投稿者: 田口泰久@簿記検定ナビ

  • 第156回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.173

    本試験と練習は別物。直前期は本試験を想定した勉強に力を入れましょう!

    • 投稿者:宏海さん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約6か月

    はじめに

     私は小学生の子供が2人いる主婦です。仕事の選択肢を広げられたらと思い簿記の勉強を始めました。

    簿記3級について

     簿記3級については受験していません。スッキリわかる3級と簿記ナビの仕訳問題、スッキリとける過去問題集をひととおりこなし、試算表や精算表の問題を解いたさいに3級の範囲は完全に理解できたと確信できました。

     2020年6月の第155回の試験があれば受験していたと思うのですが、(コロナの影響で中止になってしまったため)11月まで3級を引っ張るよりも2級にチャレンジしたい気持ちが大きかったので、3級を飛ばして2級を受験する決意をしました。

     なお、3級の勉強時間は約68.5時間です。

    簿記2級の教材・電卓

    • テキスト
      • スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記(TAC)
      • スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記(TAC)
      • スッキリとける 日商簿記2級 過去+予想問題集(TAC)
      • 日商簿記2級 網羅型完全予想問題集(TAC)

     スッキリわかるテキストで勉強するつど、テキストの問題と仕訳対策教材の重要仕訳を項目別に解き進めていきました。過去問を解き始めた頃には、仕訳問題はスムーズに解けるようになっていました。

     スッキリとける・わかるシリーズは、ネコのイラストが可愛いくて取り組みやすい印象です。ただ、テキストと過去問の難易度の差が大きいので、テキストはサクサク進めて早い段階で過去問に取り組んだほうが良いと思います。

     網羅型完全予想問題集は、難しいという評判だったので恐る恐る挑戦しましたが、初級・標準・上級とレベル別に問題が分けられているので、たくさん問題を解きたい方におススメです。ただ、解答の解説はスッキリとける過去+予想問題集のほうが丁寧で分かりやすいです。

     また、直前期には出題パターン対応表を重宝しました。2問・3問対策として、同じ論点の問題をまとめて解きました。4問・5問対策もスムーズにできるのでスッキリとける過去+予想問題集にも出題パターン対応表を入れて欲しかったです。

    • 電卓
      • SHARP EL-G37

     SHARPの電卓は8月に購入しました。日数計算が一瞬で計算でき、正答率もUPしました。

     ずっとCASIOの電卓を使用していたので、最初は打ち慣れず計算ミスも多かったのですが、精算表やB/S、P/Lの問題に入る前に購入しておいてよかったと思います。M+やM-などの機能は使えていませんが、日数計算が使えるだけでも心強いです。

    ミスノート

     過去問に取り組みだした頃から、ミスノートの作成を始めました。

     間違えた問題・解答を書き込むだけです。第2問・第3問は問題を解いた際の解答用紙に間違えたところに赤ペンでチェックをいれて貼り付け、細切れ時間に振り返って確認しました。

     試験当日の午前中にミスノートを確認していたら、同じ仕訳問題(117回の1、不渡手形)が3回も書いてあり苦笑しました…。

    ミスノート1
    ミスノート1

    ミスノート2
    ミスノート2

    ミスノート3
    ミスノート3

    簿記の勉強に役に立ったもの

     2級の勉強では、商業簿記の税効果・連結と工業簿記のシュラッター図の理解に苦しみました。つまづいたときは簿記ナビの合格体験記を読んだり、ネットで調べたり、Youtubeでふくしまさんの動画を観たりしました。

     中でもシュラッター図には1週間程つまづいていたのですが、ふくしまさんの動画でストンと理解することができ、以後大好きな問題になりました。テキストだけで強引に進めていたらいまだに悩んでいたかもしれません。

     Twitterでは田口さんやフクシマさんのつぶやきを眺めたり、他の受験生の頑張る発言が良い刺激となりました。

    試験日1日の流れ

     試験の開始時刻は13時30分でしたので、普段の土日と変わらない時間に起床しました。

     午前中にひととおりの家事をすまし、簿記検定ナビの仕訳対策教材の過去問類題を解き、原価計算とCVP分析の問題を解きました。

     早めに家族とお昼ご飯を食べて、検温(2回目)をしてから家を出発。試験会場の近くまで夫が車で送ってくれました。

     日頃、子供たちがゲームしたり騒いでいる中で問題演習を行ってきたので、試験会場の雰囲気に圧倒されることはありませんでした。試験開始まで落ち着いて、ミスノートを確認したりしていました。

    試験開始

     1→4→5→2→3の順番で問題を解き進めましたが、4問、5問あたりを解いているさいに大きめの計算ミスをして時間をロスしてしまい、かなり気持ちが焦りました。とにかく必死に問題を解ききり、残り10分でケアレスミスがないかだけチェックしました。

     直前期はとにかくスコアを1点でも多く取りたい一心で、項目別に問題を解いていたのですが、試験と同じ流れと時間でもっと問題演習をしておくべきだったと思いました。試験会場で2時間、緊張しながら問題解くのと自宅で細切れで問題を解くのとでは全く違うからです。

     また、あきらめそうになったり、くじけそうになった時に気持ちを入れ替えるのは大事だなと思いました。私にとっては今回まさに安西先生の名言でした。「あきらめたらそこで試合終了ですよ…。」

    試験終了後

     ざっと答え合わせをして自己採点では65~75点くらいと予測していました。

     ケアレスミスが3か所もあって完全に落ちたと思ったのですが、何となくやる気がでなかったので、合格発表までは「財務3表一体分析法」を完読と、決算書をパラパラ眺めていました。

     合格・不合格ギリギリのボーダーラインではなく、余裕で合格したなと思えるラインを目指して勉強をしていたので、あと1か月ぐらい時間が欲しかったなと思いました。

    合格発表

     9時にネットで発表されるとのことでしたが、きっと落ちてるはずだからすぐ見なくても…と思いつつ、9時5分にはネットで確認してしまいました。結果は以下のとおりです。

    • 合計:77点
      • 問1:16点
      • 問2:14点
      • 問3:12点
      • 問4:16点
      • 問5:19点

