勉強は「質」が大事!また、2級合格のカギを握っているのは工業簿記です!

  • 投稿者:みそづけさん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:3回
  • 勉強期間:約10か月

はじめに

 私は、現在私立の4年制大学の経営学部に通う大学3年生です。必修科目であった簿記の授業を通じて日商簿記検定を知り、大学1年生の2月に日商簿記検定3級を取得しました。

 3級取得後、もっと簿記について詳しくなりたい、就活の際に志望先の会社の有価証券報告書が読めるようになりたい、と思ったのがキッカケで2級の勉強を始めました。

 今回は、3級取得後から2級取得までについて投稿させていただきます。私は大学生で社会人の方より時間があるので、社会人の方には参考になるか分かりませんが、少しでもお力になれれば嬉しいです。

使用した教材・電卓

  • スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記(TAC):90点
  • スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記(TAC):90点
  • スッキリとける 日商簿記2級 過去+予想問題集(TAC):60点
  • 日商簿記2級 網羅型完全予想問題集(TAC):70点
  • 仕訳問題集(簿記検定ナビ)
  • 予想問題(簿記検定ナビ)

 スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記・工業簿記は、日商簿記の勉強を始めるにあたっての必須教材と言っても過言ではないほど、自分の中では分かりやすく作られていました。

 文字を読むだけで理解できるというのは、なかなか難しいことだと思うのですが、このテキストは簡単な言葉でかなり分かりやすく説明してくれる&問題も付属しているので、ただ覚えるだけでなく、覚えた知識を使って実際に問題を解くことができます。

 また、本試験レベルの問題を解いている最中に分からない部分が見つかった時にも、復習をするのに非常に役に立ちました。勉強をこれから始める方に大いにおすすめします。

 スッキリとける 日商簿記2級 過去問+予想問題集は、タイトルの通り、過去問と予想問題が掲載された教材なので内容的には申し分ないのですが、理解力が乏しい私にとっては解説が少し分かり辛かったです。

 普通に使う分にはかなり役立ちましたが、もう少し分かりやすい解説がついていると良いな、と思いました。ある程度、基礎が固まってきて実践的な問題を解きたいという方におすすめします。

 日商簿記2級 網羅完全予想問題集は、「網羅型」という名前の通り、全ての範囲を取り入れてるのでかなりボリュームがあります。完全に理解するまではかなりの時間を要するかと思いますが、完璧に仕上げればどんな問題が出題されても対応できるようになると思います。

 過去問レベルの実践問題を解けるレベルの方で、試験まで時間のある方にはおすすめしますが、逆にあまり時間がない方は、おそらく最後まで解ききる事は難しいと思うのでおすすめしません(私は1回目の受験はは最後まで終わらせきれず、不合格となってしまいました)。

 電卓はCanon HS-121Tを使用しました。大学に入学した時からこの電卓を使用しているので、練習も本番もこの電卓を使用しました。

日商簿記検定 受験履歴

  • 2018年02月:第148回日商簿記検定3級【合格
  • 2018年11月:第150回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2019年02月:第151回日商簿記検定2級【不合格】
  • 2019年06月:第152回日商簿記検定2級【合格

学習の進め方

第150回(2018年11月)対策

 まず、勉強を始めるにあたって2018年9月にTAC出版の「スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記・工業簿記」の2冊を購入しました。大学の授業終了後に、学校の図書館で2~3時間ほど勉強を進めました。

 このテキストは説明を読む→問題を解くという流れで、商業簿記を一通り終えてから工業簿記に取り組む、というスタイルで勉強しました。

 勉強を始めてから約2ヶ月後の11月、理解が深まってきたところで実践的な問題に取り組みたいと思い、TAC出版の「スッキリとける 過去+予想問題集」に取り組みました。

