分程度で第2問に取りかかりました。

 第1問は、第130・131回より易しかったように思います。「何か落とし穴があるんじゃないか…」と勘ぐりつつ、そんなに時間を掛けずに終了。

 第4問は、苦手な「工業簿記での仕訳」かつ「原価差異分析」付きだったので、もう「苦手がひとまとめになって良かった!」と、半ばやけっぱちに思いながら解きました。難易度がそれほど高くなかったので助かりました。

 第5問は、「部品」が直接材料か間接材料かでものすごく悩みましたが、直接材料と見なして全部解きました。CVP分析自体は得意分野だったので、それ以外に悩みはなかったです。

 第3問は、仕訳を丁寧に、記入漏れのないよう慎重に…と解きました。賃借差額が微妙に合わなかったのですが、こだわって第2問を未着手にするわけにいかなかったので、一旦保留して第2問に進みました。

 第2問は、見たことのないパターンで驚きましたが、とにかく一回仕訳を書き出してみました。仕訳自体はそれほど難しいことはなく、如何に解答欄の数字を導き出すかの勝負だったかと思います。日付を手がかりに埋められるところを埋め、賃借が合わないところは放置。

 残り5分で、第3問の賃借差額が合わなかった理由を見つけ出し修正。制限時間いっぱい見直しをして、試験終了。第2問に明らかに違う数字のところがあるものの、スッキリした気持ちで試験を終えました

帰路

 会場を出たところで大原簿記の解答速報をもらい、第1問と第5問は満点が取れたようだと分かりました。残り3問で30点落とすことはないんじゃないか…と期待しながら家路につきました。

管理人からMilchmanさんへ追加の質問

 Milchmanさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 あまり「論点」ということを気にしていなかったので、的外れな回答かもしれませんが…。工業簿記のCVP分析はたいてい解けます。なので、直接原価計算は得意な論点だと思います。あと、商業簿記の精算表作成や本支店会計は結構好きです。

 苦手なのは、工業簿記の「○○差異分析」です。標準原価計算そのものはそれほどでもないのですが、「シュラッター図を書きましょう」と言われるアレは最後の最後まで苦手でした。

 求めるべき差異をどの式で出せばよいのかが覚えられなかったので、しばらく公式を丸写ししたアンチョコを使って問題を解いていました。その甲斐あってか、試験間近になって何とか問題の解ける率も上がりました。

 Milchmanさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
 意地ですね(笑)。2ch系の掲示板なんかで「日商2級なんてカス」みたいな書き込みを見て、「見てろこんちくしょう」とか思ってました。直接言われたわけでもないのに、モチベーションには結構貢献してくれたと思っています。

 あと、幸か不幸か、日常が仕事と家事と育児でほぼ埋め尽くされていたので、そもそもの学習時間がかなり少なく、学習へのモチベーションが下がること自体あまりなかったです。学習時間を見つけることに関してはかなりハングリーでした。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
 私が使ったテキストは論点を一つ一つ学習していくスタイルだったのですが、実際の試験ではそんなにひとつの論点に特化された問題は出ないので、「1.まず過去問や模擬試験を中心に学習」「2.特に苦手なところは基本のテキストに戻って学習」という流れで学習した方が、合格する力は早く身についたのではないかと思います。

 基本的なテキストを二度三度繰り返すより、実践的な問題集を何度もやる方が良かったのではないかと思います(ということに、私は2回目に落ちたときに気づきました)。

 基本事項を一通り押さえるだけでも、テキスト2冊・問題集2冊になってしまうので、なかなか最初から実践的な問題集を買う気にならないのですが、先に過去問など「最終目標」を見ておく方が、何のための勉強か(学習のゴールはどこか)が明確にできていいんじゃないかなと思います。

管理人コメント

 Milchmanさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 Milchmanさんは1回目・2回目の不合格の原因をきちんと分析・対策し、3回目で見事合格されましたが、この不合格の原因を分析・対策することはとても重要だと思います。

 簿記に限らず資格試験はなんでも同じですが、「得意分野を伸ばす」よりも「苦手分野を克服する」ほうが点数は伸びるので、特に勉強が長期化している方は一度、きちんと不合格の原因を分析してください。

 あと、試験会場の時計についてですが、時計がない(または丁寧に外されている)試験会場もたくさんあるので、必ず腕時計を持っていってください。なお、携帯やスマホで代用することはできないので気をつけましょう。

Milchmanさんが使われた教材や電卓のまとめ