     合格後、夫に報告したところ「良かったね。ネットで難しいって話題になってたね」と言ってくれました。また試験前に「次があるなんて考えちゃいけないですよ。今回合格しようと思って行かないと」と励まして下さった方に報告すると「おめでとう。次は1級だね!」と言ってもらいました。

     余談ですが、現在独学で1級に挑戦中です。まだ40時間を経過したぐらいなので何とも言えませんが、やっぱり1,000時間位勉強しないと何も見えないですよね。工業簿記から開始しておりますが、2級よりさらに複雑な計算が増えて奥が深く、面白いなと感じています。

    管理人から宏海さんへ追加の質問

     宏海さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     得意な論点は総合原価計算・標準原価計算です。苦手な論点は連結・費目別計算です。

     問題を解いたさいに日付と点数を記録し、8割以上取れない問題は点数が取れるようになるまで繰り返し解き続けました。また苦手論点や点数が低めの論点については、同じような問題を集中的に解きました。

     連結はまとまった時間をとって演習を重ねましたが、他の問題と違い20点満点を取れたことがなかったので、部分点狙いに切り替えて基本部分の対策に注力しました。本試験では12点でした。

     宏海さんの、勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
    ・方眼ノートに勉強した時間を塗りつぶして、勉強時間を把握する。
    (東大生でやっていた人がいたのでマネをしました。簿記の勉強は初めてだったので効率的な勉強はできませんでしたが、勉強をする経験を重ねる事でより上手く勉強できるようになると思ったので、勉強時間は常に意識していました。)

    ・毎週月曜日に改めて勉強方針を練る。
    (ざっくりとした学習計画はありましたが、シュラッター図や連結でつまづき、予想以上に時間をとってしまうこともあったので、週明けに現状を見てプランを立て直しました。)

    ・気晴らしにやる気がでるアニメをみる。
    (アマプラでスラムダンクと鬼滅を見てました!私は仙道が好きです!)

    管理人のひとことコメント

     宏海さん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

     仕事も勉強も「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のサイクルを繰り返し行うことが重要ですが、当初の計画をそのまま実行できる可能性は低いため、宏海さんのように定期的に計画を見直す必要があります。

     また、勉強時間を記録しておくと計画の見直し時に役立ちますし、モチベーションの維持につながります。宏海さんのように方眼ノートに記入してもいいですし、スマホの勉強管理アプリなどを使うのもおすすめです。いろんな方法を試して、自分に一番しっくりくるスタイルを見つけてください。

    宏海さんが使われた教材・電卓のまとめ

  • 第156回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.172

    工業簿記は90%を死守する!第2問・第3問は時間の使いすぎに気をつけて!

    • 投稿者:簿記大好きさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約3か月

    はじめに

     私は2021年から社会人になる大学4年生です。入社する会社から簿記の取得を勧められたので、簿記2級を受験しました。大学では政治経済を専攻していますが、(簿記の受験を決めるまでは)簿記の知識はゼロでした。

     勉強期間は3か月、独学で簿記2級に一発合格しました。勉強しているときに簿記検定ナビを使用したので、合格体験記を書かせていただきます。

    学習の流れ

     私の簿記の勉強の流れは以下の通りです。

    1. Youtube「ふくしままさゆき」で簿記を理屈で理解する
    2. 「みんなが欲しかった簿記の教科書」で仕訳を覚える
    3. 「みんなが欲しかった簿記の問題集」で問題を解く
    4. 過去問・予想問題で、時間配分の感覚をつかむ
    5. 苦手なポイントをノートにまとめる

     以下でそれぞれについて詳しく書いていきます。

    1. Youtube「ふくしままさゆき」で簿記を理屈で理解する(試験90日前~60日前)

     「ふくしままさゆき」さんという方がYoutubeで簿記3級と2級の解説動画を出しています。この方は「なぜ、そうゆう仕訳をするのか?」という解説をしていたので、理屈っぽい私には相性が良かったです。

    2. 「みんなが欲しかった簿記の教科書」で仕訳を覚える(試験90日前~60日前)

     ふくしままさゆきさんの動画を見ながら、「みんなが欲しかった簿記の教科書」を読んで仕訳を覚えました。このテキストはコンパクトでイラストも多いので、仕訳暗記用として使っていました。試験を受ける前に、何十回も見直しをしたと思います。自分が苦手なポイントは付箋をつけて、すぐに復習できるようにしていました。

    3. 「みんなが欲しかった簿記の問題集」で問題を解く (試験60日前~30日前)

     教科書をある程度覚えたあとに、問題集を解きました。1周目は全然解けませんでしたが、2周目から少しずつ解けるようになりました。試験までに4周くらいしたと思います。

    4. 過去問・予想問題で、時間配分の感覚をつかむ(試験30日前~前日)

     試験の1か月前から過去問を解き始めました。過去問は12回分を解き、80点以下の回は2回解き直しました。過去問の成績が12回中10回合格だったので、気持ちに余裕が出てきました。過去問は時間配分と難問の見極めを特に意識して取り組みました。

     予想問題はTAC出版のを使いましたが、少し難しめに作られていて直前期には良い教材だと感じました。

     また、苦手なポイントやケアレスミスをまとめたノートを作成しました。簿記で一番恐いのがケアレスミスだったので、自分が間違える傾向を知るためにまとめました。

    まとめノート1
    まとめノート1

    まとめノート2
    まとめノート2

    使用したテキスト

    テキスト

    • みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級(TAC出版)
    • みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商2級 商業簿記(TAC出版)
    • みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商2級 工業簿記(TAC出版)

     フルカラーで図やイメージが多くて、暗記用としてよい参考書だと思います。またコンパクトなので、持ち運びしやすい点も好きでした。ただ「なぜこの仕訳になるのか?」という理屈が少ないのがマイナスポイントです。そこは、ふくしままさゆきさんの動画で補いました。

    問題集

    • みんなが欲しかった 簿記の問題集 日商2級 商業簿記(TAC出版)
    • みんなが欲しかった 簿記の問題集 日商2級 工業簿記(TAC出版)

     テキストとリンクした問題集です。難易度は過去問より少し易しいレベルだと思います。過去問を解く前のクッション材みたいな存在です。ただ工業簿記の解説に勘定連絡図が書かれていないのが、個人的なマイナス点です。

