投稿者: 田口泰久@簿記検定ナビ

  • 第134回日商簿記検定 簿記3級 合格体験記 No.68

    疲れてしまったら無理せずに休む!上手な気分転換が短期合格のカギです!

    • 投稿者:s&sさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約1か月

    きっかけ

     仕事で事務経理を1人でしているのですが、入社して1年足らずで出産のため産休・育休を取得させてもらい、育休明けから今までしていなかった会計ソフトへの入力業務をすることになりました。

     そこで初めて『貸方・借方』『買掛金・売掛金』などが出てきて私の頭の中は???状態。グループ会社のベテラン経理の方などに聞きながらなんとか入力はこなせるものの、言葉の意味も知らずに仕事をすることに違和感を感じ、簿記の勉強をしようと思い立ちました。

     以前にも少し勉強をしようと思いおさがりで頂いたテキストをさら~っと読んだこともありましたが、普段の業務で聞かない言葉の仕訳あたりから徐々に難しく感じ、途中でやめてしまった経緯がありました。

     でも今回は「思い立ったら勢いが大事!!」と感じ、ちょうど第134回の申込期間だったこともあり先に試験申込をしました。申し込んだらイヤでも勉強するだろう!と自分を追いつめる方法での勉強開始でした。

    テキスト

     上記の試験申込をネットで済ませたあと、簿記のテキスト情報を収集していて行き着いたサイトが簿記検定ナビでした。おすすめテキストや勉強方法、無料の仕訳問題も配付されていて、必要と思われる部分を全て読みました。

     その中でおすすめされていたネットスクールの『サクッとうかるシリーズ3級セット』をネットから注文。ちょうど4月下旬のGW前だったので手元に届くまでに時間がかかるかもと思い、簿記検定ナビ内の無料仕訳問題の問題のみもすぐに印刷しておきました。

     サクッとうかる日商3級商業簿記テキスト、サクッとうかる日商3級商業簿記トレーニング、サクッとうかる日商3級商業簿記厳選過去問ナビの3冊はとてもわかりやすく、見やすいので私にはぴったりのテキストだったと思います。

    勉強方法・スタイル

    1.簿記検定ナビの仕訳問題

     テキストが届くまでの期間がもったないく感じ、簿記検定ナビの仕訳問題を解き始めました。もちろんさっぱりわからない部分が多数です。そのときはもともと手元にあったおさがりのテキストの該当ページを読み仕訳し、それでもわからないときは解説を読みながら進めました。

    2.サクッとうかる日商3級商業簿記トレーニング

     テキストが届いてからも、テキストを読み進めるのではなくとにかく問題になれようと思い、わからなくてもトレーニングの問題集から手をつけました。

     間違った部分やわからない部分はテキストの該当ページに戻りマーカーをする。これのくり返しでした。サクッと~のシリーズはトレーニングの本に『テキスト○○ページ』と書いてあり、連動しているのでとてもやりやすかったです。

    3.精算表や試算表

     仕訳はある程度数をこなせば出来るようになりますが、試験の大部分の点数を占める精算表や試算表はなかなか答えもあわないし、時間は解答目安時間の倍はかかるし、最初はさっぱり理解できませんでした。でもこれも慣れと数をこなすのみだ!と思いとにかく解きまくりました。

     また解く際には必ず下書き用のノートを1冊用意して、自分がどういう仕訳をしてどの課程で間違えたのかを明確にわかるようにしておきました。こうすることで、間違えてしまったとしてもどの仕訳が違ったのかを見直すことができ、必要に応じてまたテキストに戻り・・・と勉強をしました。

     最初はかなり時間がかかっていたのも、数をこなすことで自分なりの時短方法や、電卓のたたき方を見いだし1問20分~30分程度で解けるようになりました。

    4.サクッとうかる日商3級商業簿記厳選過去問ナビ

     一通りのトレーニング問題を解いたあとは、過去問集を解き始めました。過去問を1回分解こうとすると私の場合1時間半くらいかかっていました。なので勉強時間は、こどもを寝かしつけたあとの21時半頃から。1回分を解きそのあと答え合わせをして、少し見直ししたらちょうど2時間です。残りの見直しは翌日の仕事の休憩時間などにする、というサイクルで2週間程度は過去問を解きました。

     過去問6回分を2回解き、2回目にはほぼ満点をとれるようになっていました。また、このころから問題を解く順番を決めておき(私は1→4→5→3→2)その順番で解く練習もしました。

    5.試験日4日前

     このころから、再度無料の仕訳問題を解きました。残りの日数で全ての問題(150問くらいでしょうか?)を解こうと思い1日50問のペースで解きました。ここで間違えた問題が、実は試験当日の第1問の1で出てきてやっておいてよかった~!!と感じました。

    6.その他

     住んでいる地域に大原があったため、事前に調べて予想会に申込をして参加しました。過去の傾向と今回の予想、大原独自の予想問題集をもらい帰ってきました。無料で予想問題が1回分手に入り、特に勧誘もなく、参加してよかったです。

    試験日の1日の流れ

    • 6:00 起床

     普段と同じ時間に起床、身支度をしました。朝ご飯も普段と同じようなメニューでごはん、ちょっとしたおかずなどをこどもと一緒に食べました。

    • 7:30 出発

     こどもを義実家に預けるため少し早めに出発。

    • 8:15 到着

     こどもを預けたあと、再度出発して試験会場近くの駐車場に到着。会場が開くのが8:35頃と受験票に記載があったので、車の中でテキストと大原の予想問題集を見直ししました。

    • 8:40 会場入り

     試験会場に到着。席につくと教室の半分くらいの人がすでに来ていました。仲間同士で受験なのかおしゃべりしている方や、電卓をたたき問題をとく方、黒板の注意事項を読む方など様々でした。私はトイレに行ったあとテキストをさらっと読み、緊張しないようあとは周りの人の様子を眺めていました。

    • 8:55頃 説明

     試験監督の方が説明したあと問題が配付され名前等の記入をしました。

    • 9:00過ぎ 試験開始

     試験開始の言葉で一斉に問題にとりかかりました。

     電卓の音や紙をめくる音は思ったほど気にならず、自分もかなり集中していた状態だったと思います。さらっと問題を流し読みしたあと、第1問に戻ると1から少し面倒な仕訳。でも焦らず時系列を書き、数日前に間違えてしまった問題だったこともあり落ち着いて解けました。

     第4問、易しい!これは満点。第5問で売上原価?????初めてみた言葉に動揺するも、ここは落としても部分点を狙おうと開き直り他の仕訳を絶対に間違えないよう慎重に解きました。

     第3問も問題文のわりにはボリュームがある仕訳でしたが、読み落とししないよう気をつけて解いたら割と簡単に解けました。第2問も商品有高帳の移動平均法は得意だったのでなんなくクリアしたものの、その後の先入先出法での売上総利益などは戸惑ってしまい冷静に計算できませんでした。

     すべての問題を解いたあと、見直しをして答えを問題と計算用紙にうつし自己採点できるよう備えました。

    • 11:00過ぎ 試験終了

     後片付けをして会場をあとにしました。

    • 12:35

     義実家へ戻りお昼を食べたあと、ネットスクールの解答速報が1番早く出ました。早速うつしていた自分の答えと比べて採点。自己採点で86点でした。

    • 15:30頃

     こどもが昼寝をしてしまい暇なので、ネットで見れる解答速報会を見ました。合格点とはいえ、90点以上を目指していたので間違えてしまった部分がどうにも納得できず解説をしっかり聞きました。解き方のコツや電卓のメモリー機能の使い方(さっぱり使いこなせません)などもお話していてとてもタメになりました。

    試験翌日

     試験の翌日は、大原でも解答速報会の映像がネットで見れるようになっていたのでこちらもチェックしました。

    合格発表日

     6月17日が合格発表日でした。8:50頃からそわそわし、9:00過ぎに商工会議所のHPを見てみると合格発表がされていました。
    受験番号を確認してほっと一安心。まだ封書などは手元にきていませんが、合格できて本当に良かったです。

     このまま11月に2級を受けるつもりなので、弱点をしっかり克服し頑張りたいと思います。

    管理人からs&sさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた各教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     私には合ったテキストだったので、90点です。必ずおさえるべき点、これは数年に1回しか出ていないけどできればおさえたほうがいい点、これは時間に余裕のある方のみおさえてほしい点、など分けてあるのもよかったです。

