日商簿記検定2級は「下書きの固定化」が有効です!

  • 投稿者:ろばーと11さん
  • 勉強形態:独学
  • 受験回数:2回
  • 勉強期間:約6か月

はじめに

 簿記検定の受験を目指したきっかけは社内での異動を機に計数管理の業務に関わるようになったためです。簿記2級に合格した結果、それまで営業部門で仕事をしていて断片的にしか知らなかった、個別の取引から財務諸表に至るまでの「流れ」を業務に活かせるだけの知識の裏付けを得られたのではないかと思います。

テキストをケチった結果…

 社内に簿記の「先生」が居たわけでもなく、3級を飛ばし、且つ独学で2級の受験をしたため、 かなり効率の悪い勉強になってしまったかと思います。商業簿記はほとんど簿記検定ナビ仕訳対策問題集と「パタ解き」を過去5年分3回ほど繰り返して解いたのみ。工業簿記は古本屋で仕入れた古ーいテキストを読んだのみの対策でした。

 そもそも会社法以前のテキストで勉強したりしていたので「知識の穴」が多く、非効率な部分が多かったと思います。現在は引き続き日商1級の勉強を進めていますが、商業簿記でははじめて(最新の)テキストを使って体系的に知識の習得をしてみて簿記の学習は「急がば廻れ」なんだなと感じています。

 イメージとしては土台をしっかり作って「あるレベル」を超えると加速度的に理解力、得点力が増していくという感じでしょうか?土台をつくるためにもテキストはケチらずに最新のものを買って下さい。TACの「よくわかるシリーズ」でもネットスクールの「とおるシリーズ」でも良いと思います。

仕訳1個に涙をのむ

 私は126回の試験で「手形の更改」の仕訳問題を落とし、66点で不合格という結果に泣きました(※これは3級の勉強をしてないので仕訳を知らなかった!)126回の第2問や127回の第3問など新形式の問題、はたまた仕訳も「期中の合併」の処理など意表を突く論点が出題される傾向にあるのかなと思います。これは出題する側が受験対策側の「裏を掻こう!」という意図の現れなんですかね。

 個人的に70点をめぐるレベルの差は大きいんだと思います。127回も76点で合格と薄氷を踏む思いでしたが、第5問で「借方」を「借」、「貸方」を「貸」と書くなど凡ミス連発で10点落としました。これを入れて86点とすれば合否を分けるのは「訓練量の差」と言い切れます。

簿記検定ナビを活用して勉強を仕切り直し

 「帳簿組織」「本支店」「工業簿記」などは簿記検定ナビの「解き方」と「下書き」を徹底的に研究して過去問対策をやりなおしました。特に工業簿記では「勘定連絡図」「シュラッター図」「原価ボックス」をこれでもかというほど繰り返して書きました。結果、これらを「自分のモノ」にできたことで意表を突かれても対応でき、どうにか合格点は死守できたんだと思います。

 私は解いて書いて覚える派なので、わからなかったところのノートは残しませんでした。問題を解いては解答用紙を破り捨て、覚えるまで繰り返しという感じです。2級の学習に費やした紙の量はA4用紙200枚分くらいでしょうか?

 あと、簿記検定試験は「過去問対策」が重要だとよく言われますが、それで「ヤマ」を張ったりしても駄目なんだなと思います。私は不合格だった126回も合格した127回も仕訳の問題はそれぞれ12点でした。

 知らなければお手上げ的な仕訳問題は「当期純損失」とか「還付法人税等」「手形の更改」など簿記検定ナビの対策問題でも取り上げらています。これをみっちりやるだけでも運が良ければ20点満点カバーできるし悪くても16点はイケると思います。

独学の方にアドバイスではないですが…

 特に工業簿記をしっかりと得点源にできる自信がある方は仕訳問題12点でも問題ないかと思います。ただ、仕訳で20(最悪16)点とれるかどうかというのは後の心の余裕につながります。「社債」とか「特殊商品売買」などは徹底的に、また余裕があれば100回以前の過去問にあたって最近出題されていない論点をしっかり勉強されるべきだと思います。

 基本の仕訳を自分のものにすることで「ひねった」もしくは「ひねくれた」出題の際にも十分対応できます。もちろん、会社法や会計基準の改訂に対応して改題されているテキストを使ってください。

今後について

 2級の試験対策でみっちり取り組んだ「本支店」や「勘定連絡図」などはそのものズバリ1級にもつながります。ただ、基本の反復+問題演習という自分の「形」ができたので「仕事しながら+独学」ではありますが、11月の日商1級合格を目標に今後も頑張っていきたいと思います。