    過去問・予想問題

    • 第156回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(TAC出版)
    • よくわかる簿記シリーズ 合格するための過去問題集 日商2級(TAC出版)

     最近の簿記2級は難しいので、過去問は必ず解いた方が良いです。特に、TAC出版の過去問題集は、工業簿記の問題に勘定連絡図が入っているのでお勧めです。

     予想問題は時間がある方向けです。TACの予想問題は難しいので、良い練習になると思います。

    その他

    • Youtube(ふくしままさゆきチャンネル)

     この方の動画の良い点は、できる限り、簿記を理屈で解説している点です。簿記の参考書だと「こうゆう場合は、こうゆう仕訳をします。覚えてね。」という説明が多いですが、この方の解説は「なぜ、そうゆう仕訳をするのか?」という点にフォーカスされています。ただ、動画の時間が長いため、短期で簿記2級を取得したい方には向かないかもしれません。

    試験日1日の流れ

    10時 起床

     試験は13時30分なので、遅めに起きました。

    11時 朝食

     昼食をとらない予定だったので、朝食にうどんを食べました。

    12時 自宅を出発

     忘れ物がないか確認をしました。電卓を忘れると最悪なので、念入りに確認しました。

    13時 試験会場に到着

     事前に試験会場の下見をしていたので、特に迷うこともなく到着しました。時間に余裕がある方は下見をオススメします。試験開始直前にトイレを済ませました。

    13時30分 試験開始

     特にトラブルもなく、良い緊張感で試験に臨めました。過去問演習の時から【4→5→1→3→2】で練習していたので、本番も同じ順番で解きました。

     工業簿記の問4と問5は教科書レベルで、20分で終わりました。問1もそこまで難しくなかったので安心しました。問2と問3は難しかったので、途中で止めて、問1・4・5の見直しに入りました。すると問4で計算ミスをしていたことに気が付きました。

    15時30分 試験終了

     正直、手応えはありませんでした。特に問2と問3の計算量が多く、計算ミスをしていたらヤバイかも…と思っていました。試験終了後にtwitterを開いたら「簿記2級」がトレンド入りしていて驚きました(笑)

    19時 自己採点

     TAC・大原・ネットスクールの解答速報をもとに自己採点しました。結果はTACと大原が80点、ネットスクールが78点でした。

    結果

     当日まで、結果にドキドキしていましたが、無事合格していました。大問ごとの点数は以下の通りです。

    • 合計:80点
      • 第1問:16点
      • 第2問:10点
      • 第3問:14点
      • 第4問:20点
      • 第5問:20点

    これから簿記2級受ける方に向けたアドバイス

     最後にアドバイスを3点ほどしたいと思います。

    1. とにかく工業簿記は90%を死守する。

     簿記2級の過去問を13回分(予想問題も合わせると18回分)解きましたが、「工業簿記を制する者が簿記2級を制する」というのが私の結論です。

     少なくとも過去4年間、工業簿記で難問が出題されたことはありません。商業簿記で難しい問題が出たとしても(※151回や153回など)、工業簿記で90%取っていれば合計で70点以上を取ることは容易です。

     工業簿記の勉強としてオススメしたいのが「勘定連絡図を書くこと」です。これは時間がかかって面倒くさいですが、必ず点に結びつきます。TAC出版の過去問題集には、すべての解説に勘定連絡図が書いてあるのでオススメです。

    2. 問1の仕訳問題で落とさない。

     問1の仕訳問題は1問4点なので、これを落とすと一気に合格から遠ざかります。仕訳問題の対策は直前期にやりましょう。簿記検定ナビが出している「重要仕訳TOP100」もオススメです。

    3. 問2と問3は部分点狙い!時間を使いすぎない!

     最近の簿記2級は問2と問3が難しい傾向にありますが、難しくても8点~10点ぐらいの部分点は取れますし、逆に時間をかけすぎて他の問題を間違えていたら本末転倒です。

     私は今回の問2を半分しか解きませんでしたが、代わりに他の問題の見直しに時間を割きました。自分が解ける問題を探して解きましょう。その見極めをするには過去問演習が必須なので、直前期にはぜひ過去問を120分で解いてみてください。

    おわり

     まず、独学の私にとって簿記検定ナビは非常にありがたかったです。運営者の田口さん、ありがとうございました。

     簿記に限らず、何かを達成するためには(1)計画、(2)モチベーション、(3)環境が大切だと思います。

     (1)の計画は自分の性格に適した勉強計画を立てることが大切です。私は理屈っぽい&問題を解きながら覚えたいという人間なので、それに合わせてテキストを買いました。これから受ける方も、自分の性格や確保できる勉強時間などを鑑みて、勉強計画を立てることをお勧めします。

     (2)のモチベーションは、「なぜ簿記2級を取りたいのか?」ということを言語化することが大切です。私は毎日、紙に書いていました。(3)の環境ですが、私は簿記2級を受ける友達と一緒に勉強していました。

    管理人から簿記大好きさんへ追加の質問

     今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
     勉強に使った電卓は「SHARP製 学校用電卓 EL-G37 (12桁)」です。TAC出版書籍販売サイトで直接購入したので、少し安く買えました。
     簿記大好きさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     得意論点は工業簿記全般です、勘定連絡図を繰り返し書いたので得意になりました。苦手論点は有価証券と連結会計です。教科書や問題集を何回も見て、苦手を克服しました。

    管理人のひとことコメント

     簿記大好きさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

     簿記大好きさんの合格体験記の中で、受験生の皆さんに一番参考にしていただきたいのは「工業簿記を勉強するさいには、常に勘定連絡図を書くこと」という点です。

     工業簿記の理解を深めるためには、商業簿記以上に勘定の流れを正確に把握する必要があります。問題を解くさいは、常に頭の中で勘定連絡図をイメージし、今、どの段階のどの部分の処理が問われているのかを考えるクセを付けましょう。

    簿記大好きさんが使われた教材・電卓のまとめ

  • 第154回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.171

    独学受験生は補助教材としてYouTubeの解説動画を有効活用しましょう!