     テキストの字も読みやすい大きさで、見出しも私好みでした。セットでネットスクールのHPから購入すると書店で購入するより安く買えますので、おすすめです。

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     Canon LS-101TUCです。

     今の会社に入社した際に、ある程度大きめの電卓をと思って準備しましたが、見た目の白がかわいいので購入しました。特に使いやすさ重視ではないので、簿記受験のためではあまりおすすめしません・・・。

     s&sさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     得意なのは第3問の合計試算表や残高試算表で、苦手なのは伝票会計(複数の伝票から仕訳を推測するもの)でした。

     苦手を克服するためにも、やっぱり問題をこなすしかないと思っていたので、あまり点数配分の高くない部分ではありますが、間違えた場合は解説を丁寧に読み込み、もう一度自分で解いてみるという勉強をしました。

     s&sさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     約1カ月と短い勉強期間でしたが、育児に仕事に家事と疲れてしまう日もありました。私はそういう日に勉強しても頭に入らなかったり、つまらないミスをしたりするので、疲れてしまった日は潔く勉強はせず早めに休み翌日少し多めに勉強時間をとっていました。

     また、今日は勉強休む!!と決めた日はコンビニスイーツを食べたりしてリラックスしました。

     ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
     とにかく問題に慣れることが第一だと思います。ただ、私の場合は間違えてしまった問題をまとめたり、自分の弱い部分をまとめたりという作業をしていなかったのでそのための専用ノートを作ればよかったと感じています。それがあれば前日や当日、その他10分~20分空いている時間に見直しできたと思います。

     また、問題集はあまり多くはそろえないほうがいいと思い最低限にしましたが、もう少し勉強時間があったら各社から出ている予想問題集を用意してさらに問題を解くべきだったと思います。

    管理人コメント

     s&sさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!家事・育児・仕事・勉強のすべてを同時にこなすのは大変だったと思いますが、上手に気分転換をしたり生活にメリハリを付けることによって見事、短期&一発合格されました。

     それでは、早速中身を見ていきましょう。まず、見習っていただきたいのは「試算表や精算表の総合問題を解く際に、自分がどういう仕訳をしてどの課程で間違えたのかを明確にわかるように下書き用のノートを作った」というところです。

     総合問題を解く際は、s&sさんのように解きっぱなしにせずに、どこを間違えたのかチェックして必ず復習をするようにしてください。この作業を繰り返すことによって、どこを間違えやすいのか自分で意識できるようになります。

     また、s&sさんは大原の出題予想大会に参加されていますが、無料ですし、独学受験生にはありがたい有用な情報をたくさんもらえるのでおすすめです。なお、大原だけでなくTACでも同様の無料イベントを開催していますが、中身に大差はないので、どちらを選んでも良いと思います。

    s&sさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第134回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.112

    常日頃から「最後まで諦めずに問題を解ききる」意識を持ち続けました!

    • 投稿者:探すようさぎさん
    • 勉強形態:専門学校(通学)
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約2か月
    • 備考:資格の学校TACに通学

    はじめに

     経理補助事務として数年勤務しつつ、簿記3級は独学で3年ほど前に取得していました。そのまま、簿記2級も!と独学をしてみるものの、難しくて何回も挫折し、そのまま年月が経ってしまいました。

     このままでは良くないな、ということと、仕事を辞めたことをきっかけに、「今度こそきちんと知識を身につけた上で簿記2級を取得して、再就職につなげたい!」と強く思うようになりました。

     再就職活動をしている中で、経理をしたい場合、実務経験はあっても簿記3級だけだとどうしても条件がいまいちな会社しか見つからない・内定が取れない、というジレンマがありました。

     独学は自分の性格上、絶対無理だと結論が出ていたため、最初からTACに通学することにしました。2013年3月開講の本科生となったのが4月の頭でしたので、実際の通学は工業簿記の基礎講義からスタートしました。

     商業簿記の基礎講義は、通学と並行して、自宅でWebフォローを利用して学習する形にしました。

    テキストについて

     TACの本科生になったので、『合格テキスト』『合格トレーニング』をメインで使っていました。

     ただ、この本が良いものであることは重々承知しているのですが、個人的には「もう少し分かりやすいものがいいなあ…」と思うようになり、ネットで調べて評判が良かったネットスクールの『すいすい簿記 マンガ見てGO!』『サクッとうかるトレーニング』も用意し使いました。

     その他では、簿記3級の勉強や前職のときにとても役に立った『世界一感動する会計の本です』を繰り返し読んでいました。直前期はTAC出版の『合格するための過去問題集』を活用しました。

    勉強スタイル

     すぐ勉強から逃げてしまう不真面目な性格ですので、敢えて「勉強から逃げにくい」環境へ自分を追い込んでいました。

     まずは、『すいすい簿記』を自宅で読みます。これが本当に分かりやすくて、この本のおかげで勉強から逃げ出さずに済んだといっても過言ではありません。初回はまずさーっと流し読みをします。

     その次は、次回のTAC講義までにその講義の範囲のみ熟読し、テキスト内の仕訳などの問題を実際に解きました。その後で、対応する『サクッとうかるトレーニング』の問題を解きました。

     以上のやり方で、TAC講義の予習としていました。この段階で「ちょっと微妙に分からないな」というところもありましたが、そこはTACの講義で埋められるように意識していました。

    商業簿記の勉強スタイル

     簿記2級の商業簿記については、Webフォローで自宅でパソコンを使い、講義を受けました。講義を受けた後は、TACの先生のアドバイスの通り、必ず復習を行いました。

     具体的には、『合格テキスト』の基本例題を解いたり、『合格トレーニング』の問題を解いていましたが、特に後者は難しい問題も含まれているので、初見で解けないことも多かったです。

     その場合はしっかり解説を読み込んでから、時間を置いてまた挑戦し、自力で完璧に解けるまで何度も復習し反復しました。問題の答えを覚えるのではなく、解き方をきちんと理解することを重視しました。

    工業簿記の勉強スタイル

     簿記2級の工業簿記については、TACに通学し勉強しました。基本的な予習・復習の流れは商簿のやり方と同じです。私の場合、独学を挫折したのは「工業簿記が訳わからない!」ということが大きい理由でしたので、講義は真剣に受けました。

     工業簿記は、勘定連絡図をきちんと書ければ合格できると思います。独学のときは仕訳しかしていなかったのでイメージがつかず駄目でしたが、講義を通じて初回から勘定連絡図を書く癖をきちんとつけることができました。

     その他にも、原価ボックスの書き方など、TACの講義では効率のいい下書き用紙の書き方をいろいろ伝授してもらえたことが非常に役立ちました。

     自宅で勉強しにくいときは、敢えてTACに行き、自習室で勉強するようにしていました。静かで尚且つ電卓を叩きやすい場所はそうそうないので、非常に助かっていました。

     また専門学校の特性上、みなさん静かかつ真剣なので、そのような良い雰囲気に後押しされていました。賢そうな人たちの中に紛れて勉強していると、それだけで「自分、えらいなあ~」と前向きに思えていました(笑)

     通学は、主に週2回していました。授業一コマが2時間半(途中で休憩10分あり)で、結構長いので大変でした。それ以外で予習復習も行う、さらに自分の場合は商業簿記はWebフォローで無理やり工業簿記とペースを合わせていたため、前半のインプットの時期が一番ハードだったかもしれません。

     ただ、幸い(?)なことに離職中のため、時間はたくさんありました。そのおかげでなんとか遅れることなく、TACの通学ペースに乗れていました。もし学生だったり、仕事をしながらの勉強だと厳しかったと思います。

     日中はお忙しい方の場合でしたら、勉強期間は3か月以上に設定した方が無難かもしれません。1日フルで使える環境にある方でしたら、私のように2か月ほどの短期決戦でもなんとかなるかもしれません。

    直前期の勉強スタイル

     試験1か月前くらい前~直前期は、TACの直前答練・的中答練で、実際に問題を解くアウトプットの練習をしました。このとき、答練前にはかならず指定された範囲の予習をしっかり行っていました。

     予習は、以前のやり方に加えて『合格するための過去問題集』の厳選問題を解いたり、対応する範囲の過去問をピックアップして解くようにしていました。

    過去問題集
    過去問題集

     「テストの範囲は知らされているのだから、絶対70点以上の合格ラインを越えてみせる!」と自分の中でルールを作っていました。大変でしたが、そのような高いモチベーションを維持していたので、最後の的中答練まで、すべてのテストで70点以上は確実に取っていました。

     この直前答練・的中答練は非常に有意義でした。自宅ではなく、外で実際に試験のシミュレーションができるというのはとても効果的だと思います。変に時間をかけて完璧主義を目指すと、解ける問題も時間が足りずに失点を重ねてしまう!ということをここでの失敗で痛感しました。

