適切な目標を定め、必要な行動を計画し、きちんと実行することが重要です!

  • 投稿者:ドラパルトさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:1回
  • 勉強期間:約1か月

はじめに

 私は2020年4月から社会人になる大学4年生です。

 入社する会社で簿記2級を入社前課題とされていたので受験しました。だらだら勉強したくなかったので、1か月で効率よく、キッチリ受かりたいと考えていました。

使用したテキスト

  • 簿記3級
    • よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記3級 Ver.10.0(TAC出版)
  • 簿記2級
    • スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記 第11版(TAC出版)
    • スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記 第8版(TAC出版)
    • 第154回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級(TAC出版)
  • 電卓
    • Canon HS-1220TUG

 各テキストについては下の「学習の流れ」の部分で解説します。電卓は家にあったものを使いました。10桁以上表示できて、よっぽど使いにくいものでなければ何でもいいと思います。

事前知識

 なんとなくの社会常識として、会社は年に一回決算書を作るということと、収益から費用を引くと利益になることくらいは知っていましたが、それ以上の簿記の知識は全くありませんでした。

タイムスケジュール

 さあ勉強を始めようと思ったのが試験のちょうど1か月前で、そこから計画を立て、テキストを注文し、勉強を開始しました。

 環境としては、週5日、1日10時間はアルバイトで拘束されていました。まあまあ忙しかったですが、どうしても今回受かりたかったので、アルバイトの前の朝1~2時間、アルバイトの後の夜1~2時間、休日は0~4時間くらいの勉強時間を確保しました。

 朝に予定した勉強が終わらなかったときは、休憩中に勉強したりもしました。直前のラストスパートを含めると、総勉強時間は120~140時間ぐらいでしょうか。

 勉強時間を確保する一方で、睡眠時間は6~7時間を確保することを心がけていました。これ以上短くすると集中力ややる気に支障が出て、効率が悪くなると考えていたためです。

 また、自分の場合は勉強する習慣がなかったため、ゲームをしたりyoutubeを見たりしないようにする必要がありました。そこでおすすめなのが「ルーティンを作ること」です。

 毎朝同じ時間に起き、シャワーを浴びて、すぐ勉強を開始。途中に朝食休憩をはさみ、家を出る時間まで勉強する…といった流れを毎日の習慣にしました。やる気が出ない人に本当におすすめです。

学習の流れ

勉強計画

 前述したとおり、1か月前に勉強計画をたて、テキストを購入しました。私はネットにある様々な体験談を参考にしつつ、以下の勉強計画をたてました。

  1. 3級を完璧にして簿記のルール・流れをつかむ:試験23~30日前
  2. 2級の分野をなんとなく理解し、完全に理解する部分と暗記で乗り越える部分に分ける:試験14~23日前
  3. 完全に理解する部分を理解し、暗記で乗り越える部分について暗記ノートを作る:試験3~13日前
  4. 試験問題を解き、出題のされ方や時間配分の感覚をつかむ:試験2日前
  5. 暗記ノートを暗記する:試験1日前

 多少前後した部分もありましたが、おおむねこのスケジュールで勉強できました。下でそれぞれについて解説します。

1. 3級を完璧にして簿記のルール・流れをつかむ

 簿記2級の合格には、簿記3級の範囲を完全に理解すること、簿記のルール・流れをつかむことが必要だと考えました。

 そこで、簿記3級の範囲について抜け漏れなく丁寧に解説され、基本問題がついている「合格テキスト 日商簿記3級」ならば上記の目標を達成できると考えて選びました。他のテキストを見ていないので特別薦めることはしませんが、私は満足しています。

2. 2級の分野をなんとなく理解し、完全に理解する部分と暗記で乗り越える部分に分ける

3. 完全に理解する部分を理解し、暗記で乗り越える部分について暗記ノートを作る

 現在の簿記2級は、ある程度難しい資格試験だと考えています。また、私は簿記1級の取得や公認会計士を目指しておらず、簿記2級の知識を何かに直接活かしたいわけでもないため、極端に言えば「簿記2級の資格さえとれればいい」と考えていました。

 このような状況から、簿記2級の単元すべてを理解する必要はないと考え、理解するのは簡単な単元・重要な単元に絞り、他は前日に暗記して乗り越えるという考えに至りました。

 簿記2級の勉強にあたり、スッキリわかるシリーズのテキストを選んだのは、抜け漏れなく詳細に解説されている教科書タイプのテキストよりは、簡単な表現で読みやすいタイプのテキストのほうが途中で嫌にならないと考えたためです。

 簿記1級の取得や公認会計士を目指していたり、簿記2級の知識を実務で使いたい方などは前者タイプのテキストのほうがあっていると思いますので、自身に合うテキストを使うのがいいと思います。