    • 投稿者:50歳のおっさんさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約3か月

    はじめに

     生産部門から管理部門へ異動となり、部下への取得を促進するため、まずは自分で取得することとしました。50歳のおっさんのため記憶力の低下が激しく勉強は苦労しました。

     また、試験会場では若い方が多く”あまりの場違い”で戸惑いました。私の体験は、簿記受験を考えている中高年の皆さんの一助になれば幸いです。

    2級受験までの流れ

     業務の基礎知識を高めるために資格を取得することとしました。理系/工場勤務で工業系の資格はたくさん持っていますが、簿記会計の知識は無く、一念発起で受験することにしました。

     まずは、153回の簿記3級を1か月半の独学で一発合格し、試験後からすぐに154回の簿記2級の勉強を始めて3か月の独学で一発合格しました。154回は比較的簡単な問題でしたので、運が良かったと思います。

    教材

    使用テキスト

    テキスト
    テキスト

     3級から使っているスッキリシリーズで独学しました。過去問題に加えて、最近2回分は資格予備校から取り寄せて、計5回解くことを目標としました。

     テキストはいろいろな種類があり好みが分かれますので、自ら書店で内容を確認してから購入することをお勧めします。また、TAC出版の答案用紙のダウンロードサービスは便利で重宝しました。

    • スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記(TAC):80点
    • スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記(TAC) :80点
    • スッキリとける 日商簿記2級 過去+予想問題集(TAC) :70点

     他の問題集は使用しませんでした。とにかく、基礎知識を叩き込んで、そのあと過去問を繰り返し解き、”知識と問題解答へのつながり”を意識しました。

     また、予想問題は3級の時に難しくて自信を無くしただけでしたので、2級では一切解きませんでした。その代わり、テキストは何度も読み返しました。

    補助テキスト

     簿記検定ナビの仕訳対策教材(重要仕訳TOP100)にはたいへんお世話になりました。

     3級、2級ともにPDF版を印刷して通勤時間や昼休みにAランク50問/Bランク50問を通して5回ほど解きました。Web版で解説をよく読んで理解したあとに、繰り返し解くことをお勧めします。

    補助ノート

     補助ノートは作成しませんでした。テキストへの書き込みも行わず、学習内容を計算用紙に手書きすることで覚えていきました。

    電卓

     Canon HS-1220TUGを使用しました。また、通勤時間の携帯用電卓として無印良品の小型電卓を使用していました。

     私が受験した会場では、”電卓使用不可”で退出した方が1名いました。せっかくの努力が無駄となりますので、これから受験する皆さんは、受験に使える電卓をきちんと選ぶことをお勧めします。

     また、電卓がないとどうしようもないので、前日に電池を交換する等、万全の準備で臨みました。可能であれば、スペアの電卓を持参するとよいと思います。

    その他(YouTube)

     補助教材としてYoutubeの簿記チャンネル(合格TVとふくしままさゆきさんのチャンネル)をよく利用しました。

     合格TVは計30hを超える内容でしたが、質問はできないもののレジメを見ながらゆっくりと進行するので、基礎知識の習得につながりました。

     また、ふくしままさゆきさんの動画は大変わかりやすく、すんなり理解できました。50歳のおっさんとしては、このように無料で勉強できる環境があることに、時代の変化を強く感じました。

    学習の流れ

     まずは基本知識を学習し、その後は過去問を解くことにより「点数を取れる」学習に切り替えていきました。

    11月中旬から12月中旬

     3級の試験後、すぐに2級の勉強を始めました。まずは、YouTubeの合格TV(商業/工業)を勉強しました。

    12月中旬から2月上旬

     スッキリシリーズのテキストで読む/書く/付属問題を解くことを繰り返しました。

    1月上旬から2月中旬

     過去問に取り掛かりました。問題集の6回分に加えて、今年度の本試験2回分(152回・153回)の計5回分を解くことを目標に解き始めました。

    • 1回目(20~50点):問題の傾向をつかむ、テキストを見て解く、時間を気にしない
    • 2回目(60~70点):できるだけ自力で解く、時間を気にしない
    • 3回目(65~75点):時間を計りながら解く
    • 4回目(70~90点):難しい問題はやり直す
    • 5回目(85~95点):過去5回分を90分で解くことを繰り返す、本番と同様に”見直し”に力を入れる
    点数の記録
    点数の記録

    試験直前

     出題範囲が広いこともあり、部分点狙いでギリギリ合格を目標としました。しかし、一週間前にカゼで体調を崩したため、試験前日は過去問の苦手問題を解き、ぼんやり寝て過ごして体調の回復に努めました。

     Covid-19の影響で試験実施が危ぶまれましたが、前日と当日にホームページ上に「予定通り実施します」と告知されていました。

    試験日1日の流れ

     いつも通り5時に起床し、朝食をとりましたが、体調がイマイチでしたので、飲み薬を服用して11時まで布団で寝てました。

     起床後も体調不良と緊張で食欲が無かったので、昼食はチョコレートで糖分を補給する程度に抑えました。

     家族に自動車で会場まで送ってもらい、余裕をもって試験開始時刻の45分前に会場へ到着しました。簿記3級の会場とまったく同じ大学で教室まで一緒でした。

     着席した後は、心の安寧のため持参した参考書は一切見ずに、試験準備の後はぼんやりしていました。事前注意事項として、筆記用具、身分証明書、受験票以外のものはすべてしまうように指示があり、マスク着用はOKでしたがシャーペン芯ケースやティッシュは不可でした。

     使用できる電卓の注意をしつこいくらいしていた中で、1名の女性が電卓使用不可で退場されました。係員からは「試験開始後30分以内であれば受験可能」と言われ、コンビニの場所を聞いていましたが、結局戻ってきませんでした。

     その後は、トイレと給水、深呼吸でぼんやりと開始時刻を待ちました。Covid-19の影響か、試験会場は空席が目立ち、受験率は60%程でした。なお、開始5分前に入場する強者がいて驚きました。教室内で制服姿の女子高校生を見つけ、50歳のおっさんとして「落ちるわけにはいかない」と緊張しました。

    試験開始!

