計画に拘りすぎて本来の目的(合格)を見失わないように気をつけましょう!

  • 投稿者:Lightさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約3か月

はじめに

 勤務先の経営状況・財務状況が大きく変わっている中で、会社の数字について正しく理解できていない(営業利益と経常利益の違い、利益剰余金とは何かなど)のは、今後の社会人生活で大きな問題ではないかと思い、簿記の勉強と受験を決めました。

 社会人になりたての約10年前にも3級のテキストを買い少し勉強をしましたが、ほとんど理解できないまま勉強を辞めてしまったので実質的に初めての勉強です。

使用したテキスト・電卓

  • スッキリわかる日商簿記3級
  • スッキリわかる日商簿記2級(商業簿記)
  • スッキリわかる日商簿記2級(工業簿記)
  • スッキリとける日商簿記2級 過去+予想問題集
  • 合格するための過去問題集 日商簿記3級
  • 合格するための過去問題集 日商簿記2級
  • 簿記検定ナビ仕訳対策
  • CANON LS-122TUG(電卓)

 巷では簿記の教材が溢れていますが、同じ種類のものに複数手を出さないようにしました。どの教材もプロが作っているので、その教材だけで合格できるはずです。

 また、自分でまとめノートなども作りませんでした。テキストはプロが作っているので、それに勝るまとめノートを素人が作るのは困難だと思っています。スッキリわかる日商簿記2級(商業簿記)には各章の終わりにまとめページがあったので、それを活用しました。

3級専願から3級・2級併願へ

 3月の1週目から3級のテキスト「スッキリわかる」を読み始めました。4日ぐらいでテキストを読み終え、テキスト付属の練習問題に取り掛かりましたが、3級の難易度であれば1カ月ぐらいで受かると感じました。

 この時点で試験まで3ヶ月あったため、200時間ぐらいの勉強が必要な2級にも手が届くと思い、2級も併願することにしました。職場の同僚も3級・2級の併願で第152回を受けると言っており、同僚の後押しも力になりました。

勉強の進め方(前期:3月上旬~4月中旬)

 3級のテキストを読み、その後、テキスト付属の練習問題を2周行った後に2級のテキスト(こちらも3級と同様のスッキリわかるシリーズ)に移りました。以降、3級の勉強はほとんど行わず、2級の勉強だけに注力しました。

 2級は、まずは商業のテキストを読み、商業の練習問題を2周やり、練習問題の2周目と併行して工業のテキストを読み始めました。

 テキストを読むさいは、まずは全体像を掴むために完全に理解していなくても何となく分かったら次に進むことを心掛けました。

 4月中旬頃に2級の商業・工業のテキストと練習問題が終わったので、そこから146回以降の過去問を軽く解き始めました(※4月下旬までに第151回までを完了)。

 ここでの目的は実際の試験の難易度や頻出する分野、自分が苦手な分野を知ることなので、点数はあまり気にせずに練習問題の延長という気持ちで取り組みました。

 第146回の大問2(銀行勘定調整表)の解説がよく理解できず、ネットで他の解説を探していたところ「簿記検定ナビ」に辿り着き、以降、大いに活用させて頂きました。

勉強の進め方(後期:4月下旬~6月上旬)

 4月下旬から第146回~第151回の過去問の2周目に入りました。ここでは1周目よりも解説の内容を理解することを意識しました。

 過去問の2周目が終わった5月中旬以降は簿記検定ナビの試験問題予想のページを参考に「絶対に解いておくべき過去問5題」「できれば解いておくべき過去問」を繰り返し解きました。(以下の画像を参照。〇の中の数字は、解答した時のそれぞれの点数です) 簿記検定ナビに全幅の信頼を寄せておりました(笑)

学習記録1
学習記録1

学習記録2
学習記録2

 また、過去問だけでは出題傾向が変わった場合に対応できなくなると思い、通勤電車の中で商業・工業のテキストを流し読みも行っておりました。

 特に商業のテキストには各章の終わりにまとめページがあり、そこを眺めることで繰り返し復習を行いました。(これは大問1の仕訳対策にもなっていたと思います)

 さらに、仕訳対策として簿記検定ナビに掲載されている仕訳の過去問題集を印刷し、第130回以降の過去問を2回解き、2回目で間違えた問題をマークしておき、間違えた問題だけを改めて解きました(4月中旬から試験の1週間前まで)。

勉強時間・勉強場所など

 平日は朝1時間、昼休み10分、夜1時間+通勤でテキストを流し読み。休日は朝1時間、子供の昼寝中に1時間or図書館で2~3時間。

 平日は通勤ラッシュを避けるために朝7時過ぎに会社の最寄り駅に着くようにしているので、近くのカフェでコーヒーを飲みながら1時間程勉強することができました。

 また、帰宅後は子供を寝かしつけた21時半頃から1時間程勉強をしトータルで2時間ぐらい勉強しました。試験を受けることを理由に家事を疎かにする訳にはいかないと思い、夜の勉強後には洗い物や洗濯を以前と同じようにやるようにしました(家族の理解は大切です)。