     一度失敗して70点台の不本意な得点で終わった回以降は、どんなことがあっても絶対に全部の問題を解ききる!という意識が生まれ、そのおかげでほとんどの答練で80点以上は取れるようになれる解き方・意識・力が身に付きました。

     TACの先生曰く、「答練以外での自習で過去問を解いてほしい。問題集を3周はしてほしい」とのことでしたが、自分の場合は8割くらいの範囲をかろうじて2周するので精いっぱいでした。もう少し時間があれば、あと1か月あれば全体を3周できたのかな…というところが心残りです。

    試験日の1日の流れ

     少し早起きして、普通に過ごし、受験会場であるTACに着いたのは朝9時です。自習室でお昼まで、最終チェック代わりの問題演習をしました。具体的には、『合格するための過去問題集』の第1問、仕訳問題の厳選問題と、過去問で間違えた仕訳問題の見直しをしていました。

     11時過ぎにいったん会場を出て、外でお昼ごはんを取り、12時前には試験会場教室に行きました。12時前ではまだ人もまばらでした。周りはあまり気にせず、ここまで直前になると疲れることはやめようと思い、『合格するための過去問題集』の厳選問題の解説を流し読みしていました。特に、自分が間違えたので問題集に書き込みを加えたところを重点的に見ていました。

     13時過ぎになると、会場にどんどん人が集まりました。15分前にお手洗いを済まし、もうテキスト類は閉じてカバンに入れ、荷物も片づけました。机の上に必要なものだけ用意し、少しの間目を閉じて静かに休んでリラックスしていました。周りは、直前まで勉強する方もいれば、音楽を聴いてリラックスしている方も見受けられました。

    • 試験開始!

     試験開始と同時に、問題用紙・答案用紙を一通りさーっと確認しましたが、「第2問と第5問がなんだか見慣れない形式だ!!」と焦ったので、まず第一問から解こうと思ったんですが…1問目から直接法の減価償却に少しとまどい、手に汗をにぎりっぱなしで本当に落ち着きませんでした。

     試験直前期にTACの先生が「焦った時は、いったん手を止めて目をつぶってください。そうすれば落ち着けます!」と仰っていたことを思い出し、数秒かけて実践したあと、もう一度がんばりだしました。

     時間はややかかりましたが、20分くらいで第一問はすべて解いて見直しもし、「たぶん全問正解できてる」と確認を終えたことには、少し冷静さを取り戻していました。

     その次に、思い切って第5問に挑戦し、用語や数字を埋めました。正直なところ、後半の解答には自信を持てませんでしたが、ここで粘ると絶対後に響くのが分かっていたので、潔く諦めて次に進みました。

     第4問は、勘定連絡図をきちんと書き、材料費・労務費・経費、直接費と間接費の区別がきちんとつけられれば確実に解ける!ということが問題を見て分かったので、安心して取り組めました。途中、緊張のあまりいつもはしないような電卓計算ミスを連発してしまいましたが、最終的には「これは満点取れた」という手ごたえはありました。

     その次は第三問の精算表を解きました。答案用紙を見た時点で「精算表だ!やった!」と思っていたので、あえて後半戦に回していました。こちらはソツなく解けて、本試験の中でいちばん楽しんでいる時間でした。

     売上原価についてはきちんと内容理解を深めていたので、とまどうことなく解答できました。「この問題も満点もらった、この試験、微妙なとこもあるけどたぶん合格できる」と思えていました。

     最後に、残り13分というところで第2問に取り掛かったんですが、かなり手ごたえがなく、少しへこみました。簿記3級の知識が残っていればもう少し得点できそうでしたが、度忘れしているところも多いので潔く諦めました。

     周りでは途中退席する方がちらほらいたので、「諦めたのかな…」という印象を受けつつ、「今回の問題、けっして簡単ではないから、諦めたい気持ちも分かるなあ」と感じました。

     ただ、自分としては、第1問・第3問・第4問で得点できた自信があったので、第2問と第5問に手ごたえはなくてもたぶん大丈夫だから不安ではありませんでした。

    試験を終えて

     今回、私は過去問を完璧にすることより、「できる限り苦手分野を減らす」努力をすることに重点を置いていたので、その作戦で合格を勝ち取れたように思います。結果は84点でした。

    • 第1問:20点
    • 第2問:12点
    • 第3問:20点
    • 第4問:20点
    • 第5問:12点

     ちなみに、TACの団体受験者は80人ほどでしたが、その中でも合格者は私を含め10名ほどしかいませんでした。今回の試験は本当にハードだったことを痛感する結果でした。

    管理人から探すようさぎさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
    『すいすい簿記』

     90点。導入には最適です。簿記に抵抗がある人におすすめしたいです。

    『サクッとトレーニング』

     80点。本試験レベルの問題が、いきなり難易度急激にUPという雰囲気になったり、微妙に取扱いのない論点(1も)があるので、この本だけだと苦しい箇所もあるのでこの点数としました。ただ、挫折はしにくい本だと思うので、その点では素晴らしいと思います。

    『合格テキスト』

     75点。私にはなんとなく難しいままでした。ですが、想定されるすべての論点を抑えている良い本です。個人的に思うのは、自分に合って読みやすいテキストをメインにし、細かい論点はこの合テキを使うという、メインとサブの使い分けをしていったことがプラスになったように思います。

    『合格トレーニング』

     90点。難しい問題もあり、初見で完璧に解ける問題の方が少なかったんですが、過去問のアレンジ問題もあるので、やはりこの本を繰り返すと非常に効果があることを実感しました。この本をやり遂げるには非常に時間とエネルギーが要りますが、そのリターンは十分にあると思います。

    『合格するための過去問題集』

     95点。厳選問題にかなり助けられました。また、論点別の一覧表もあるので予習復習に役立ちました。解説も丁寧なのでとても使いやすかったです。

    『世界一感動する会計の本です』

     95点。たまに初心にかえりたいときに読みました。三分法ではなく分記法での説明がメインだったりで、日商簿記に直結しない箇所もありますが簿記一巡のインプットにはもってこいです。非常に読みやすいので、簿記につまづいている方や初心者さんにおすすめしたいです。

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     10桁なのでおすすめはできませんが、SHARPのEL-133Hを使っていました。これから電卓を用意する方には、12桁のものをおすすめいたします。また、日商簿記1級も目指す方には√キーなどもそろっている電卓をおすすめいたします。
     探すようさぎさんの勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     「あまりがんばりすぎない」「さぼりすぎずに毎日コツコツ進めること」の2つです。

     調子が良い日は、ついついどんどん進めたくなるのですが、がんばりすぎると翌日がしんどくなったり、前日あんなに進めたのだから、とサボってしまいがちなので、やはり「今日は調子よくても○時間までで止めよう」と意識していました。

     逆に調子が悪い日は、「最低この問題はやろう」と意識して最低限の量はやるようにしました。結果として、毎日コツコツバランスよく勉強が進み、モチベーションが保たれました。

     また、過去問演習や答練などで、なるべく良い点を取れるように努力していたので、実際に結果を出せて90点台だったときには達成感があり、これもモチベーションにつながりました。

    管理人コメント

     探すようさぎさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!TACの通学講座を有効活用されていますが、比較的時間がある方や、どうしても1人ではだらけてしまうという方には特におすすめです。

     通学講座のメリットは、「カリキュラムにそって勉強していけば、自然と合格に必要な力が身につく」や「分からないところは先生にその場で質問できる」等ありますが、個人的には「自習室を利用することが出来る」が一番大きいメリットだと思います。

     会計士・税理士・簿記1級受験生のように高い夢を掲げ、人生をかけて勉強している人たちと同じ部屋で勉強すると、「自分もがんばらなきゃ!」という気持ちになりますし、緊張感のある空間では意外なほどに集中して勉強することができます。

     あとは、「直前期の勉強スタイル」のところに書いていただいた「どんなことがあっても絶対に全部の問題を解ききる!」という姿勢も素晴らしいと思います。ぜひ見習ってください。

     ちょっと分からないとすぐに答えを見てしまう方がいらっしゃいますが(受験生時代の私がそうでした)、すぐに諦めずにじっくり考えることによって初めて力がつくので、どんなに難しい問題でも、どんなに苦手な問題でも、必ず自分なりの解答を導きだすことを心がけてください。

    探すようさぎさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第134回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.111

    総合問題を解く際は、本試験を想定して計算用紙の使い方も意識しましょう!