     最初に配布されたA4計算用紙1枚を1/4に折って、試験開始を待ちました。問題の配布や説明があり、15分遅れの13:45スタートでした。

     第1問→第5問→第4問の順で予定通り60分を使い、余裕を持って第2問→第3問を取り組みました。予想以上に第2問に時間を消費してしまったため、第3問は時間が無く部分点狙いへ切り替えました。残りの5分は深呼吸とざっとした見直しに費やし、試験が終了しました。

     私が受験した教室には120名ほどいましたが、途中退席は1名だけでした。また、3級の時は電卓の打撃音が激しい方が近くにいてすごく気になりましたが、2級では、そこまで打撃音が激しい方はいませんでした。音が気になる方は、許可を得たうえで耳栓を着用したほうがよいと思います。

    帰宅後

     予備校の模範解答で自己採点したところ、80点前後でした。前回よりも多少簡単だった気がしました。また、試験当日の夕方に模範解答が出る速さに驚きました。

    • 第1問:16点
    • 第2問:12点~14点
    • 第3問:12点
    • 第4問:16点
    • 第5問:20点
      • 合計:76点~78点

    結果

    合格発表
    合格発表

    合格証書
    合格証書

     問題が簡単と感じた割には、82点でした。時間配分のミスが響いたと思います。

    今後受験する皆さんへ

    基礎である”仕訳”をできることが大切

     2級は範囲が広く、第1問の仕訳ですら難問です。簿記検定ナビの仕訳対策教材を暗記するぐらい何度も解くことをお勧めします。

    過去問を何度も解く

     基礎学習はすぐには試験の得点アップに繋がりません。出題傾向がありますので、何度も過去問を解いて、傾向を掴むことをお勧めします。また、解説をよく読んで解き方を覚えることも重要です。

    本番では、解く順番や時間配分を事前に決めておく

     「実務で生かすこと」と「試験に合格すること」は大きく違います。合格を目標としての受験ですので、どのように合格点を取るかを自分で考えておくべきです。

     「自分の得意な得点源から解いて、難問は部分点でよい」等の戦略を持ち、あらかじめ時間配分を決めておくことをお勧めします。割り切りと落ち着きが必要だと思います。

    問題をよく読む

     ケアレスミスを無くすためには、問題をよく読むことが重要です。特に決算期(4月~3月、1月~12月)を間違えるとすべて不正解となりますので、落ち着いて問題をよく読むクセをつけることをお勧めします。ケアレスミスが無くなれば確実に点数がアップします。

    勉強時間

     平日は通勤時間の30分(仕訳、テキスト読み)+動画視聴の30分(YouTube)程度でした。土日は過去問を中心に1日3~4時間(過去問2回分/休日)でした。

     特に50歳のおっさんの記憶力は格段に低下していますので、手を動かして記憶するようにしました。自学ではボールペン2本分を使いました。

    やる気の維持

     3級の受験動機は「部下に資格取得を推奨する」ことでした。中堅の部下からは「業務には2級の知識が必要」との助言があり、畑違いでしたが何とかやる気を維持しました。ただし、たまの息抜きも必要と思います。

     一方、簿記2級は「高校卒業程度」の資格であり、50歳のおっさんには別の緊張感「落ちるわけにはいかない」がありました。また、”書いて理解すること”を重視していたので、ボールペンを何本使い切るか?をモチベーションとしていました(昭和の感覚ですね)。

    独学に拘りたい方へ

     YouTubeに無料動画がたくさん投稿されています。ほとんどの資格予備校は専用チャンネルを持ち、広告のため無料の動画をたくさん掲載しています。

     自分に合うチャンネルや講師を見つけて、自学の補助にされると良いと思います。目からうろこの解き方が見つかるときもあります。私は、連結会計の過去問解説が参考になりました。

    管理人から50歳のおっさんさんへ追加の質問

     電卓使用不可で退出させられた方がいらっしゃったとのことですが、もし不可の理由が分かりましたら教えてください。
     試験監視員はMUボタン(mark up)の有無を確認していました。退出された方はゴツ目の旧式計算機を使用されていました。

    管理人のひとことコメント

     50歳のおっさんさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

     試験で使用不可能な電卓を持ち込んだ方が退席させられたとのことですが、これから受験する方の不安を解消するために、こちらの情報を一度整理しておきましょう。

     まずは、日本商工会議所が試験科目・注意事項ページで公表している「電卓にかかる注意事項」を確認しましょう。

    計算器具(そろばん、電卓)を使用しても構いません。ただし、電卓は、計算機能(四則演算)のみのものに限り、例えば、以下の機能があるものは持ち込みできません。・印刷(出力)機能・メロディー(音の出る)機能・プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶機能がある電卓)・辞書機能(文字入力を含む)(注)ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。日数計算、時間計算、換算、税計算、検算 (音の出ないものに限る)

     追加の質問のところで「試験監視員はMUボタン(mark up)の有無を確認していました」と回答いただきましたが、このMUボタンというのが上記の規定の売価計算・原価計算等の公式の記憶機能に該当します。

    MUボタン付きの電卓
    MUボタン付きの電卓

     試験官は(チェックする時間的・人員的な余裕がないため)電卓について細かくチェックしないケースが多いです。私は毎回、3級・2級を受験していますが、使用できないと明確に規定されている「関数電卓」で普通に受験している人を何回か見かけました。

     ただ、それはあくまでも運が良かっただけで、今回のように規定通り細かくチェックされるケースもあります。せっかく勉強したのに電卓が原因で受験できないのは悲しいので、必ず規定に沿った電卓を用意してください。

    50歳のおっさんさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第154回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.170

    適切な目標を定め、必要な行動を計画し、きちんと実行することが重要です!