 初めは2時間では解ききれない&応用問題ばかりで全く解けないのダブルパンチで完全に自信を失いましたが、何度か解いていくうちに、2時間で解き切る力がついてきました。

 しかし、同じ問題に飽きてしまい、1週間前に過去問を完全に理解せずに、TAC出版の「網羅型完全予想問題集」に手を出してしまいました。

 網羅型は、ボリュームのある問題&難しめに設定されている問題が掲載されている教材なので、試験日までに終わらせることができず、消化不良のまま試験に挑む形になってしまいました。

  • 第150回:合計60点(不合格
    • 第1問:仕訳問題 12点
    • 第2問:固定資産+税効果、連結会計 12点
    • 第3問:貸借対照表 16点
    • 第4問:費目別計算 4点
    • 第5問:直接原価計算(CVP分析) 16点

 あと10点というのは一見惜しそうに見えますが、私の場合は中途半端に勉強した結果なので、当時の実力ではこの点数が限界でした。

第151回(2019年2月)対策

 2度目の受験は、2ヶ月ほど前の2019年1月頃から勉強を再開しました。まずはスッキリわかるシリーズと過去問を使用して、一週間ほどで要領を思い出してから、網羅型完全予想問題集を解き始めました。

 この際に間違えた箇所・理解した箇所関係なく、「問1~問5の全てをひたすら解き続ける」という力技を駆使して挑みました。

 また、春休みということもあり、朝から夜まで椅子に座り、ひたすらテキストと向き合い毎日ずっと勉強をしましたが、不合格となりました。

  • 第151回:合計52点(不合格
    • 第1問:仕訳問題 8点
    • 第2問:株主資本変動計算書 16点
    • 第3問:連結精算表 8-10点
    • 第4問:部門別計算 16-18点
    • 第5問:等級別原価計算 4点

 この回は合格率も低く、難易度もかなり高い問題が出題されましたが、その反面、基礎的な問題も多くありました。合格できなかった原因は、単に自分の実力不足だったと思います。

第152回(2019年6月)対策

 3度目の受験にあたって、過去2回の勉強スタイルを以下のように変更しました。

  • 1日中勉強する→短時間に分けて勉強
  • 常に全ての問題をやる→苦手箇所を復習

 ダラダラと長時間続けていた勉強を見直し、短い時間で集中して勉強する形に変更したため、前回・前々回と比べると効率的に勉強できたと思います。

 また、問題を解くにあたって常に問1~問5を解いていたのを、1周終わった時点で間違えた箇所をマークし、2周目はそこだけを解き直し、間違えた点を3周目、4周目…と解く事によって、得意分野を完璧にするのではなく、苦手分野である工業簿記を伸ばす事で点数アップに繋げようと考えました

 例えると、16点の問題を20点にしても4点のアップにしかならないのに対して、4点の問題を16点にすると12点もアップするので効率がいいということです。当たり前のことに思えますが、私の場合はどうしても得意分野で間違えるのが悔しくて、工業簿記を疎かにしていました。

 このやり方を取り入れたことによって、本番に近づくにつれて苦手分野が減り、精神的な面でもゆとりができました。

 また、過去2回とも仕訳で点数を落としてしまっていたので簿記検定ナビで配布されている仕訳問題集をコピーして、120回から151回までを試験1週間前までに一通り解き、最後の1週間で間違えた箇所を確認して解き直しました。

チェックリスト
チェックリスト

まとめノート
まとめノート

試験日1日の流れ

9時30分

 いつも通りの時間に起床。朝食はお腹を下さないようにするため、軽めのパンを食べました。簿記検定ナビに記載されている荷物の確認をして、準備完了。

10時00分

 最後の確認開始。工業簿記の不安な論点・出題が予想されている論点を中心に、網羅型完全予想問題集の問題を解き直しました。

12時30分

 いつもはラフな格好で向かっていましたが、出来ることは全てやろう精神で洋服のスタイルやカバンなども変えて、2度落ちた悪いジンクスを断ち切ろうという思いで出発しました。

13時00分

 会場に到着。過去2回は申込はしたものの会場に来ない方が多く空席が目立っていましたが、今回は空席がかなり少なかったのでいつもより圧迫感がありました。周りの受験者の方たちは最終確認をしている様子でした。