    • 投稿者:あっと!さん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約4か月

    はじめに

     金融業界勤務で、会社からは毎年何らかの試験を受けるように推奨されており、3級は4年ほど前に取りましたが、それ以降きちんと簿記というものには触れておりませんでした。「折角3級をとったのだから、2級もいつかは…」という程度の考えはありましたが。

     業種柄、B/SやP/Lなどの基礎知識はありますが、実務で経理をやっているわけではありませんので、仕訳などには全く縁が無く、このままだと簿記からどんどん遠ざかってしまうと思い、2級の受験を決意しました。

     表題で「基礎」と「応用」と言い古されてきたような言葉をあえて使わせて頂いたのは、「基礎」となる簿記のベースの考え方と、「応用」としての試験対策がどちらも両輪として必要である、という事をお伝えしたかったからです。

     特に、簿記は受験する回によって難易度が乱高下しています。前回(133回)のように合格率が40%を超える回もあれば、今回(134回)のように合格率が10%台という回もあります。たまたま厳しい回にあたってしまった人はアンラッキー、次受ければいいや、と考えて臨むのでしょうか。自分はそれは大いなる時間の無駄だと思います。

     時間に余裕のある人ならまだしも、仕事もあり時間のない社会人ならば一発で受かるつもりでやるべきだと思いますし、自分の体験記はそういった、「短期集中・一発合格を目指す」方の参考にして頂ければと思います。

     トータルの勉強期間としては約4ヶ月です。以下、時系列で記載いたします。

    最初の3ヶ月間

     下記参考書を使用しました。

    • 「ポケットテキスト(商業簿記)」(TAC出版)(以下、「ポケット」)
    • 「ポケットテキスト(工業簿記)」(TAC出版)(同上)
    • 「スッキリわかる(商業簿記)」(TAC出版)(以下、「スッキリ」)
    • 「スッキリわかる(工業簿記)」(TAC出版) (同上)

     この期間は、平日、通勤時間に「ポケット」を、お昼休みや仕事の空き時間に「スッキリ」を読んで、気になるところはノートにまとめ、整理する、という作業をしました。平日夜や休日は特に何もしていません。

     どうしても試験が近くならないとエンジンがかからない、というのは人の常かと思いますが、この段階では「細かい点まで頭で深く考える」というよりまは、さほど根を詰めず「全体を俯瞰するようにさらっと読む」感覚で何回も繰り返し読みました。ここで、3級の復習と、簿記のベースとなる考え方(「基礎」)の整理・確認はできたように思います。

     今試験が終わってから振り返ると、今回の2問目のように、過去問や模擬問題集ではほとんど見たことがないような問題が出ることもあり、小手先の試験対策(過去問や模擬問題集だけに頼る=「基礎」をおろそかにして「応用」しかやらない)の危うさと、「基礎」の重要性を痛感いたしました。

    1ヶ月前からの1週間

     下記問題集を使用しました。

    • 「出題パターンと解き方 過去問題集」(ネットスクール出版)(以下「パタ解き」)
    • 「日商簿記検定 模擬問題集」(ネットスクール出版)(以下「模擬」)

     「ラスパ」の中に「予想大会DX」なるネット講座を無料で受講できる、と記載があり受講いたしました。ネット講座ではありますが、PCの画面ごしに試験対策を熱く解説する講師の方々に大いにモチベーションをあげて頂きました。受験勉強でここまで熱い気持ちになれたのは本当に久しぶりでした。

     特に、予想大会の最後に桑原先生がおっしゃられた「誰かに良くしてもらった事は誰かに返す」という言葉は忘れられません。先生ご自身のエピソードにも思わず涙ぐんでしまいました(この体験記は先生へのお礼を兼ねた「お返し」と、ほかの受験生に少しでも役立てば「お返し」になるというつもりで書いています)。

     「ラスパ」の出来がボロボロであった事から、「応用」(試験対策として問題を解く事)の重要性を認識し、予想大会DXで盛り上がったモチベーションの勢いも借りて、「パタ解き」と「模擬」を購入しました。

     それからは、平日は朝早起きして出社し始業前の1時間、昼の1時間、寝る前の2~3時間、休日は1日中、ひたすら解き、間違えた箇所はノートで自分なりにまとめを記述するという作業をしまくりました。

    使用した問題集
    使用した問題集
    まとめノート
    まとめノート

     その後、2周目以降は出来た箇所は飛ばしながら、「ラスパ」・「模擬」と2回転、「パタ解き」を1回転やりました(この間、有給を1日とりました)。

     なお、問題をやる際には、次の2点を意識して取り組みました(これは他の方々の体験記などを参考にさせて頂きました)。

    • 常にスピードを意識して時間を計測(大問1問につき20分)
    • 1回分で使用する計算用紙も本番同様にA4の1枚に限定。二つ折りにして下書きや計算もコンパクトにまとめるように意識

     この3週間はパリパリ勉強して最もエンジンがかかっていましたが、家では平日も休日もピリピリしていましたし、家の事や子供たちの世話も妻任せで何もせず、申し訳なかったと思っています。

     気を遣わせてしまい家族に悪いので、休日は近所のネットカフェに籠もって早朝から勉強してました。

    直前1週間

     「パタ解き」「模擬」をもう1回転(この段階では、もうやった問題なのでおよそ8割から9割は得点できるようになりました。)やり、その後、繰り返して間違えた(=苦手な)問題をやりました。

    試験前日

     翌日に疲れを残してもいけないと思いあまり根を詰めずに「ラスパ」の苦手な問題だけを解いて、あとは子供と遊んだりしてリラックスして過ごしました。

    試験日の1日の流れ

     朝7時起床。試験は午後からで、午前中も勉強する時間はあるのですが、さすがに緊張しており、問題を解く作業はせずに、今までまとめてきたノートなどをさらっと眺めていましたがほとんど頭に入らない状態でした。今更ジタバタしても、という気持ちもありました。

     早めの昼食をすませ自宅を出て、12時50分くらいに会場につきました。大原簿記専門学校の中の40名くらい入る教室でしたが、自分より先に入っている人は一人だけでした。

     試験開始時点でも、2割くらいの席は空いていました。ちなみに、余談ですが、合格発表で合格者の受験番号を見たところ、その教室で合格していたのは4人でした。30人程度の受験者で4人ですから、やはり合格率は低かったのか、と実感しました。

     その後試験が始まるまでは席で目を閉じて頭を休めたりしていました。何もしていないと不安になるので、一応、ノートだけは持って行って机の上に広げてはいましたが、殆ど見ていませんでした。

     2時間の長丁場なので、トイレだけは始まるまでに3回くらい行っておきました(3級の時はこれで痛い思いをしました。開始1時間くらいで我慢できず、見直しもせずに途中退席。合格はしましたが、冷や汗ものでした)。

    • 試験開始!

     開始前に試験官の説明と、解答用紙に受験番号や氏名を記入する時間が与えられ、その時に解答用紙に、自分の得意な精算表が見えたので、ちょっと嬉しくなりました。その後、耳栓をして、計算用紙を二つにおり、集中モードに突入し試験開始。

    第1問

     1問目の減価償却でいきなりひっかけのように、「直接法」と来たので、早くも「難易度があがる」という自分の読みが当たったと思い、ここは注意深く解いて気が抜けたのか、2問目の積送品と3問目の社債で間違えてしまいました。

     普段なら間違えないようなところで間違えてしまっており、試験とは怖いものだと後から思いました。試験が終わった後、会場出口で第1問だけの解答速報が配られており、そこで20点中12点しか取れていない事が分かってしまいました。不合格かも、とがっかりしながら帰宅の途につきました。

    第2問

     銀行勘定調整表。第2問は変化球問題が多いと聞いており、また、パっと見で初見の問題でもあったので、ちょっとやって分からなければ後回しにしようと考えながら臨みましたが、そのまま解けてしまいました。

     変化球かと思いつつ、意外とスラっと解けてしまったので、基本的な考え方で勘違いしているところがあるのではないかと、家で解答速報を見るまでは不安でしたが、18点とれていました。

     銀行勘定調整は解答速報会によれば、本番での出題は10年ぶりとか。予想していた人はほとんどいなかったようです。とはいえ、問われている事はさほど難しい事ではなく、銀行勘定調整そのものは大問として問われる事はないにしても、精算表の期末勘定調整項目でよく出てきますし、問題文をよく読めば7~8割はとれるのではないかと思います。

     また、最後の「現金の残高」は「配当金領収証」も含まれるとしっているかどうかもポイントであったかと。

     ここに関しては、最初に購入して読んでいたテキストのおかげでした。「応用」(数多くの問題を解いてパターンに慣れる)だけではなく、「基礎」(蓄積した知識をもとに自分で考える)も求められていると感じました。