    • 投稿者:ドラパルトさん
    • 勉強形態:独学
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約1か月

    はじめに

     私は2020年4月から社会人になる大学4年生です。

     入社する会社で簿記2級を入社前課題とされていたので受験しました。だらだら勉強したくなかったので、1か月で効率よく、キッチリ受かりたいと考えていました。

    使用したテキスト

    • 簿記3級
      • よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記3級 Ver.10.0(TAC出版)
    • 簿記2級
      • スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記 第11版(TAC出版)
      • スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記 第8版(TAC出版)
      • 第154回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(TAC出版)
    • 電卓
      • Canon HS-1220TUG

     各テキストについては下の「学習の流れ」の部分で解説します。電卓は家にあったものを使いました。10桁以上表示できて、よっぽど使いにくいものでなければ何でもいいと思います。

    事前知識

     なんとなくの社会常識として、会社は年に一回決算書を作るということと、収益から費用を引くと利益になることくらいは知っていましたが、それ以上の簿記の知識は全くありませんでした。

    タイムスケジュール

     さあ勉強を始めようと思ったのが試験のちょうど1か月前で、そこから計画を立て、テキストを注文し、勉強を開始しました。

     環境としては、週5日、1日10時間はアルバイトで拘束されていました。まあまあ忙しかったですが、どうしても今回受かりたかったので、アルバイトの前の朝1~2時間、アルバイトの後の夜1~2時間、休日は0~4時間くらいの勉強時間を確保しました。

     朝に予定した勉強が終わらなかったときは、休憩中に勉強したりもしました。直前のラストスパートを含めると、総勉強時間は120~140時間ぐらいでしょうか。

     勉強時間を確保する一方で、睡眠時間は6~7時間を確保することを心がけていました。これ以上短くすると集中力ややる気に支障が出て、効率が悪くなると考えていたためです。

     また、自分の場合は勉強する習慣がなかったため、ゲームをしたりyoutubeを見たりしないようにする必要がありました。そこでおすすめなのが「ルーティンを作ること」です。

     毎朝同じ時間に起き、シャワーを浴びて、すぐ勉強を開始。途中に朝食休憩をはさみ、家を出る時間まで勉強する…といった流れを毎日の習慣にしました。やる気が出ない人に本当におすすめです。

    学習の流れ

    勉強計画

     前述したとおり、1か月前に勉強計画をたて、テキストを購入しました。私はネットにある様々な体験談を参考にしつつ、以下の勉強計画をたてました。

    1. 3級を完璧にして簿記のルール・流れをつかむ:試験23~30日前
    2. 2級の分野をなんとなく理解し、完全に理解する部分と暗記で乗り越える部分に分ける:試験14~23日前
    3. 完全に理解する部分を理解し、暗記で乗り越える部分について暗記ノートを作る:試験3~13日前
    4. 試験問題を解き、出題のされ方や時間配分の感覚をつかむ:試験2日前
    5. 暗記ノートを暗記する:試験1日前

     多少前後した部分もありましたが、おおむねこのスケジュールで勉強できました。下でそれぞれについて解説します。

    1. 3級を完璧にして簿記のルール・流れをつかむ

     簿記2級の合格には、簿記3級の範囲を完全に理解すること、簿記のルール・流れをつかむことが必要だと考えました。

     そこで、簿記3級の範囲について抜け漏れなく丁寧に解説され、基本問題がついている「合格テキスト 日商簿記3級」ならば上記の目標を達成できると考えて選びました。他のテキストを見ていないので特別薦めることはしませんが、私は満足しています。

    2. 2級の分野をなんとなく理解し、完全に理解する部分と暗記で乗り越える部分に分ける

    3. 完全に理解する部分を理解し、暗記で乗り越える部分について暗記ノートを作る

     現在の簿記2級は、ある程度難しい資格試験だと考えています。また、私は簿記1級の取得や公認会計士を目指しておらず、簿記2級の知識を何かに直接活かしたいわけでもないため、極端に言えば「簿記2級の資格さえとれればいい」と考えていました。

     このような状況から、簿記2級の単元すべてを理解する必要はないと考え、理解するのは簡単な単元・重要な単元に絞り、他は前日に暗記して乗り越えるという考えに至りました。

     簿記2級の勉強にあたり、スッキリわかるシリーズのテキストを選んだのは、抜け漏れなく詳細に解説されている教科書タイプのテキストよりは、簡単な表現で読みやすいタイプのテキストのほうが途中で嫌にならないと考えたためです。

     簿記1級の取得や公認会計士を目指していたり、簿記2級の知識を実務で使いたい方などは前者タイプのテキストのほうがあっていると思いますので、自身に合うテキストを使うのがいいと思います。

     また、商業と工業の勉強時間については、2:1くらいで時間がかかった感覚です。商業→工業の順で勉強するのをお勧めします。

    商業簿記の暗記ノート1
    商業簿記の暗記ノート1

    商業簿記の暗記ノート2
    商業簿記の暗記ノート2

    工業簿記の暗記ノート1
    工業簿記の暗記ノート1

    工業簿記の暗記ノート2
    工業簿記の暗記ノート2

    4. 試験問題を解き、出題のされ方や時間配分の感覚をつかむ

     上記の1~3では、実際の試験の出題のされ方や時間配分の感覚がつかめていなかったので、直前予想問題を1回分解きました。時間に余裕があるのであれば、数回分解くに越したことはないと思います。

     第154回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級を選んだのは、簿記の試験は過去問と同じ問題が出ることはないため、過去問題集より予想問題集のほうが、実際の試験に近い問題が出るのではないかと考えたためです。

    5. 暗記ノートを暗記する

     あとは、3.でつくった暗記ノートを試験前日・当日の朝を使って暗記するだけです。意外と時間がかかり、寝る時間が遅くなってしまいました。

    試験日1日の流れ

     前日の就寝時間が2時30分と遅くなってしまったため、10時に起床しました。シャワーを浴び、食事をとり、暗記ノートを一通り見て試験会場に向かいました。

     試験会場では、流行り病の影響でほとんどの人がマスクをしていました。また、黒板に「熱がある方は~」「顔が赤い方は~」と記載があった気がします。

     持ち物は、時計・電卓・細い字がかけるシャーペンは持っておくといいと思います。試験日だからといって特別大変なことはなく、ただ試験を受けるだけと考えていましたし、実際にもそうでした。

    試験のテクニック

     試験のテクニックを、たった1回合格した自分が語るのも変だと思うので、自分が実践したことを書きます(※勧めているわけではありません)。

     仕訳・工業簿記(大問1,4,5)は比較的簡単な分野だったので、ここで50点くらいとり、商業簿記(大問2,3)で半分くらいとれればいいかなという感覚でした。

     また、大問3で出題されるような連結系の分野を捨てました。テキストのページ数も多く、難易度が高く、めんどくさいと感じたためです。ただ、出題されたら0点というわけではなく、部分点を狙おうとは考えていました。