 休日ですが、妻が仕事の日は私が子守りをする必要があり、勉強があまりできないので、朝の6時から7時半まで自宅近くのファーストフード店で朝食兼勉強を行い、日中は子供が昼寝をしている間に勉強をしました。

 しかし、休日も5時半ぐらいに起きるのはなかなか大変で、朝に勉強をしたのはいいものの、疲れてしまい子供と一緒に昼寝をしたことを何度かあり、休日の朝の勉強が本当に効果があったのかは怪しいです(笑)

 ゴールデンウィーク期間中は勉強する日は上記の休日と同様のスケジュールで勉強しましたが、家族で出かける日などは「勉強をしない日」と決め、その日は全く勉強せずに家族と過ごしました。

 試験直前は、妻が休みの時は子守りを任せ図書館で勉強させてもらいました。家族の協力により勉強時間を確保できたので感謝しています。

各級の対策

簿記3級

 2級に受かる可能性は半々ぐらいだと考え、2級に落ちてもせめて3級は受かっておきたいと思い、試験の3週間ぐらい前から会社の昼休みに10~15分ぐらい過去問を第151回から順に解きました(記憶は定かではないですが第148回ぐらいまで遡れたと思います)。

 2級の勉強をしていたので難易度的には難しくないのですが、帳簿の問題などは2級では出題されず、3級特有の問題なので効果はあったと思います。

簿記2級

 以下の6つの点に気をつけて対策を進めました。

  1. 過去問や予想問題を大問1~大問5まで通しで解く時間が確保できそうに無かったので、大問2と大問3はそれぞれ30分以内、大問4と大問5はそれぞれ15分以内に解くことを意識して解くようにしました。
  2. 過去問を解くさいは、途中でテキスト等は見ずに、分かる範囲で解答しました。分からない問題・難しい問題であっても、部分点を取るクセを付けるためです。テキストを見ながら解く勉強方法もあるので好みは分かれるかと思いますが、自分は前者のやり方を選択しました。
  3. 一時期、問題をよく読まないことが原因のミスを頻発させたことがあり(減価償却率は25%と問題文に記載されているのに先入観で20%で計算していたなど)、問題文をよく読み、内容を確実に理解することを意識しました。
  4. 過去問題集に付いていた予想問題は時間を十分に確保できなかったこと、直前に解いて低い点を取ってしまったときに焦りが生まれてしまうことを考慮し、あえて解かずに過去問の繰り返しに注力しました。あと1週間ぐらい時間があれば解きたかったです。
  5. 簿記検定ナビの予想問題は大問3以外は解きました。大問3は試験前日に解こうと思っていたのですが、前日に新たな問題に着手するのは良くないと思い、こちらもあえて解きませんでした。
  6. 2級の対策をまとめますと、簿記検定ナビの試験問題予想に沿った過去問の繰り返し、仕訳の過去問、テキストの流し読みだけしか5月以降は行っておりません。

 また、勉強をする時に「いつまでにどこまで進めよう」と計画を立てることが多いですが、計画通りにこなすことにこだわりませんでした。

 仕事・家事・育児・体調などの関係から計画通りに進まないことはよくありますし、最終的な目的は簿記2級に合格することであり、計画をこなすことは目的を達成するための過程や手段に過ぎません。

 計画通りこなすことにこだわりすぎると、計画を守ることが目的となり、本来の目的からズレてしまう可能性があります(計画を守るために、十分に理解できていないのに次に進むなど)。

 本来の目的(試験に合格する)を達成するために、過程や手段(勉強計画など)は状況に応じて変更することを厭わないことが重要ではないかと思います。

試験日1日の流れ

試験当日(3級)

 8時頃に会場に着き、近くでコーヒーを飲みテキストを流し読みしました。

 3級は2級の練習という位置づけでしたので、問題用紙・解答用紙・計算用紙の大きさを確認し2級の試験に備えることを意識しました。

 過去問を解いた感じから大問1から順番に解いても時間に余裕があると思い、大問1から順に解きました。時間を意識せずに丁寧に解き、試験開始から1時間15分で一通り終わり、以降は見直しや再考の時間としました。

試験当日(2級)

 3級試験で予想以上に疲れてしまったので、軽めの昼食をとった後は本屋に立ち寄ったりして休憩しました。再び試験会場近くでコーヒーを飲み、テキストを軽く眺めて過ごしました。

 2級は「4→5→1→2→3」の順で解くことを決めていたので、その順番で解き始めました。大問4はほぼ解けたのですが、大問5は問題文の意味が理解できず、5分ぐらい経っても全く解けなかったので大問1を先に解くことを決めました。

 大問1は直近の過去問に比べれば簡単でしたが、金利の期間をよく確認して解くなど、問題文をよく読み丁寧に解答することを心掛けました。

 大問2は第146回の大問2とよく似ていたため、過去問を思い出しながらこちらもケアレスミスをしないように丁寧に解きました。大問1・2・4を終えた時点で試験開始からまだ45分しか経過していませんでした。