    第3問

     精算表。誰もがそうだと思いますが、3級のころからやりつくしている得意問題なので、自分がよくミスをしていた前受家賃と前払保険料の月数を特に注意しながら丁寧に計算し、20点取ることができました。

     ひっかかった点としては、仕入勘定ではなく売上原価でPLに出すところと、売上割戻引当金(しかも意外と細かい数字になる)の2箇所くらいでしょうか。

    第4問

     製造原価報告書・損益計算書。上から順に数字を入れていき、そのまま解けてしまいました。何か見落としているトラップがあるのか、これも採点するまでは少し不安ではありましたが、特に何もないようで、20点でした。

     あえてポイントを挙げるとすれば、材料費と労務費の直接と間接の区別でしょうか。ここがあやふやな人は結果としてまとまった点数を落としたかもしれませんが、当然おさえておくべきポイントではあるかと。

    第5問

     原価計算。ここで合否の差がついたと個人的には思います。ここで聞かれているのは、「直接」原価計算だけではなく「全部」原価計算との「違い」が理解できているかであり、ここを理解しているか否かで半分以下しか取れなかったか、7割以上取れたか、の差がついたと思います。

     この論点はネットスクールの『模擬問題集』にかなり突っ込んだ模擬問題が載っていました。最初は全く点が取れず、個人的に苦手な論点ではありましたが、捨てずに部分点は取れるように勉強していたのが奏功し、16点取る事が出来ました。

     とはいえ、出題のされ方も文章の穴埋めのような形式でちょっと今までの傾向とは違い、これも変化球だったのでしょうか。冷静に読めればよいのですが、自信がないと動揺していたかもと思います。

     以上、自分は出題の順番通り、1→2→3→4→5と解いていきました。というより結果的にそうなったのですが、下記2点は意識して臨みました。

    • 第2問は変化球が多いので、場合によっては後回し
    • その他の問題も5分詰まったら次の問題へ移る

     所要時間は、第1問15分、第2問15分、第3問20分、第4問15分、第5問15分でトータル80分。残り40分を見直しと自己採点のための解答書き写しに充てる事ができました。

     数多くの問題をこなし、スピードも意識して鍛えてきたのが本番でも効果を発揮しました。結果としてトータル86点で、無事合格となりました。

    最後に(おすすめの文房具のご紹介)

    シャーペン

     「クルトガ」はおすすめです。芯が回転するので常に細い線で記入できます。精算表作成などでは大活躍してくれました。普段、仕事でも使っています。

    ノート

     電車でも開く事ができるようにサイズはコンパクトなB6、綴じはリングタイプ。罫線は縦横にある方眼罫が使い勝手がよいです。

    消しゴム

     「ミリ消し」や「アナタス」など色々試しました。これらも結構使えますが、結局本番では「MONO」の小さめサイズ二つ(一つは使い古しで角が丸くなった広範囲用、一つは新品で細かい部分用)が便利だったように思います。

    耳栓

     これはおすすめです。他にも使っている人がちらほらいました。使って良かったです。電卓を叩く音や鉛筆で記入する音などに気を取られてしまうのが嫌だったので。おかげで解答に集中することができました。

    管理人からあっと!さんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
    「ポケットテキスト(商業簿記)」「ポケットテキスト(工業簿記)」

     80点。おすすめできます。上記2冊はコンパクトサイズで、電車の中での勉強に重宝しました。コンパクトサイズの本は意外と少ないので、貴重だと思います。

    「スッキリわかる(商業簿記)」「スッキリわかる(工業簿記)」

     70点。おすすめできるかも。絵入りで分かりやすいのですが、もう少し例題が多く載っているといいかと思いました。

    「出題パターンと解き方 過去問題集」

     90点。おすすめできます。出題パターン別に掲載されていましたが、自分的には試験回数ごとの掲載のほうが良かったかもと思いました。

    「日商簿記検定 模擬問題集」

     100点。絶対おすすめ。過去問でカバーしきれない論点が掲載されています。自分はこれに救われました。

    「ラストスパート模試」

     100点。絶対おすすめ。とにかく、必ずやっておくべきです。また、購入者が受けられるネット講座も必須です!

     以上、模擬問題集とラスパはおすすめというより「必須」です。残り3週間はこの2冊を集中してやるといいかもしれません。

     あっと!さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
    得意な論点

     精算表。3級のころからやりつくしている問題。

    苦手な論点

     「直接」原価計算と「全部」原価計算。問題と解答を覚えるくらい繰り返し解き、ノートにまとめた上で直前期(前日)に見ました。

     あっと!さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
    ・「次はない、今回で最後だ」と自分にいいきかせ気合を入れました。「落ちても次がある」と思うのとは大違いだと思います。

    ・常に1回分(第1問から第5問まで)を1セットで時間を計って解き、都度合否判定をしました。合格なら素直に嬉しいですし、点がとれなければ悔しい、そんな一喜一憂がいい刺激になったかと思います。

    ・本番3週間前のネット講座「予想大会DX」。これは独学でやっている人は特に受講すべきです。モチベーションがあがります!

     あっと!さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
    ・「次はない、今回で最後だ」と自分にいいきかせ気合を入れました。「落ちても次がある」と思うのとは大違いだと思います。

    ・常に1回分(第1問から第5問まで)を1セットで時間を計って解き、都度合否判定をしました。合格なら素直に嬉しいですし、点がとれなければ悔しい、そんな一喜一憂がいい刺激になったかと思います。

    ・本番3週間前のネット講座「予想大会DX」。これは独学でやっている人は特に受講すべきです。モチベーションがあがります!

    管理人コメント

     あっと!さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!かなり詳しく書いていただいたので読み応えのある合格体験記に仕上がっていると思います。

     それでは早速、中身を見ていきますが、受験生の皆さんにぜひ参考にしていただきたいのが、「1回分で使用する計算用紙も本番同様にA4の1枚に限定。二つ折りにして下書きや計算もコンパクトにまとめるように意識。」という部分です。

     本試験では、A4の計算用紙1枚に全ての下書きを記入する必要がありますが、普段から意識してコンパクトにまとめる練習をしておくと無駄な下書きを減らすことができますし、「先に二つ折りにする」など賢い使い方を身につけることができます。ぜひ取り入れてください。

     あと、試験日の1日の流れの第5問のところで、「その他の問題も5分詰まったら次の問題へ移る」と書いていただきましたが、このような「マイルール」を事前に用意しておくことはとても重要だと思います。

     本試験では予想外の問題が出題されて、頭が真っ白になってパニック状態になってしまうことも十分考えられますが、1つの問題に時間をかけすぎるのは非常に危険なので、あっと!さんのように「マイルール」を事前に用意して、1つの問題にハマりすぎないように気をつけてください。

    あっと!さんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第134回日商簿記検定 簿記1級 合格体験記 No.9

    過去問14回分を4周して得たのは「簿記の力」と「自信」です!

    • 投稿者:いぇーがーさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約1年半

    使用テキスト

    • 「サクッとうかる日商1級テキスト」全6冊 ネットスクール
    • 「サクッとうかる日商1級トレーニング」全6冊 ネットスクール
    • 「合格するための過去問題集(110~129回計14回収載)」 TAC
    • 「日商簿記ラストスパート模試」 ネットスクール

    勉強手法(合格までの流れ)

    • 1年半前~

     第129回(2011年11月)の2級試験直後から、それまでの勉強の勢いをかって1級の勉強に突入しました。サクッとシリーズのテキストを読み、その直後にサクッとシリーズのトレーニング問題を解きました。

     できなかった問題を中心にトレーニングは何回もやりました。テキストは、最初は読むだけにして、2周目、3周目くらいになって理解が定着してきた時点でノートにまとめました。

    まとめノート1
    まとめノート1
    まとめノート2
    まとめノート2
    • 1年2か月前~

     そろそろ、過去問に突入しようかなと思った矢先の2012年4月、急に仕事が忙しくなり、第131回(2012年6月)の受験を断念。そこからは、力を落とさないように、通勤途中にテキストを読んだり、思い出したように時々練習問題をするという日々が、10か月続きました。

     秋頃に仕事は落ち着いたのですが、なかなか本格的に勉強を再開する気になれず、ずるずると中途半端な状態が続きました。

    • 4か月前~

     第134回(2013年6月)を受けようと決心し、ようやく本格的に勉強を再開しました。まずは、以前の状態に戻すため、テキストを読みつつ、サクッとシリーズのトレーニングを一通り解きました。