     解く順番は、上記のことから1→4→5→2→3と決めていました。

    結果

    合格発表1
    合格発表1

    合格発表2
    合格発表2

     合格点は、16-20-14-10-20で合計80点でした。

     大問4でミスをしましたが、大問2,3が比較的簡単で思ったよりとれた、という印象です。時間は5分くらい余ったので、ちょうどいいくらいだと思います。

    まとめ

     合格には、[1]適切な目標を定め、[2]その目標を達成するために必要な行動を考え計画を立て、[3]その計画を実行することが必要だと考えています。

     目標がぶれている・適切でない、目標達成に必要な行動が抜けている・計画に無駄がある、計画を立てたが「やらない」といったことがあっては合格が難しいことは当然です。

     [1],[2]に関しては、自身の現状把握、試験についてのリサーチが重要になってくると思います。また、[3]に関しては、自身のやる気がものをいいます。やる気が低い場合、なんとかモチベーションを保つ方法を見つけるか、勉強を習慣化しましょう。

     これができれば、どんな方でも合格できないことはないと考えます。

    管理人からドラパルトさんへ追加の質問

     ドラパルトさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     まず、得意な論点は工業簿記全般です。
     工業簿記には、理解に苦しむような難しい論点はなく、暗記する部分も最小限に抑えられたため得意に感じていました。

     苦手な論点は連結会計の決算手続です。
     決算整理においてやることが多く、難しい部分もあったため苦手に感じていました。これを克服しようとすると、多大な労力・時間がかかり、ストレスになってしまうと考えたため、克服はせず、試験に出てこないことを願っていました。

    管理人のひとことコメント

     ドラパルトさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

     ドラパルトさんのように簿記3級をスキップして、いきなり簿記2級から受験する方も多いと思いますが、市販の簿記2級のテキストは「簿記3級の合格者(または合格レベルの知識を有する人)」を対象に作られています。

     よって、いきなり簿記2級から受験する場合でも、必ず簿記3級の学習から始めてください。なお、実際に受験するわけではないので簿記3級の過去問対策などは不要です。内容をひととおり確認したら簿記2級の学習に進みましょう。

     また、じゅうぶんな勉強時間を確保できない場合、試験範囲のすべてをまんべんなく学習するよりも、ドラパルトさんのように論点ごとにメリハリを付けて勉強することをおすすめします。

     例えば、連結精算表が2回連続で出題される可能性は低いため、今回のように連結精算表が出題された回の次の回を受験する場合、連結会計の勉強をバッサリ切って他の論点の勉強に充てるのもアリだと思います(※私の友達はこのスタイルで154回試験に合格しました)。

     個々の能力や学習環境、受験のタイミングによって最適な勉強方法は異なります。自分自身に合う勉強方法・受験戦略を考えて実行しましょう。

    ドラパルトさんが使われた教材や電卓のまとめ

  • 第154回日商簿記検定 簿記2級 合格体験記 No.169

    疑問点をいつでも質問できるのが高校生の特権!ぜひ有効活用しましょう!

    • 投稿者:空ふきさん
    • 勉強形態:通学(商業高校)
    • 受験回数:1回
    • 勉強期間:約7か月

    はじめに

     僕は現在高校2年生で、商業高校に通っています。日商2級を受験する前は、何回もこのサイトの皆さんの合格体験記を参考にさせて頂きました。そして、僕も合格したらここに書きたい!とずっと思っていましたので、ここに書かせて頂きます。

    日商2級を受験した理由

     日商2級を受験した理由は、単純に簿記が好きだからです。

     そもそも商業高校に進学した理由は、中学の社会の授業で経済やお金に興味を持ち、「商業高校に進学してもっとお金の流れを見たい!勉強したい!」と思い進学しました。

     そこで簿記と出会い、定期テストの点数が伸び悩んだ時期もありましたが、勉強が進むにつれて簿記がどんどん好きになっていきました。

    期間別の勉強方法

    7月~9月の勉強

     日商2級の勉強を始めたのは去年の7月の夏休みからです。先生は2学期から2級の解説をすると言っていましたが、一回聞いただけじゃ分からないな…と感じたため、とりあえず夏休みの間に商業簿記と工業簿記をひととおり自習して基礎固めをしておきました。

     夏休みが明けて2学期になると先生の解説が始まりましたが、夏休みに予習をしておいたおかげでスムーズに内容を理解することができました。また、クラスの友達の質問に答えたり教えたりすることで理解を深めることができました。

     今振り返ってみると、夏休みにきちんと準備していたことが合格につながったと思います。

    10月~12月の勉強

     日商2級の勉強を本格的に始めたのは、12月の期末テストが終わってからです。

     この時期は過去問を徹底的にやり込みました。日商2級は過去問がベースとなって出題される事が多いと聞いていたので、簿記検定ナビさんの出題予想ページに書かれていた「絶対に解いておくべき過去問」と「できれば解いておくべき過去問」をすべて押さえました。

     過去問の解き方のコツは、「この問題と似たような問題が出た時にしっかり解けるように理解して解くこと」だと思います。

     正直、何回も何回も問題を解き直してたら答えを覚えてしまって、「問題を解く」から「電卓に数字を打ち込んで、こうやってこうやってこーする」みたいな単純作業になってしまいがちですが、これはあまり良くないと思います。

     もちろん、ある程度のパターンを押さえて解答の流れを覚えることは大事ですが、少しでも理解が深まるように常に自分の頭で考えながら問題を解くことをおすすめします。

    翌1月~2月の勉強

     3学期が始まると簿記一色の生活になりました。

     朝5時半に起きて家で勉強して、7時半に学校に到着し、チャイムが鳴るまで自習室で勉強。昼休みや放課後もひたすら勉強し、帰宅中も単語カードで知識整理。家に帰ってからも23時までひたすら問題を解く…という毎日を繰り返しました。

     この時期の主な学習内容は…1月の始めまでは過去問、中旬以降は模擬問題をひたすらに解き続けました。また、これらと並行して仕訳対策にも力を入れました。簿記検定ナビさんの仕訳対策教材には本当にお世話になりました。

    テキストの感想

    スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記&商業簿記(TAC出版):100点

     知識を定着させるインプットとしてはすごくいいと思います。イラストが多いのでイメージしやすかったです。どのテキストにしようか迷っている方はぜひ!これを選べば間違いないです。