試験日の1日の流れ

 前日に126回の過去問を解いただけで当日は一切テキストにも触れませんでした。当日になってもテキストを開いているようではたぶん合格は覚束ないと思います。パッと会場を見渡してレベルに達している受験者の方がどの程度いらっしゃるか一目でわかります。ただ、今回は30分経過して「お手上げ⇒帰宅」という方がいらっしゃらなかったので全体のレベルは高かったかなと。

 この辺は鉛筆の音というか雰囲気でも伝わってくる感じがあり、個人的には今回「レベル」に達している人は「1⇒2⇒4⇒5⇒3」あるいは「1⇒4⇔5⇒2⇒3」という順番で解答すると思います。ただ、どう考えてもそのような下書きの音が聞こえない方はアウトなんだなと感じられました。特に、「1⇒2⇒3⇒4⇒5」と解答するようでは余程の実力が無い限り無理だと思います。

 個人的には問題を解く前に一読して「面倒臭さ」と「解く手間」を判別できる実力と過去問レベルの問題なら90分で解けるスピードは絶対に必要だと思います。また、8ケタ電卓の受験生がとても多かったのですが、これはケチらずに12ケタ電卓を使用した方が良いと思います。合格発表を見るに、自分の廻りの8ケタ電卓の方は全て撃沈されていました。

管理人からろばーと11さんへ追加の質問

 今回、勉強に使われた電卓の機種を教えてください。またその電卓は他の方にもおすすめ出来ますか?
 電卓の機種は「CASIO DH-12VT」です。簿記検定試験を受験されるなら最低12ケタで、「00」キーがあるものが必要だと思います。この機種はキーのタッチが軽く、大判なので手の大きい私にも使いやすかったです。

 また、1級までお考えなら「GT」「M±」「MRC」などの機能が充実している本機種はおススメです。

 ろばーと11さんの得意な論点と苦手な論点を教えてください。また、苦手な論点を克服するためにどのような勉強をされましたか?
 とにかく「帳簿組織」全般、「本支店」、「決算整理」など「コツ」が必要でスピードを要求される問題が苦手でした。よくよく考えてみればこれらの総合問題は「コツ」を知らなければスピードも上がりません。私は独学だったので「簿記検定ナビ」や「パタ解き」などの下書きをA4用紙に書き起こして分析し、自分なりに「下書きの固定化」をしました。

 簿記検定ナビでも「下書きの固定化」は推奨されていますが、これが出来たおかげで超苦手の第2問、第3問を克服できたんだと思います。「下書きの固定化」ができることで「自分が今何を計算しているのか」が把握できるようになります。これは1級の勉強でも特殊商品売買の推定問題や連結決算、工業簿記全般に役立ちます。勘定連絡図などもそうですが、とにかく「書いて覚える」ことです。

 ご自身の勉強方法を振り返っていただき、これから勉強を始める方にアドバイスがあればお願いします。
①簿記の勉強は「積み上げ」が大事なので初学あれば3級→2級→1級と進めるべき

②できれば身近に「簿記の先生」を見つけること
※簿記検定の合格経験があるということはそれだけのノウハウを構築されているということであり、それを教えてもらえることは勉強の効率が10倍は違います。

③テキストは必ず最新のものを使うこと
※私の使っていたテキストは「社債発行差金」などと書いてあるもので1回目の受験は大失敗しました。。。

管理人コメント

 ろばーと11さん、合格体験記のご投稿ありがとうございました!

 ろばーと11さんのように、簿記3級を飛ばして簿記2級から受験される方もたくさんいらっしゃると思いますが、試験は飛ばしても勉強は飛ばさないようにしてください。さすがに過去問までやる必要はないと思いますが、最低でも簿記3級のテキスト・問題集を一通りやってから、簿記2級の勉強に進むようにしてください。

 ちなみに、管理人も簿記3級を飛ばして簿記2級から受験しましたが、簿記3級については「合格テキスト」「合格トレーニング」を購入して、3日間(1日10時間ぐらいやったので合計30時間ぐらい)集中的に勉強した後に、簿記2級の勉強に進みました。

 あと、ろばーと11さんもおっしゃっていますが、教材は最新のものを使うようにしてください。社債や手形の割引などは仕訳自体が変わりましたので、昔のテキストを使って勉強すると当該変更に対応することが出来ませんのでお気をつけください。

ろばーと11さんが使われた教材や電卓のまとめ