 私も皆さん同様、席について簿記検定ナビで配布されていた仕訳対策を使って最終確認を行いました。

13時30分

 試験問題が配布されました。配られた時点で必死に透かして問題を把握。第4問が部門別計算、第5問が標準原価計算ということが分かりました。

13時40分 試験開始

 「第1問→第4問→第5問→第2問→第3問」の順番で解く事を決めて解答スタート。

第1問:仕訳問題

 今までの仕訳とは打って変わって基礎的な問題。問3は少し手こずりましたが、前回・前々回に比べれば比較的悩まずに解答できました。約20分で終了。

第4問:部門別計算

 前回も出たので連続での出題は予想外でしたが、前回の問題よりは難易度はかなり低め。ミスのないように落ち着きつつ、スラスラ解き進めることができました。約10分で終了。

第5問:標準原価計算

 ここは簿記ナビ模試でも出題されていたので予想通り。かなり対策していたので悩むことなく解き進めることが。約15分で終了。

第2問:当座預金勘定調整表+仕訳

 ここも簿記検定ナビの予想通り。初めて見るタイプで少し戸惑いましたが、問5同様にかなり対策していたので冷静に解くことができました。約20分で終了。

第3問:貸借対照表

 ここまで解いて残り55分。時間はたくさんありました。税効果会計を絡めた貸借対照表は今まであまり解いておらず苦戦しましたが、とりあえず確実に分かる仕訳を2回、3回と見直して、分からない部分は諦めて、部分点を取りに行きました。約40分で終了。

 合計1時間45分で解き終えました。丁寧に解いてこの時間だったので、前回・前々回と比べるとかなり余裕を持って解答することができました。

 余裕を持って解くことができたのは、簿記検定ナビの出題予想がかなり的を得ていたことがかなり大きかったです。試験中ながら、神様仏様田口様状態でした。

15時40分

 前回・前々回とは比べ物にならない程の達成感を感じながら試験終了。

16時15分

 帰宅。今までのスタイルを全て変えて挑んだ簿記2級が終了しました。とりあえず自分、お疲れ様。解答速報を見たいけど、見たくない。約2時間葛藤した挙句、少しのぞいて見ることにしました。

 少しのつもりでしたが、のぞいてしまったら結局最後までしっかり見てしまいました。工業簿記が予想以上に取れている…ただ、細かい配点までは怖くて見ることができず、合否発表日まで不安を抱える2週間の生活が始まりました。

合格発表日(6月24日)

  • 152回:合計77点(合格
    • 第1問:仕訳問題 12点
    • 第2問:当座預金勘定調整表+仕訳 18点
    • 第3問:貸借対照表 14点
    • 第4問:部門別計算 16点
    • 第5問:標準原価計算 17点

 前回・前々回と比べると難易度が易しめに設定された試験でしたが、念願の日商簿記2級を取得することができました。

反省点

 3度目の受験を決意してから、過去2度の受験を通じて、何がダメだったのか、どこを改善すべきなのかという点を考えるために、田口さんにTwitterのメッセージ機能を使って相談させていただきました。

 お忙しい中に頂いたお返事は励ましではなく、厳しいお言葉をいただきました。しかし、あえて厳しいお言葉をいただいたおかげで自分の何がダメだったのか、というのを明確に出来ることができました。

 私の何がダメだったかというと、以下の2点だと考えています。

  • 1日中長々と続ける勉強
  • 工業簿記の軽視

 前述した通り、私は大学生です。社会人の方に比べたら倍以上の時間がありますし、いくらでも時間を作れます。その時間をいくらでも作れる、ということを良いことに、1日中勉強という生活を送っていました。

 しかし、集中力は皆無でダラダラ続けてしまう日々が続いてしまいました。理解が完全にしきれていない状態が続くため、本番で凡ミスを連発してしまいました。

 また、2度の不合格の内容を見て分かる通り、工業簿記で20点程度しか取れていません。工業簿記に苦手意識を持ち、商業簿記ばかり伸ばそうと意識したことで、大幅な点数アップが図れないどころか、本番では1つのミスで全て間違えてしまい、合格には程遠い点数を叩き出してしまいました。