    • 3か月半前~

     1年越しで、やっと過去問に突入しました。1年前に購入していた問題集だったので、直近の2回が収録されていないという欠陥がありましたが、結局もったいなくて最新のものは買いませんでした。(買わなくても合格できましたが、直近の2回の過去問をやらなかったことは直前まで引っかかっていましたので、反省も込めて最新のものをやるべきだと思います)

     その過去問は、14回分が収載されていたのですが、とにかくひたすら解きました。1周目は時間無制限で、2周目以降は時間を計測して、合計で4周解きました。3周目と4周目の間には、ラストスパート模試を2周解きました。

    1日の勉強時間

     最初の4か月間は、平日は通勤中のテキスト素読の他に1~2時間、休日は3~4時間くらい勉強しました。中だるみの10か月は、やった日でも1時間程度でした。

     最後の4か月は、平日1~3時間、休日は多い日で9時間程度やりました。本番の1か月前くらいが勉強のピークで、休日には過去問を3回分(制限時間にすると9時間分)解きました。

    自分で考える合格のポイント

    1. 過去問14回分を4周したことが一番大きかったと思います。少なくとも類似問題が出れば必ず解けるという自信が付きました。
    2. そろそろ包括利益が出るという情報があちこちから聞こえていたこともあり、過去問になかった包括利益を、「サクッと」と「ラスパ模試」でカバーしたことも本番で役に立ちました。
    3. 10か月の中だるみも全く意味がなかったわけではないと思います。わけがわからず暗記した箇所も、久々に復習してみると、やっていることの意味を理解できるようになっていました。時間をかけることで知識が定着したのだと思います。意味が理解できたことで、初めて見る問題でも、何とか対応できました。(今回の商簿の問題は意味を理解していなければきつかったと思います)

    その他思ったこと

     最後の総仕上げのつもりで購入したラストスパート模試は、商会が難しすぎて、全然できませんでした。正直、本番まで1か月を切り、いいイメージを持ちたいこの時期に、何じゃこりゃ?と思い、かなりストレスがたまりました。

     それでも、本番で役に立った論点もありましたので、模試と思わずに、難しい論点の練習問題と割り切るべきだと感じました。

    試験日の1日の流れ

     普段通り5時半に起床し、8時前に家を出ました。朝少し時間があったので、30分ほど最も苦手で最も出そうな分野の復習をしました。会場には20分くらい前に到着しました。

     会場は100人以上が入れる大部屋で、受験生も100人くらいいたと思います。ただ、空席が多いなと感じました。着席してからは、今さらノートやテキストを見直す気になれなかったので、電卓や消しゴムの配置をあれこれ考えながら時間をつぶしました。

    • 試験開始!

     予定どおり会計学から始めましたが、地に足が付いていないのが自分でもよくわかりました。簡単にできそうな問題でも普段の倍くらい時間がかかってしまいました。

     ようやく落ち着いてきた頃になって、意味不明な設問にぶち当たりました。勉強してきた知識を総動員してもできそうにありません。こんなところで時間を掛けていられない、ということで、即座に諦めて商業簿記へ移行しました。

     出ました!包括利益!連結自体は非常に単純化されていたのですが、いくつかの基本的な視点が折り重なるように問われていたので、徐々に頭の中が混乱してくるのが分かりました。これはヤバい、へたすりゃ全滅すると思い、全体を俯瞰してから解答することを諦め、パーツごとに区切って、その都度空欄を埋めて行く作戦に切り替えました。何とか足切りだけは防ぎたいという気持ちでした。

     全然自信のないまま、取りあえず一通り解答し、会計学の意味不明の設問に戻りました。結局どれだけ考えてもわかりませんでしたが、空欄よりはましと思い、自分の思うやり方で解答欄を埋めました(結局不正解でした)。

     商・会が終わった後の休憩時間は放心状態。ほぼ完璧な状態で臨んだはずなのに、イメージしていた「成功する自分」と異なる試験の手ごたえに、少なからずショックを受けていました。しかし同時に、難しかったから、絶対皆できなかったはずだと自分に言い聞かせていました。

     ようやく気を取り直して後半戦。工・原はわりと落ち着いてできたと思います。ただ、落ち着いていた割に、商・会よりもミスが多かったです。

    結果

    • 商業簿記 25点

     正直難しく、間違えた解答もありましたが、傾斜配点があったようで、なぜか満点でした。正攻法で完璧に解くことを途中で諦め、1か所でも多く部分点を稼ごうという方針で少しずつ空欄を埋めていったことが功を奏したようでした。

    • 会計学 21点

     自己採点はもう少し低かったのですが、これも傾斜配点があったようで、意外に高得点でした。間違えたのは分からない問題ばかりで、ミスはありませんでした。

    • 工業簿記 25点

     これは正真正銘の満点。過去問を解きまくった成果だと思います。

    • 原価計算 19点

     ミスもありましたが、大失敗はしなかったという感じです。

    • 合計 90点

     大手予備校の配点による自己採点では、83~85点くらいだったので、90点も取れていたことにびっくりしました。傾斜配点の科目が複数があったと思われます。

    まとめ

     遠回りもしましたし、もっとこうすれば良かったと思うことも多々ありますので、私のやり方が最良だとは思いません。ただ、一応このやり方で合格できましたので、何かの参考になれば幸いです。

    管理人からいぇーがーさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     サクッとシリーズのテキストとトレーニングは、インプットの学習用に使ったものですが、レイアウトが見やすく、わかりやすいと感じましたので、おすすめできます。85点といったところでしょうか。マイナス15点分は、過去問や今回の試験で出された論点で、載ってないものがいくつかあったところです。

     合格するための過去問題集は、他の過去問題集と比較したことがないので、何とも言えませんが、購入のポイントは14回分載っているという量の多さでした。但し、解説が時に不親切に感じることもありましたので、その辺りを引かせていただいて、90点

     ラストスパート模試は、本番よりも明らかに難しく作ってあり、特に商業簿記はこれでもかと難しい論点が重ねられていました。さらに厳しく鍛えたいという人や、難しい論点も知っておきたいという人にはいいと思いますが、最後の仕上げとして自信を付けたい場合は向いていないと思います。

     罵りながら解いていましたので、気持ち的には低い点を付けたいところですが…本番で役に立ちましたので、悔しいけれど90点です。

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     「CASIOのJH-12KM」という電卓です。安いこと、12桁あること、GTがあることが購入のポイントでした。正直、簿記用の高性能の電卓があることを知りませんでした。一応これで合格できましたし、特に不満もありませんでしたが、おすすめとまではどうでしょうか。知っていれば私も簿記用のものを購入したと思います。
     いぇーがーさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     大まかにいうと、得意なのが工業簿記・原価計算、苦手なのが商業簿記・会計学でした。会計学は過去問の点数も悪かったです。

     詳しい分野でいうと、得意(というより好き)だったのは、意思決定や原価差異分析で、苦手だったのは、外貨関係(在外子会社など)や、売価還元法、会計学の理論問題などでした。苦手克服のために、基礎問題を何度も解きました。知識が定着するまで問題を解きまくることが重要だと思います。

     いぇーがーさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     最後の4か月は、モチベーションも最高潮だったのですが、もともと、集中力が持続する方ではありませんので、「絶対1回で合格してやる、さらに6カ月もこの生活が続くなんて嫌だ」と強く念じていたからだと思います。

     その前の中だるみの時期は、もうやめようかなと思ったことが、正直何度もありました。その時は、せっかくこれまで苦労して知識を積み上げてきたのにもったいない、ということを自分に言い聞かせて、辛うじて気持ちをつないでいました。

    管理人コメント

     いぇーがーさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

     簿記の勉強は間を空けてしまうと、能力的にもモチベーション的にも、合格ラインまで持っていくのは至難の技になりますが、いぇーがーさんは「勉強時間をきちんと確保する→過去問を解きまくる→自信をつける」という戦法で、見事合格を勝ち取られました。

     簿記の勉強は、級が上がるにつれてアウトプット(問題演習)の重要性が高まりますが、実際は、いぇーがーさんのように過去問14回分を4周できる受験生はほとんどいません。仕事や家事の忙しさを理由にして「時間がないから出来ない」と自分に言い聞かせて、辛い問題演習から逃げてしまいます。

     本試験で過去問がそのまま出題されることはありませんが、「少なくとも類似問題が出れば必ず解けるという自信が付きました」と書いていただいたように、最後はこの、豊富な問題演習量に裏打ちされた「根拠のある自信」が合否を分けるのだと思います。

     最後に「直近の2回の過去問をやらなかったことは直前まで引っかかっていましたので、反省も込めて最新のものをやるべきだと思います」と書いていただきましたが、最新の過去問については大原やTACで無料請求することができますので、こちらを賢く利用することをおすすめします。

    いぇーがーさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第134回日商簿記検定 簿記1級 合格体験記 No.8

    勉強も恋愛も浮気は禁物。教材は1度買ったものを最後まで使い通そう!