 また、商業と工業の勉強時間については、2:1くらいで時間がかかった感覚です。商業→工業の順で勉強するのをお勧めします。

商業簿記の暗記ノート1
商業簿記の暗記ノート1

商業簿記の暗記ノート2
商業簿記の暗記ノート2

工業簿記の暗記ノート1
工業簿記の暗記ノート1

工業簿記の暗記ノート2
工業簿記の暗記ノート2

4. 試験問題を解き、出題のされ方や時間配分の感覚をつかむ

 上記の1~3では、実際の試験の出題のされ方や時間配分の感覚がつかめていなかったので、直前予想問題を1回分解きました。時間に余裕があるのであれば、数回分解くに越したことはないと思います。

 第154回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級を選んだのは、簿記の試験は過去問と同じ問題が出ることはないため、過去問題集より予想問題集のほうが、実際の試験に近い問題が出るのではないかと考えたためです。

5. 暗記ノートを暗記する

 あとは、3.でつくった暗記ノートを試験前日・当日の朝を使って暗記するだけです。意外と時間がかかり、寝る時間が遅くなってしまいました。

試験日1日の流れ

 前日の就寝時間が2時30分と遅くなってしまったため、10時に起床しました。シャワーを浴び、食事をとり、暗記ノートを一通り見て試験会場に向かいました。

 試験会場では、流行り病の影響でほとんどの人がマスクをしていました。また、黒板に「熱がある方は~」「顔が赤い方は~」と記載があった気がします。

 持ち物は、時計・電卓・細い字がかけるシャーペンは持っておくといいと思います。試験日だからといって特別大変なことはなく、ただ試験を受けるだけと考えていましたし、実際にもそうでした。

試験のテクニック

 試験のテクニックを、たった1回合格した自分が語るのも変だと思うので、自分が実践したことを書きます(※勧めているわけではありません)。

 仕訳・工業簿記(大問1,4,5)は比較的簡単な分野だったので、ここで50点くらいとり、商業簿記(大問2,3)で半分くらいとれればいいかなという感覚でした。

 また、大問3で出題されるような連結系の分野を捨てました。テキストのページ数も多く、難易度が高く、めんどくさいと感じたためです。ただ、出題されたら0点というわけではなく、部分点を狙おうとは考えていました。

 解く順番は、上記のことから1→4→5→2→3と決めていました。

結果

合格発表1
合格発表1

合格発表2
合格発表2

 合格点は、16-20-14-10-20で合計80点でした。

 大問4でミスをしましたが、大問2,3が比較的簡単で思ったよりとれた、という印象です。時間は5分くらい余ったので、ちょうどいいくらいだと思います。

まとめ

 合格には、[1]適切な目標を定め、[2]その目標を達成するために必要な行動を考え計画を立て、[3]その計画を実行することが必要だと考えています。

 目標がぶれている・適切でない、目標達成に必要な行動が抜けている・計画に無駄がある、計画を立てたが「やらない」といったことがあっては合格が難しいことは当然です。

 [1],[2]に関しては、自身の現状把握、試験についてのリサーチが重要になってくると思います。また、[3]に関しては、自身のやる気がものをいいます。やる気が低い場合、なんとかモチベーションを保つ方法を見つけるか、勉強を習慣化しましょう。

 これができれば、どんな方でも合格できないことはないと考えます。

管理人からドラパルトさんへ追加の質問

 ドラパルトさんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 まず、得意な論点は工業簿記全般です。
 工業簿記には、理解に苦しむような難しい論点はなく、暗記する部分も最小限に抑えられたため得意に感じていました。

 苦手な論点は連結会計の決算手続です。
 決算整理においてやることが多く、難しい部分もあったため苦手に感じていました。これを克服しようとすると、多大な労力・時間がかかり、ストレスになってしまうと考えたため、克服はせず、試験に出てこないことを願っていました。

管理人のひとことコメント

 ドラパルトさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、素敵な合格体験記をご投稿いただきありがとうございます。

 ドラパルトさんのように簿記3級をスキップして、いきなり簿記2級から受験する方も多いと思いますが、市販の簿記2級のテキストは「簿記3級の合格者(または合格レベルの知識を有する人)」を対象に作られています。

 よって、いきなり簿記2級から受験する場合でも、必ず簿記3級の学習から始めてください。なお、実際に受験するわけではないので簿記3級の過去問対策などは不要です。内容をひととおり確認したら簿記2級の学習に進みましょう。

 また、じゅうぶんな勉強時間を確保できない場合、試験範囲のすべてをまんべんなく学習するよりも、ドラパルトさんのように論点ごとにメリハリを付けて勉強することをおすすめします。

 例えば、連結精算表が2回連続で出題される可能性は低いため、今回のように連結精算表が出題された回の次の回を受験する場合、連結会計の勉強をバッサリ切って他の論点の勉強に充てるのもアリだと思います(※私の友達はこのスタイルで154回試験に合格しました)。

 個々の能力や学習環境、受験のタイミングによって最適な勉強方法は異なります。自分自身に合う勉強方法・受験戦略を考えて実行しましょう。

ドラパルトさんが使われた教材や電卓のまとめ