 大問5が全く解けなかった時点で合格を諦めたのですが、大問1、2、4で高得点が狙えそうで、まだ時間もじゅうぶんあったため、再び合格へ向けて気合が入りました。

 大問3はあまり対策を行ってこなかった税効果勘定が出題され戸惑いましたが、それ以外の点数が取りやすい部分に注力し、短い時間で10点程度を取ることを意識しました。

 また、得点になりそうな減価償却や未払消費税などの問題はミスをしないように丁寧に解きました。

 試験開始から1時間20分が経過した時点で大問3が終わり、大問5へ戻りました。過去問の傾向から問1と問2は容易に解けるはずと判断し、問題文を改めてよく読み、シンプルに考えて解きました。

 その後もゆっくりと分かるところから数字を埋めていき、最終的に大問5も完答できました。残り時間が5分ぐらいあったので大問1・2を見直し、試験は終了となりました。

試験結果

 帰宅後に解答速報を確認したところ、2級も80点前後は取れていそうな感じだったので、合格できたかな?と思っていました。最終的な結果は以下の通りです。

  • 簿記3級:93点(①:20点、②:10点、③:27点、④:06点、⑤:30点)
  • 簿記2級:88点(①:20点、②:20点、③:12点、④:16点、⑤:20点)

最後に

 当初の受験目的である「会社の数字について正しく理解する」については、今回の勉強と受験を通じて、理解するためのベースが身に着いたと思っています。今後も勉強を続け、会社の数字をより理解できるようになりたいと思います。

 また、3か月間勉強を続けたことで、勉強する習慣を身に着けることができました。仕事・家事・育児などで時間に追われがちな生活となっていますが、何となくテレビを見ていたり、スマートフォンをいじっていたりする時間を減らすことで、(たぶん)家庭に影響を与えることなく、勉強する時間を確保できました。

 この勉強する習慣はあらゆる分野に生かせると思いますので、2級に合格した以上に今回の収穫だったと思います。

 同時期に受験した同僚、平日の夜や休みの日に勉強させてくれた家族、そして合格へ導いてくださった簿記検定ナビの管理人様には感謝しております。

 自分の経験を書くのは得意ではないのですが、簿記検定ナビの更なる発展や今後受験される方のお役に立てればと思い今回投稿させて頂きました。

管理人からLightさんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた教材に(100点満点で)点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめできますか?
 100点です。初めて勉強する人にも分かりやすい内容で解説されており、スッキリシリーズだけで合格できると思います。これから受験される方にもおすすめできます。
 今回、勉強に使われた電卓に(100点満点で)点数をつけるとしたら何点ですか?また、他の方にもおすすめできますか?
 100点です。価格も他の物に比べれば安価で使い勝手も良かったです。こらから購入を検討される方にもおすすめできます。
 得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 得意な論点は工業簿記全般です。製造業に携わっており、「仕掛品」など工業簿記で出てくる言葉が社内で使われているので、概念が理解しやすかったのだと思います。

 苦手な論点は連結です。対策として繰り返しテキストを読みました。1、2回読んだだけでは理解できなかったのですが、何度も読むことで、ある時急に理解が進みました。

 勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
 簿記の勉強を始める前は英語の勉強をしていましたが、簿記に注力するために3ヶ月間は英語の勉強を止めていました。今回の試験に落ちると、英語の勉強が後ろ倒しになってしまうので、今回で終わらせようという思いがモチベーションの維持にに繋がりました。

 また、体調が悪い時や家庭の事情で時間が確保できない時は勉強をしなかったのも、最後までモチベーションを維持できた要因だと思います。

管理人コメント

 Lightさん、簿記3級・2級試験のダブル合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 最初の「使用したテキスト・電卓」のところでまとめノートについて書いていただきましたが、こちらはよくご質問いただくところなので補足させていただきます。

 まとめノートは「テキストの内容を再編集して要約するもの」と「自分の苦手な論点を簡潔にまとめるもの」の2種類に大別することができます。

 Lightさんは前者のほうをイメージされていて、「テキストはプロが作っているので、それに勝るまとめノートを素人が作るのは困難」と書いていただきましたが、こちらに関しては私も同感です。

 要約する過程で理解が深まるという考え方もあると思いますが、前者のまとめノートを作るのにかなり時間がかかってしまうので、よっぽど時間がある方以外はおすすめしません。

 逆に、私がおすすめしている後者の「自分の苦手な論点を簡潔にまとめるもの」については短時間で作れますし、こまめに目を通すだけで苦手論点を克服することができます。

 後者のまとめノートの作り方・使い方のコツは「苦手論点の要点・解き方のみを簡潔にまとめる」「とにかく何度も目を通す」の2点です。作るのに時間をかけてはいけません。使うのに時間をかけましょう。

 また、Lightさんのようになるべく早い段階で試験範囲を1周するのはとても大事なことだと思います。試験範囲を1周すると簿記2級の全体像を把握することができる…言い換えますと、簿記2級の全体マップを手に入れることができます。

 マップがなければ今自分がどこにいるのか、また、合格までの距離も分かりませんが、マップを手に入れることによって、現在の自分の状況やゴールまでの距離を随時確認することができます。ぜひ参考にしてください。

Lightさんが使われた教材や電卓のまとめ