    • 投稿者:のほほんさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約1年(2012年6月~2013年6月)
    • 備考:直前のみ、TACの的中答練パックを受講

    受験したきっかけ

     大学1回生の時に大学の講義で初めて簿記を勉強したのですが、元々データの数値等をを見るのがそこそこ好きだった自分にとってはなかなか興味深いもので、その講義で日商簿記受験を勧められて受験した結果、1回生の11月に3級、2月には2級を1発合格することができました。

     そして、2回生になるとせっかく2級まで1回生で取得できたのだから難関の1級にも挑戦したい、出来れば大学在学中に合格したいと思うようになり、ちょうど去年の6月試験の頃から勉強を始めました。

    使用した市販テキスト・問題集

     テキスト・問題集に関しては大学の講義で使っていたTAC出版の日商簿記2,3級のテキスト・トレーニングがとても使いやすかったので、日商簿記1級に関してもTAC出版オンリーでした。

    • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(1)Ver.9.0
    • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(2)Ver.9.0
    • 合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学(3)Ver.9.0
    • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(1)Ver.4.0
    • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(2)Ver.4.0
    • 合格テキスト 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(3)Ver.4.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(1)Ver.9.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(2)Ver.9.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 商業簿記・会計学(3)Ver.9.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(1)Ver.4.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(2)Ver.4.0
    • 合格トレーニング 日商簿記1級 工業簿記・原価計算(3)Ver.4.0
    • 合格するための過去問題集 日商簿記1級
    • 会計学理論マスター 日商簿記1級・全経上級対策

     日商簿記2級までは大学の講義で勉強ができたのですが、商学部や経営学部ではなく、経済学部に所属していたこともあり、1級のような上級の内容を取り扱う講義はなかったために基本、独学で勉強しました。ただ、試験前の1か月間はTACの的中答練パックを申し込んだり、全国模試を受験したりして本番に慣れようとしました。

     勉強時間は平日が約3時間、休日が6時間ほどでした。自宅から大学までの通学時間に2時間も要するため、大学へ行くのもただでさえ大変な中でバイトをすると恐らく勉強時間が確保できなくなると思い、1級合格のためにバイトはしませんでした。また、2時間の通学時間中にできるだけ理論マスターを眺めて理論分野の暗記に努めていました

    勉強の流れ

    • インプット期:(2012年6月~2012年12月)

     計算重視で「合格テキスト」を読んではその読んだ分野の「合格トレーニング」を解く、その繰り返しでした。インプットをがっちり固めておかないと過去問題集等でどれだけアウトプットしても意味がないと思ったからです。

     すぐに理解できた分野でも少なくとも3回、なかなか頭に入らない分野は10回ぐらいはやってました。ちなみにその結果、テキストとトレーニングはボロボロになりました(笑)。振り返っても簿記は「学ぶより慣れろ」と言われるようにとにかく手を動かすことが大切だと思います。

     理論に関しては先述したように自宅から大学までの通学時間に2時間も要するため、時間の有効活用に努めて通学中に理論マスターを眺めていました。

    • アウトプット期:(2013年1月~2013年4月)

     2月に実施される全経簿記上級を受験すべく、1月から2月の試験直前まで全経簿記上級の過去問題集を解いていました。全経簿記上級は試験範囲が1級とほとんど同じなので、1級受験生にとっては過去問題集等を通じて試験形式に慣れさえすれば合格は十分可能です。

     受験した理由は以下の4つです。

    1. 受験することで今までインプットしてきた1級の内容がどれだけ自分のものになったかを確かめることができるから
    2. 理論問題は1級よりも深い内容が出題されており、その対策は1級の理論補強には最適であったから
    3. 合格すれば1級と同じく税理士試験受験資格が手に入るから
    4. 合格すれば何よりモチベーションが上がるから

     1級受験の方はぜひとも1度全経簿記上級も受験することをお勧めします。

     全経簿記上級が終わって3月に入ると4月末までずっと過去問題集を解いていました。僕の買った過去問題集は113回から132回までの問題が収録されていたので、そのすべてを解き、過去問で点数が採れなかった分野は再びテキストとトレーニングに戻っていました。

     過去問は時間の許す限り、たくさん解いた方が良いです。1級特有の難解な言い回しやデータの取捨選択は過去問を解く度に慣れてくるものだと思いますし、過去問を解く度に時間配分をどうすればよいかもわかってくるものだと思います。

    • 直前期:(2013年5月~2013年6月)

     5月の初めにTACで的中答練パックを申し込みました。大手予備校の的中答練は信頼性があり、解説も丁寧なので、申し込む価値はあると思います。この的中答練においても過去問題集のときと同様に出来なかった分野はテキストとトレーニングに戻りました。

     また、理論対策についても的中答練で出題された分野を中心に理論マスターの会計基準を読み込んでいました。

     5月末になると、TACの1級全国模試を受験しました。本番さながらの雰囲気になれるのには最適でしたし、試験問題は良問揃いで当日の出題問題の中には会計基準の改正論点も出題されていたので、とても質の高い模試だったと思います。そして、全国模試が終わってからは模試の復習と苦手な論点のトレーニングをやり、そして試験当日を迎えました。

    勉強する上での個人的なアドバイス

    ■勉強スタイルは人それぞれだと思いますが、1度決めた勉強スタイルを貫き通し、テキストやトレーニングは1度買ったものを最後まで使い通すことが大切だと思います。

     周りに流されて勉強スタイルをコロコロ変えたり、テキストを後から次々に買い足したりすると右往左往することになり、効率が悪いと思います。

    ■眠たい時やしんどい時は早めに寝る等して体を休めましょう。眠たい時やしんどい時に勉強をしても頭に入ってきません。これは勉強をしていてしみじみ思いました。

    ■理論問題も出題されるものの、計算問題の方が大半を占めるので、計算問題ができないとどうにもなりません。ですので、計算重視で勉強していくことが大切だと思います。

     また、総合問題が毎回必ず出題されますが、個別論点あっての総合問題だと思いますから、個別論点はテキストとトレーニングを使って丁寧に勉強することが大切だと思います。

    ■試験中は緊張して些細な計算ミスや問題文の読み違いやデータの読み間違いが多いです。僕もそうでした。出来るだけ平常心でいることが求められます。そのためにも量をこなして「自分はここまでやってきたから大丈夫!」と自信をもつことが大切なんじゃないかと思います。

    ■1級を受験しようと決意したときの心意気を忘れずに!これが一番大切だと思います。

    試験科目ごとのポイント

    • 商業簿記

     商業簿記は総合問題ですが、先述したとおり、個別論点あっての総合問題だと思うので、まずは個別論点をしっかり押さえましょう。また、最近では世間でも連結ベースで財務諸表を見ることが主流となっているため、連結財務諸表からの出題が多くなっている気がします。資本連結・成果連結・持分法・在外子会社と時間をかけてじっくり勉強しましょう。

     また、本支店会計は出題実績が少ないものの、いつ出題されてもおかしくないと思うので、対策を怠らないようにしたいところです。

    • 会計学

     理論問題が出題されますが、その多くは○×問題、あるいは空所補充です。理論マスターをしっかりやりましょう。また、たまに出題される論述問題は会計処理の趣旨について確認することが大切だと思います。

     計算問題に関しては会計基準の改正論点や改正論争が起きている論点が多く出題されているような気がします。そのあたりは特に注意しましょう。

    • 工業簿記

     計算問題は計算力がいうまでもなく必要不可欠ですが、与えられたデータの取捨選択が合否を分けることが多いと思います。ですから、トレーニングで計算力を養いつつ、冷静に与えられたデータの取捨選択をする力を過去問等で養うことが大切だと思います。

     また、原価計算基準からの出題もありますので、暇を見つけてはテキストの条文を確認することは大切だと思います。

    • 原価計算

     原価計算と言えども大抵が意思決定問題です。意思決定問題はリニアープログラミングや投資の意思決定問題では図やタイムテーブルを上手く書くことが合格へつながることがあると思います。テキストに書かれた図やタイムテーブルを自分のものにすることも大切だと思います。