    みんなが欲しい!やさしすぎる解き方の本日商簿記2級(TAC出版):60点

     問題をたくさん解きたくて購入しましたが、んー…僕のニーズとは一致しなかったです。

    20年6月検定対策 合格するための過去問題集 日商簿記2級(TAC出版):120点

     他社の過去問題集と比べると問題の掲載量が多いので(12回分)、なるべく多くの問題を解きたいという方にはかなりおすすめです。

     知識をインプットした状態で、簿記検定ナビさんの出題予想ページに書かれている「絶対に解いておくべき過去問」と「できれば解いておくべき過去問」をすべて解けば必ず力が付きます。

    第154回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級(TAC出版):120点

     時間に余裕がある場合は過去問だけでなく予想問題も解いたほうがよいと思います。ただ、この予想問題集はとにかく難しいのが欠点で、僕も途中で心が折れかけました。

     よって、点数や解答時間はあまり気にせずに、難しい問題に臨機応変に対応する力を養うために使うことをおすすめします。何度も解き直すことにより必ず力が付きます。

    第154回日商簿記 ズバリ! 2級的中 完全予想模試(ネットスクール出版):120点

     ネットスクールから出ている予想問題集です。TACの予想問題集と比べると易しいので、先にこちらから手を付けることをおすすめします。

    簿記検定ナビ 仕訳対策教材:100000点

     今回の試験で僕が合格できた理由はここにあると言っても過言ではありません。

     重要仕訳TOP100には、大事な仕訳がピンからキリまで全部載ってました。本当にどれだけ感謝しても足りません。日商2級に合格したい方は、この教材を使って対策するのが最も効率的だと思います!

    自作の単語カード:1000000点

     自分に苦手なところや間違えやすいところを単語カードにまとめて、通学のバスや休み時間、全校集会での暇な時間、その他少し余った時間などに繰り返し見直しました。

     間違いノート(まとめノート)よりもかさばらないので、ちょっと空いた5分、10分の時間を有効活用することができます。すごくおすすめです!

    単語カード1
    単語カード1

    単語カード2
    単語カード2

    単語カード3
    単語カード3

    単語カード4
    単語カード4

    試験日1日の流れ

    6時:起床

     毎日5時半に起きて勉強していましたが、試験日の朝は少し遅めに起床しました。

    7時:朝食

     いつもどおりの朝食。バナナとヨーグルトとチーズトーストを食べました。

    11時30分:出発

     試験会場は僕の通っている高校でしたが、試験を受ける教室がいつも授業を受けている教室ではなかったので、余裕を持って少し早めに出発しました。

    12時30分:到着

     この時間帯はいつも眠たくなってしまうので、レッドブルを飲んでカフェインを摂取しました。教室では単語カードを確認したり、友達としゃべって緊張をほぐしました。みんな「連結精算表」の出題を恐れていました(笑)

    13時30分:試験開始!

     今回は人生で一番勉強したので、本当に緊張しました。最初は手が震えて文字を書けませんでしたが、何とか気持ちを落ち着かせて4→5→1→2→3の順に問題を解きました。

     自分の予想がかなり当たっていたことと、難問が出題されることが多い第2問・第3問がそれほど難しくなかったこともあり、やれることは全部やったという手応えをもって試験を終えることができました。

    15時30分:試験終了

    帰宅後

     正直、自己採点をするのはかなり怖かったですが、どうしても気になってしまったので帰宅後に自己採点をしました。

    • 第1問:12点
    • 第2問:16点
    • 第3問:16点
    • 第4問:20点
    • 第5問:18点
      • 合計:82点

     第5問でケアレスミスによる失点をしてしまったことは悔しかったですが、80点以上取れたのでほっとしました。

    終わりに

    合格発表
    合格発表

     3月9日に合格を確認し、思わず泣いてしまいました。

     今回、日商2級を受けて思ったのは、人生で一度や二度、本気になって勉強してみるのもありだなと思いました。

     僕の夢は税理士になることなので、日商2級を武器に、大学へ進学してより高度な会計を学びたいです。長文になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!

    管理人から空ふきさんへ追加の質問

     数あるテキストの中からスッキリシリーズを選んだ理由はなんですか?
     簿記部の友達から「TAC出版のテキストが一番良い」という話を聞いたので、自分の目で確かめるために本屋に行ったところ、売上が一番!というテキストが目に飛び込んできました。手にとって確認したところ、それがTAC出版のスッキリシリーズでした。

     テキストを開いてみると可愛いネコちゃんのイラストがたくさん出てきて、日商2級の難しい内容も分かりやすく説明されていたので購入しました。

     苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
     分からないところは速攻で先生に聞きに行きました。こうする事で「分からない苦手」が「理解できているけど苦手」に変わるので、最後まで前向きに取り組むことができました。

     あとは、苦手な問題・間違えやすい問題は、金額を覚えてしまうぐらいまで何度も何度も反復して解きました。ケアレスミスが多い論点(僕の場合は減価償却の期間計算など)は、上にも書きましたが単語カードにまとめて1日に何回も見直していました。

     勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
     めちゃくちゃ英語が得意な友達が英検に合格したことを自慢してくるので、なんとかその友達を見返したいと思って必死に勉強しました。僕の場合、友達を見返したという気持ちがモチベーションの維持に貢献してくれました。

    管理人のひとことコメント

     空ふきさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

     空ふきさんは通学時間を有効活用して勉強されていますが、10分、20分の細切れの時間を積み上げていくと意外と大きな時間になります。ぜひ参考にしてください。

     なお、細切れの時間に使う学習ツールは「単語カード」でも「まとめノート」でもなんでも構いませんが、仕訳対策や苦手論点の確認など短時間で少しずつ進められる作業をすると効果的です。

     あとは、友達の自慢を「むかつく」という負の感情で終わらせずに、「合格して見返してやる!」という前向きなモチベーションに変えるのも大事だと思います。

     他には…勉強することを周りに宣言して自分に適度なプレッシャーをかけたり、勉強系のSNSで勉強友達を作ることもおすすめです。いろいろ試してみましょう。

    空ふきさんが使われた教材や電卓のまとめ