まとめ

 今回の総勉強時間は約550時間でした。

 私がこの合格を通して最も感じたことは、勉強の『質』と工業簿記の重要性です。確かに勉強はやればやるだけ身に付きます。しかし、ただ量をこなせばいいという訳ではないということを感じました。

 長時間の効率の悪い勉強より、短く何セットにも分けて、細かく質の良い勉強することが合格への近道なのではないのかと思います。

 また、私を含め工業簿記の出来が悪く、合格に届かなかった方を何人も見ました。例えば、工業で38点、仕訳で16点取れれば54点、残りの2問で16/40取れれば合格です。

 商業簿記の難易度が上がる中、工業簿記の難易度は以前とあまり変わっていません。ここでしっかり点を取りきる、と意識することが大事だと感じました。

終わりに

 簿記検定ナビの田口様へ。まずは、こんなにも簿記の知識が皆無だった私を日商簿記2級取得まで導いてくださり、本当にありがとうございます。

 私は人より記憶力が乏しく、人の倍以上勉強しようと頑張っている中で、田口さんのツイートはとても励みになりました。

 予想問題や仕訳問題を使用し始めたのは152回からですが、出題予想は150回から閲覧していて、試験が近くなると大学内の受験生と何が出るか、などと言った予想に使わせていただきました。

 正直、独学と言って良いのか分からないほど簿記検定ナビにはお世話になりました。メッセージをいただけたのも合格できた要因の大きな1つです。この場をお借りして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

管理人からみそづけさんへ追加の質問

 今回、勉強に使った電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 私の使用したCanonの電卓は日割り計算などの特別な機能はないのですが、シンプルで個人的にはすごく使いやすかったです。ただ、他の電卓よりカタカタと音がなるので一緒に勉強しているの友人には嫌がられることが何度かありました…。
 勉強期間中のモチベーションの維持方法を教えてください。
 勉強に疲れた時などは、日商簿記2級を取るとどんな事ができるようになるのか、あるいはどんな評価を受けることができるのか、などといった「合格することで得られるメリット」をひたすら調べることで、頑張ろうという気持ちを維持し続けました。
 簿記の次は何を勉強する予定ですか?今後の展望があれば教えてください。
 とりあえず1週間ほど休憩期間を作ってから、次は、TOEIC700点を目指して勉強してみようと考えています。

 昔から英語に興味があったのと、ビジネスにおいてグローバル化が進むであろうこれからの社会で、時間のあるうちにビジネス英語に触れておきたいからです。(※現在英語を勉強中の)田口さんに負けないように頑張りたいと思います。

管理人コメント

 みそづけさん、簿記2級試験の合格おめでとうございます。また、合格体験記をご投稿いただきありがとうございました。

 2019年の3月にみそづけさんからTwitterでメッセージをいただきました。なかなか合格できないのでアドバイスをください…という内容でしたが、過去問を5回分しかやっていないと書かれていたので「文系の大学生なら時間あるでしょ。過去問を5回分しかやらないとか甘えてんじゃないよ!」と活を入れました。

 合格のお手伝いができたのかは怪しいところですが、何はともあれみそづけさんが2級に合格できて、しかも合格体験記まで送ってくれたことについてとても嬉しく思います。


 みそづけさんの合格体験記の中でぜひ参考にしていただきたいのは、得意分野をさらに伸ばすのではなく苦手分野の克服に力を入れることが重要という点です。苦手分野のほうが得意分野よりも伸びしろが大きいため、(特に直前期は)意識的に苦手分野の対策に力を入れてください。

 また、最近の簿記2級は比較的簡単な問題が出題される工業簿記でしっかり点数を取ることが合格の必須条件になっています。上述の苦手分野の対策と合わせて万全の対策をしておきましょう。

みそづけさんが使われた教材や電卓のまとめ