    試験日の1日の流れ

    • AM:6:30 起床

     約6時間睡眠をとり、試験日だからといってもいつもと変わらず朝はコーヒーにトーストでした。

    • AM:8:00 出発

     試験会場の大学へ自転車で出発。ちなみに持参したものは筆記具に受験票、腕時計、そして理論マスターでした。テキストや過去問題集を持参する方が多いようですが、荷物になり、さらには休憩時間に見る時間はほとんどないと思うので持参しませんでした。ちなみに試験会場は時計がない会場が多いので、腕時計は必ず持っていきましょう。

    • AM:8:30 試験会場到着

     試験会場の大学に到着。到着して第一にトイレを済ませ、試験10分前まで理論マスターで自分が不安なこと論点を中心に最終確認していました。

    • AM:9:00 試験開始(商業簿記・会計学)

     試験が開始されてまずは会計学から解き始めました。商業簿記は連結会計の総合問題でしたが、会計学は問1が○×問題、問2が減損会計、問3が会計上の誤謬と訂正に関する空欄補充問題と問題がそれぞれ独立してやり易かったからです。

     会計学を30分ぐらいで終わらせてから商業簿記にシフトしましたが、連結会計に事業分離の問題も絡んできて大苦戦し、結局、時間ギリギリで終えました。見直す時間はありませんでした。

    • AM:10:45 休憩

     商業簿記・会計学が満足にできず、不安に駆られていました。しかし、休憩中は振り返らず、次の工業簿記・原価計算のためにも原価計算基準の条文を眺めていました。

    • AM:11:00 試験開始(工業簿記・原価計算)

     試験が開始されてまずは原価計算から解き始めました。投資の意思決定問題ではまず、テキスト通りのタイムテーブルを書き、問題文の内容理解に努めました。原価計算にしては珍しく理論問題も出題されていたので、少し焦りました。

     そして、原価計算を40分ほどで終えて工業簿記に入りましたが、与えられたデータが少なかったものの、それをどこか難しくとらえていたため、問題理解にかなり苦しみました。こちらも時間ギリギリで終えたので、見直す時間はありませんでした。

    • AM:12:30 試験終了、そして帰宅

     試験が終了して帰宅。帰宅してから改めて問題用紙を眺めていると問題文の読み間違いやデータの読み落としが多々あったことに気づき、絶望感に浸ってました…。もう駄目だと思い、試験後すぐに止む無く再受験かなと思いました。

    試験結果

    • 商業簿記:20点/25点
    • 会 計 学:20点/25点
    • 工業簿記:17点/25点
    • 原価計算:16点/25点

     本当にギリギリで合格しました(笑)試験当日は問題文の読み間違いやデータの読み落としが多々あったので、試験が終わってからすぐに再受験を覚悟しました。それだけ嬉しかったです!

    管理人からのほほんさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた教材に点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめ出来ますか?
     勉強開始から試験前日まで商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算ともにTAC出版の日商簿記1級合格テキスト・合格トレーニングを使い続けていましたが、まず商業簿記・会計学に関しては基本的には論点・問題の配列や難易度も程よく、個別論点を主に取り扱ったテキスト・トレーニング(1)(2)に関してはこれだけで大丈夫といった感じでした。個人的には90点はあると思います。

     しかし、トレーニング(3)に関しては欲を言うと連結会計について試験でも出題実績がある持分法から連結子会社化や包括利益についてもう少しを充実させても良かったのではないかなとも思いました。ですので、10点引いて80点といったところでしょうか。

     工業簿記・原価計算に関しても商業簿記・会計学と同様に論点・問題の配列、難易度は良い感じであり、特に工業簿記分野で頻出論点を扱ったテキスト・トレーニングに関しては90点は与えても良い気がします。

     ただ、主に原価計算分野を取り扱った(3)に関して最適プロダクトミックスについて近年頻出の論点の割には解説・問題が薄い気がします。これを考慮すれば80点というところでしょうか。

     過去問題集に関しては解説だけでなく、豆知識や図も充実しており、時間配分の目安まで示されている点から、特に申し分もないので、90点は与えていいと思います。

     最後に理論マスターですが、過去に出題された○×問題の過去問が充実しており、会計基準についても重要用語は赤字で示されていたところが良かったと思います。コンパクトで持ち運びやすく、空いた時間を見つけて勉強できる点が良いと思います。個人的には95点です。

     ただ、たまに会計学で出題される論述問題では会計処理や制度の趣旨を問うているものが多い感じなので、対策をしたい方は加えて別に何か買った方が良いかもしれません。

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     CASIO MH-10Tという電卓です。この電卓は10ケタ表示で大学で簿記を学び始めたときに親から偶然譲り受けたものなのですが、個人的にはボタンが叩きやすいと感じており、ずっと使い続けています。

     しかし、日商簿記1級受験生であれば、大半の方が12ケタ表示の電卓を持っていますし、この電卓は受験上で認められている機能のうち、税計算機能しかついていません。日数計算や時間計算機能がついていませんので、日商簿記1級受験生が使う電卓としておすすめできる電卓ではないと思います。

     のほほんさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     商業簿記・会計学について計算に関しては個別論点は特に苦手はなく、だからといって、飛びぬけて得意というものはなかったと思います。しかし、本支店会計や連結会計といった大きなテーマ論点が苦手だったので、個別論点よりもテキストの読み込みに時間をかけていました。

     また、学ぶより慣れろという事でトレーニングを個別論点に比べて多く解くことで体に覚えさせようと必死でした。理論に関しては○×問題よりも穴埋め問題が弱かったので、理論マスターでは特に会計基準の重要用語の暗記に力を入れていました。

     一方、工業簿記・原価計算では部門別計算や総合原価計算は割とすんなり頭に入ってきたため、他の分野に比べれば得意な方でした。それに対して主に原価計算で出題される意思決定問題が苦手で特に差額分析による意思決定問題はほとんどできませんでした。

     ですので、この分野に関してはとにかくテキストレベルの基本問題だけは解けるようにとトレーニングの中でもレベルが高くない問題ばかりを繰り返していました。そして難しい問題は多分、本試験でも解けないだろうなと思ってあえて解きませんでした。

     のほほんさんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えて下さい。
     1級合格してからのことを考えていました。2級までなら商学・経営系学部の大学生なら在学中に合格できる人は多いでしょうが、1級に関しては在学中に合格出来る人は一握りです。

     合格したら、自慢事の一つにできますし、税理士試験受験資格も手に入ること等から今後の自分の可能性をさらに広げていけるのではないかなと思うと自然とやる気が出てきました。

     また、元々知識を入れることが嫌いではなかったので、勉強するごとにさらに知識が増していくと思うと勉強が嫌にはなりませんでした。

    管理人コメント

     のほほんさん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!勉強方法を中心にかなり詳しく書いて頂きましたので、読み応えのある、参考になる合格体験記に仕上がっていると思います。

     それでは早速、中身を見ていきますが、まず参考にしていただきたいのは細切れの時間の使い方で、具体的には「2時間の通学時間中にできるだけ理論マスターを眺めて理論分野の暗記に努めていました」というところです。

     理論分野の勉強は、計算分野の勉強とは違って場所を選びませんので、通勤・通学時の細切れの時間を使って勉強するにはうってつけです。のほほんさんのように、携帯しやすい理論問題集を1冊買って有効活用することをおすすめします。

     また、「勉強する上での個人的なアドバイス」のところで、「1度決めた勉強スタイルを貫き通し、テキストやトレーニングは1度買ったものを最後まで使い通すことが大切」と書いていただきましたが、これも全く同感です。

     簿記3級→簿記2級→簿記1級…と、試験の難易度が上がるに連れて、いろんな教材に手を出したくなる気持ちは良く分かりますが、ほとんどの場合、すべてが中途半端になってしまって、消化不良のまま本試験を迎えることになってしまいます。

     よって、教材の浮気はせずに、最初に決めた(購入した)教材を信じて最後まで使い尽くすようにしましょう(その分、最初にきちんと比較・吟味して教材を決めてください)。

     あと、のほほんさんは直前期にTACの的中答練パックを受講されていますが、的中答練・公開模試・総まとめ講義演習を、(1級フルパックに比べると)お得な金額で受講できるので、最後の追い込みで利用すると効果的だと思います。

     3級・2級は独学でも十分合格可能だと思いますが、1級に関しては難易度が一気に上がりますので、「通学(通信)」または「独学+直前対策講座」という組み合わせをおすすめします。

    のほほんさんが使われた教材や電卓のまとめ